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任意後見契約は解除できる?手続き方法や費用を解説

成年後見

投稿日:2024.12.13

任意後見契約は、将来判断能力が低下したときに備えて、信頼できる方にサポートしてもらう契約です。

「万が一のときのために」と結んだ任意後見契約ですが、状況が変わったり、契約内容に疑問が生じたりすることがあるかもしれません。

そのようなとき「任意後見契約は解除できるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、任意後見契約の解除手続きや費用について詳しく解説します。

任意後見契約は解除できる?

任意後見契約の解除は自由にできます。

ただし、任意後見契約の効力が発生する前と発生後では解除の方法や手間が違います。

  • 任意後見監督人が選任される前の場合
  • 任意後見監督人が選任された後の場合

それぞれのパターンについて、詳細を説明します。

任意後見監督人が選任される前の場合

任意後見監督人が選任される前の場合であれば、比較的容易に任意後見契約を解除できます。

「任意後見契約は締結しているものの、本人にまだ十分な判断能力がある」状態では、任意後見契約の効力が発生していない段階なので、自由に契約を解除できます。

契約を解除するときは、公証人の認証を受けた書面の作成が必要です。

口頭のみでの契約解除はできないので、注意しましょう。

契約解除の際には、双方の合意が得られているケースと一方的に契約を解除するケースがあります。

いずれの手続きも公正証書の作成費用として5,500円かかります。

それぞれのケースについて詳しく説明します。

当事者の合意により任意後見契約を解除するケース

本人と後見人双方の合意によって任意後見人契約を解除する場合は、契約解除の内容を記載した書面に双方が署名捺印します。

その後、公証人の認証を受けて解除完了です。

公証人の認証を受けた後は、書面の原本もしくは認証のある謄本を添付書面として後見終了の登記を申請します。

一方的に任意後見契約を解除するケース

本人もしくは任意後見受任者のどちらか一方から任意後見契約を解除する場合は、公証人の認証を受けた解除通知書を配達証明付き内容証明郵便にて相手方へ送付します。

配達証明とは、書留郵便が相手先へいつ届いたのか証明される郵送方法です。

配達証明が戻ってきたら、後見終了の登記を法務局で申請して手続きは完了します。

解除通知書に記載するのは意思表示のみでも問題ありません。

このケースでは、相手の同意を得ることなく任意後見契約は終了します。

任意後見監督人が選任された後の場合

任意後見監督人が選任され、すでに任意後見契約がスタートしている場合は、契約解除するために家庭裁判所の許可が必要です。

正当な理由がなければ解除できない点に注意が必要です。

任意後見契約がスタートしている場合は、すでに本人の判断能力が低下しているため、正当な理由として認められる内容は厳しくなっています。

一般的に想定される正当な理由には、以下のような内容が挙げられます。

  • 任意後見人が高齢や病気などによってサポートができなくなった
  • 任意後見人もしくは本人が遠くへ引っ越したためにサポートができなくなった

家庭裁判所の許可を得た後に相手方へ意思表示をすると契約終了です。

任意後見契約を解除する手順

任意後見契約の解除手続きをまとめました。

任意後見契約がスタートしている場合は、先に家庭裁判所の許可が必要です。

  • 公証役場にて公証人の承認を得て公正証書を作成
  • 双方合意の場合はお互い契約解除の旨を確認
  • 一方的に契約解除をする場合は、配達証明付き内容証明郵便にて解除通知書を送付
  • 法務局にて終了登記を経て完了

いずれにしてもまずは公証役場にて公正証書を作成する必要があります。

任意後見契約の解除を検討する際に注意すべき点

任意後見契約の解除を検討するときは、以下の点に注意が必要です。

  • 任意後見契約を解除した際には終了登記が必要
  • 任意後見契約の内容変更でも契約解除の可能性がある

それぞれの詳細について説明します。

任意後見契約を解除した際には終了登記が必要

任意後見開始前・開始後にかかわらず任意後見契約を解除した場合は、終了登記の手続きが必要です。

任意後見契約の締結時は公証人が代わりに登記手続きを行っていますが、契約解除時は当事者が終了登記を申請しなければいけません。

任意後見契約の終了登記を受け付けているのは東京法務局の後見登録課のみです。

申請の際は直接窓口で申請するか、郵送での申請が必要です。

また、登記が終わっても特に連絡はされないので、郵送で終了登記を申請する場合は配達証明を使うなど郵便の記録が残る方法を選びましょう。

終了登記は誰が行う?

申請は基本的に任意後見受任者または委任を受けた人によって行われます。

また、司法書士に登記申請を依頼することもできます。

司法書士は登記事務の専門家なので、手続きを全て委任する方法も有効な選択肢です。

任意後見契約の内容変更でも契約解除の可能性がある

任意後見契約の締結後に「任意後見人や契約内容を変更したい」という場合も、終了登記を申請して契約のやり直しをしなければいけません。

任意後見人や契約内容は一度締結すると変更できないため、最初からやり直しが必要です。

任意後見人にしてほしい内容を増やすだけなら追加部分の契約で済みますが、取り消しや新しい任意後見人を立てたい場合には、契約をやり直す必要があります。

任意後見契約の解除手続きを司法書士に依頼するメリット

任意後見契約の解除は自分で手続きすることも可能です。

しかし、司法書士に依頼することでよりスムーズかつ正確に手続きを進めることができます。

任意後見契約の解除は、任意後見開始前と開始後で手続きが異なることや、契約破棄に関する公正証書の作成や相手への通知など、細かな点に注意が必要です。

司法書士はこれらの専門知識を有しており、それぞれの状況に合わせた適切な手続きをしてくれます。

また、終了登記は東京法務局でしか受け付けていないため、申請の複雑な手続きも一任できるのは大きなメリットといえるでしょう。

任意後見契約の解除手続きを司法書士に依頼する場合の費用相場

任意後見人契約の手続きを司法書士へ依頼した場合、おおよその相場は10〜20万円とされています。

任意後見契約の解除手続き申請のみを依頼する場合は、5万円程度の報酬で済むケースが多いです。

それに加えて、以下のような費用もかかります。

公証人認証費用 5,500円
後見登記事項証明書 550円
閉鎖後見登記事項証明書 550円
申請用郵便費用 550円
返信用封筒(原本還付あるとき) 550円
完了謄本郵送費 550円

 任意後見契約の解除手続きは杠(ゆずりは)司法書士法人まで

任意後見契約の解除は、公証役場にて公正証書を作成し、法務局にて終了登記を行えば完了します。

終了登記は東京法務局のみで受け付けています。

首都圏近郊の方は法務局へ直接持ち込みができますが、地方にお住まいの方は郵送対応が必要です。

任意後見人契約解除の手続き自体は難しいものではありませんが、後見人の選任前と選任後の対処の違いにやや複雑な点もあります。

後見人解除手続きをできるだけ簡単に終わらせたい場合は、司法書士に依頼するのも一つの選択肢です。

杠司法書士法人では任意後見契約書の作成から解除、後見人制度の利用に至るまでトータルサポートを行っています。

相続関連のことでお困りの方は、ぜひ杠司法書士法人までご連絡ください。

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