【時系列で解説】相続手続きの期限はいつまで?期限が過ぎるとどうなる?
相続
投稿日:2024.11.05
家族が亡くなってから行う相続手続きには、期限があることがほとんどです。
しかし、やらなければいけない手続きは多岐にわたり、「何をいつまでに手続きをすればいいのだろう」と困っている方も多いのではないでしょうか。
特に初めて相続手続きを経験する方にとっては、不安や疑問がたくさんあるかと思います。
実は、相続手続きの期限が過ぎてしまうと、思わぬペナルティが生じる可能性があります。
ペナルティの中には税金の負担が増えたり、法的な手続きが複雑化するなど、デメリットも存在するのです。
そこで、この記事では相続手続きの期限を時系列で解説します。ぜひ参考にして、スムーズに相続手続きを進めてください。
【注意】相続手続きにはほとんど期限がある
相続が発生した際には、速やかに手続きを開始することが重要です。
亡くなった方の財産を相続する手続きには、期限が設定されているからです。
期限を過ぎてしまうと、税金の軽減措置が受けられなくなったり、延滞税がかかったりすることがあります。
また、相続人同士のトラブルを避けるためにも、相続手続きの期限を守るようにしましょう。
必要書類も多い
相続手続きには、以下の書類が必要です。
- 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票、戸籍の附票
- 印鑑証明書
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産評価証明書
- 金融資産の残高証明書
- 遺産分割協議書
- 遺言書の検認済み証明書、家庭裁判所の審判書
こうした書類は、相続手続きを進めるうえで欠かせないものです。
それぞれの書類をそろえるためには、多くの手間と時間がかかります。
たとえば、戸籍謄本や住民票の取得には、役所での手続きが必要です。
郵送で取り寄せる場合には、さらに時間がかかります。
また、相続が発生した際に遺産をどのように分けるかをまとめた遺産分割協議書の作成には、相続人全員の合意が必要です。
こちらも時間がかかる要因となるため、早めの準備が重要です。
相続開始日は被相続人の亡くなった日
相続手続きを進めるうえで、まず知っておくべき重要な点が「相続開始日」です。
相続開始日は、被相続人の亡くなった日を基準として、手続きの期限が定められています。
たとえば、相続税の申告期限は被相続人の亡くなった日から10ヶ月以内と定められています。
この期間内に申告を行わなければ、税金の軽減措置が受けられなくなったり、延滞税や加算税が課される可能性があります。
そのため、相続開始日から計画的に相続の手続きを進めることが大切です。
【時系列で解説】相続手続きの期限
相続手続きには、それぞれ期限が設けられているため、手続きをスムーズに進めるためにはスケジュール管理が重要です。
それぞれの相続手続きの期限は、以下の通りです。
期限 | 手続き内容 |
---|---|
7日以内 | ・死亡診断書取得 ・死亡届の提出 ・火葬許可証の取得 |
14日以内 | ・年金・健康保険・介護保険などの手続き ・世帯主変更届出(住民票) |
14日前後 | ・公共料金や各種サービスの変更・解約 ・金融機関などへの連絡 |
1~3ヶ月前後 | ・遺産分割協議の開始 ・相続財産調査 ・相続人調査 ・遺言書調査・検認 |
3ヶ月以内 | ・相続放棄 ・限定承認 |
4ヶ月以内 | ・被相続人の所得税申告(準確定申告) |
1~10ヶ月前後 | ・遺産分割協議書の作成 ・相続財産の評価・名義変更 |
10ヶ月以内 | ・相続税の申告・納付 |
1年以内 | ・遺留分侵害額請求 |
特に期限のない手続き | ・遺産分割協議 ・預貯金の解約・名義変更 |
1年以内 | ・遺留分侵害額請求 |
各種手続きの期限を把握し、計画的に進めることで、スムーズに相続手続きを完了させることができます。
ここからは、具体的な手続きについて詳しく見ていきましょう。
相続開始から7日以内が期限の手続き
相続開始から7日以内が期限の手続きは、以下の3つです。
- 死亡診断書の取得
- 死亡届の提出
- 火葬許可証の取得
以下からは、7日以内に手続きが必要な項目について詳しく見ていきましょう。
死亡診断書の取得
死亡診断書は、医師が発行する書類で、被相続人が死亡したことを証明します。
相続手続きを進めるうえで、死亡診断書は特に必要な書類です。
死亡後すぐに医師から発行してもらいます。
死亡診断書には、死亡時刻や死因などの詳細な情報が記載されており、こうした情報が後の手続きに必要になります。
死亡届の提出
死亡届は、被相続人の死亡を市区町村役場に届け出る書類です。
通常、死亡診断書と一緒に提出します。
家族、あるいは葬儀社が死亡届を代行して提出することが多いです。
死亡届を提出しないと、戸籍の抹消が行われず、後の手続きに支障をきたす可能性があります。
火葬許可証の取得
火葬許可証は、市区町村役場で取得します。
火葬許可証がないと、火葬や埋葬を行うことができません。
死亡診断書を市区町村役場に提出し、火葬許可証申請書を提出することで、火葬許可証を受け取ることができます。
相続開始から7日以降〜14日以内が期限の手続き
相続開始から7日以降〜14日以内が期限の手続きは、以下の4つがあります。
- 年金受給停止の手続き
- 国民健康保険の返却
- 介護法華の資格喪失届の提出
- 世帯主の変更届の提出
それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。
年金受給停止の手続き
被相続人が年金を受給していた場合は、停止する手続きを行う必要があります。
被相続人が亡くなってから国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に手続きを行わなければなりません。
手続きの方法としては、年金事務所に死亡届を提出します。
手続きを怠ると過払い金の返還が必要になるため、早めに行うことが大切です。
国民健康保険の返却
被相続人が亡くなった場合、国民健康保険証を市区町村役場に返却しなければなりません。
保険証の返却と同時に、未使用分の保険料の精算も行うことになります。
返却手続きを行わないと、死亡後も保険料が引き落とされてしまう可能性があるので注意が必要です。
介護保険の資格喪失届の提出
被相続人が利用していた介護保険の資格を喪失するための届出を行います。
書類は、市区町村役場の介護保険課に提出しましょう。
この手続きを行わないと、介護保険サービスの停止が遅れることがあります。
世帯主の変更届の提出
世帯主が変更された場合、変更届を市区町村役場に提出しましょう。
新しい世帯主が届け出を行います。
ただし、世帯主の変更届けが必要となるのは、3人以上の世帯だった場合です。
夫婦2人だけの世帯だった場合は、手続きをする必要はありません。
相続開始から14日以降〜4ヶ月以内が期限の手続き
相続開始から14日以降〜4ヶ月以内が期限の手続きとして、以下の4つがあります。
- 相続放棄の申請
- 単純承認・限定承認の申請
- 相続の承認・放棄の期間の延長手続き
- 被相続人の所得税の準確定申告
それぞれの手続きについて詳しく解説します。
相続放棄の申請
被相続人の財産を受け継ぎたくない場合は、財産を放棄する手続きを行います。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に申請書を提出することになります。
申請は相続開始から3ヶ月以内に行わなければなりません。
相続放棄をすると、相続財産だけでなく負債も相続しなくて済みますが、他の相続人の同意が必要な場合もあります。
相続放棄をする際には、他の相続人と連携して進めることが重要です。
<画像>
相続財産を受け取るかどうかを決定するための手続きも、相続開始から3ヶ月以内に行う必要があります。
単純承認は全ての財産を相続し、限定承認はプラスの財産の範囲で負債を相続するものです。
限定承認は、負債の額が不明な場合に有効な選択肢です。
相続の承認・放棄の期間の延長手続き
相続の決断に時間がかかる場合は、相続の承認または放棄の期間を延長する手続きを行いましょう。
家庭裁判所に申請することになります。
期間の延長が認められると、追加の期間内に相続の承認や放棄の手続きを行うことができます。
延長申請が認められるためには、正当な理由が必要です。
たとえば、相続財産の状況が複雑で、調査に時間がかかるといったケースがあります。
被相続人の所得税の準確定申告
準確定申告は、被相続人が生前に得た所得に対して税金を納めるための手続きです。
こちらも被相続人の死亡後4ヶ月以内に行う必要があります。
この場合、相続人が代表して申告を行いましょう。
準確定申告を怠ると、延滞税が発生することがあります。
ただし、被相続人に申告する所得がない場合は準確定申告の手続きを行う必要はありません。
相続開始から4ヶ月以降〜1年以内が期限の手続き
相続開始から4ヶ月以降〜1年以内が期限の手続きは、以下の3つがあります。
- 相続税申告
- 相続税納付
- 遺留分侵害額請求
それぞれどのような手続きなのか、詳しく見ていきましょう。
相続税申告
相続によって財産を受け継いだ場合は、相続税の申告をする必要があります。
相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告を行いましょう。
相続財産の評価を行い、相続税の額を確定します。
相続税の申告が遅れると、延滞税や加算税が発生することがあります。
相続税納付
相続税の納付も、申告と同じく10ヶ月以内に行う必要があります。
納付が遅れると、延滞税が発生することがあるので注意が必要です。
納付方法には、現金納付や延納がありますが、延納を希望する場合には別途申請が必要です。
延納を希望する場合、書類の作成や担保の用意、その他要件を満たさなければならないため、自分の状況に合うかどうかも見極めなければなりません。
遺留分侵害額請求
相続で本来もらえるはずのお金を十分にもらえなかったと感じたとき、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害された相続人が他の相続人に対して請求する手続きです。
この手続きは、相続開始から1年以内に行わなければなりません。
遺留分侵害額請求を行う際には、遺産分割協議や調停を経ることがあります。
相続開始から1年以降〜2年以内が期限の手続き
相続開始から1年以降〜2年以内が期限の手続きは、以下の3つがあります。
- 高額療養費の申請
- 葬祭・埋葬費の申請
- 死亡一時金の受取請求
1年以降〜2年以内が期限の手続きについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
高額療養費の申請
高額療養費の申請は、医療費が一定額を超えた場合、超過分を払い戻してもらう手続きです。
高額療養費の申請には、医療機関からの領収書や診療明細書が必要です。
葬祭・埋葬費の申請
葬祭や埋葬費の申請とは、被相続人の死亡に伴う費用を一部補助してもらうための手続きです。
葬祭・埋葬費の申請には、葬儀社からの領収書や費用明細が必要です。
死亡一時金の受取請求
被相続人が国民年金に加入していた場合、一定の条件を満たすと一時金が支給されます。
こちらを受け取るために、死亡一時金の受取請求を行いましょう。
死亡一時金の受取請求には、年金事務所に必要書類を提出することになります。
相続開始から2年以降〜3年以内が期限の手続き
相続開始から2年以降〜3年以内が期限の手続きは、以下の2つがあります。
- 相続登記
- 死亡保険金の受取請求
各手続きについて、詳しく解説します。
相続登記
相続登記は、不動産の名義を変更する手続きです。
相続開始から3年以内に行う必要があります。
必要な書類が多く、専門的な知識も必要となるため、司法書士などの専門家へ依頼するのがおすすめです。
期限内に相続登記を行わない場合は、10万円以下の過料を課せられる可能性があります。
死亡保険金の受取請求
被相続人が生命保険に加入していた場合、保険金を受け取ることができます。
ほとんどの保険会社では、保険金を請求できる期限は3年以内です。
保険金の受取請求には、保険会社に必要書類を提出することになります。
相続開始から3年以降〜6年以内が期限の手続き
相続開始から14日以降〜4ヶ月以内が期限の手続きには、相続税の更生請求があります。
相続税の更生請求(還付請求)
相続税の申告で、払いすぎた税金がある場合は、還付請求をすることができます。
この手続きは、相続が開始してから5年10ヶ月以内に行う必要があります。
還付請求を行うためには、税務署に必要書類を提出し、審査を受ける必要があります。
特に期限の定めがない相続手続き
以下の手続きは、期限に定めがありません。
- 遺産分割協議
- 銀行口座などの解約・名義変更
ただし、手続きに不備が出てきた場合に備えられるように、可能な限り早めに行いましょう。
遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。
協議がまとまらない場合は、調停や審判が必要になることもあります。
協議では協議書を作成し、全員の署名・押印を行いましょう。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要であるため、時間がかかることがあります。
銀行口座などの解約・名義変更
銀行口座などの解約・名義変更は、相続人全員の同意が必要です。
手続きが遅れると、必要な資金が使えなくなることがあります。
金融機関に必要書類を提出し、手続きを進めてください。
名義変更を行わないと、後々の手続きに支障が出ることがあります。
相続手続きの期限が過ぎた場合はどうなる?
相続手続きの期限が過ぎてしまうと、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 税金の軽減制度などが利用できなくなる
- 相続税の延滞税がかかる
- 新たな相続が発生してしまう可能性がある
以下からは、こうした期限切れによるペナルティについて紹介します。
税金の軽減制度が利用できなくなる
期限内に手続きを行わないと、相続税の軽減制度が利用できなくなることがあります。
特例や控除を受けるためには、期限内に必要な書類を提出することが重要です。
税金の軽減制度を利用するためには、早めに専門家に相談し、適切な手続きを行うようにしましょう。
相続税の延滞税がかかる
相続税の納付が遅れると、延滞税が発生します。
延滞税は、納付期限を過ぎた日数に応じて計算されるため、早めに納付することが重要です。
延滞税は、元の税額に対して高額になることがあり、期限内に納付しなければなりません。
新たな相続が発生する可能性がある
相続手続きを放置していると、新たな相続が発生する可能性があります。
特に相続人が亡くなると、さらに手続きが複雑化し、負担が増えます。
新たな相続が発生すると、相続人の数が増え、相続分の計算や手続きが複雑になってしまう可能性があるので注意が必要です。
相続手続きのほとんどは期限付き!専門家に依頼してスムーズに進めよう!
この記事では、相続手続きの期限について、時系列順に解説しました。
相続手続きは多くの時間と労力を必要とし、期限も定められています。
こうした手続きは、無理に自分で行うよりも、専門家である司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士に依頼することで、手続きを迅速かつ正確に進めることができます。
杠(ゆずりは)司法書士法人は、豊富な経験と専門知識でお客様をサポートします。
相続手続きに関するお悩みやご相談がある方は、ぜひご相談ください。
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