
海外在住でも相続はできる!必要書類・手続き方法・注意点を解説
相続
投稿日:2025.05.28
海外在住の方が日本の相続を行うことになり、手続き方法がわからずにお困りの方もいらっしゃるでしょう。
外務省の「海外在留邦人数調査統計(令和6年10月1日現在)」によると、海外在留邦人の総数は約129万人を超えており、北米・アジア・西欧の3地域だけで全体の8割以上を占めています。
米国・オーストラリア・中国の3か国には、海外在留邦人全体の約半数が居住しているという実態も。
このように、多くの日本人が海外で生活する中で、相続の際に「日本との手続きをどうすればよいのか」という悩みは広く存在しています。
海外在住の自分自身が相続人となり、日本の相続を行うことになった場合、手続き方法がわからずに悩んでしまう方が多いと思います。
また、「戸籍や相続財産の確認のために帰国できない」「手続きに必要な書類の取得方法がわからない」など、頭を抱えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
海外在住の相続人が相続手続きを行なうには、署名方法・書類の翻訳・アポスティーユ取得などの特別な書類が必要となり、多くの注意点もあります。
手続きのために帰国や長期間の日本滞在が難しくても、代理人を立てることで相続手続きが可能です。
この記事では、海外在住者が相続を行う手順と注意点、必要書類などを解説します。

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目次
相続人が海外在住でも日本の相続手続きは可能
相続人が海外在住者や外国籍の方でも、日本の相続は可能です。
被相続人(故人)が日本国籍なら、相続においても日本の法律が適用されます。
相続人が海外在住でも外国籍であっても、日本在住者と同じ相続権利があり、法定相続人として遺産分割協議にも参加できます。
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
引用元:民法第896条
ただし、被相続人が外国籍である場合は、国際私法によりその本国法(国籍国の法律)が相続に適用される可能性があります。
日本にある財産であっても、日本法が適用されないケースがあるため、事前に確認が必要です。
海外在住者を省いて遺産分割協議を進めることはできず、法定相続人全員の合意や署名がない遺産分割協議書は有効とは認められません。
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
引用元:民法907条第1項
ただし、日本在住の相続人とは異なる書類や手続きがある点に注意しましょう。
海外在住者が日本での相続手続きをする流れ
海外在住者が日本の相続手続きを行うには、以下の手順で進めます。
- 遺言書の確認
- 相続人の確定
- 相続財産の調査・把握
- 遺産分割協議の実施
- 相続登記(不動産の名義変更)
- 金融資産・証券等の名義変更・払戻手続き
ここからは、手続きの流れと内容を詳しく解説します。
遺言書の確認
まずは遺言書があるかないかの確認を行いましょう。
遺言書の存在を生前に知らされていない場合でも、故人が残している可能性があります。
後から遺言書が見つかると、すでに行った遺産分割協議のやり直しや、登記手続きの修正などが必要となるケースもあります。
そのため、先に遺言書の有無を調べておかなければなりません。
遺言書は、以下の場所を探したり問い合わせをしたりすることで見つかる可能性があります。
- 故人の自宅
- 公証役場
- 法務局
- 銀行の貸金庫
- 故人の友人や取引のある専門家
自宅の金庫などに保管されている場合もありますが、見つからなければ自宅外を探します。
公証役場での作成や法務局での保管がされていれば、照会申請を行って有無を調べられます。
故人が銀行で貸金庫を借りていた場合は、貸金庫の中も確認しましょう。
ほかにも、親しくしていた友人や付き合いのある弁護士・司法書士などの専門家にも尋ねてみるとよいでしょう。
遺言書は生前に保管場所を聞いておくのが理想ですが、そうでない場合は捜索が必要です。
相続人の確定
誰が法定相続人であるかを特定するために、故人の戸籍謄本を死亡から出生までさかのぼってすべて取得します。
故人と同じ戸籍に載っている方がいれば、相続人となる可能性があります。
親族の状況により誰が相続人となるかは異なるため、判断が難しいようなら専門家に相談をしましょう。
相続人が外国籍の場合は日本の戸籍をもたないので、故人との関係性を証明する公的書類が必要です。
日本国籍で住所が海外にある相続人と、外国籍の相続人のそれぞれの公的書類は以下のとおりです。
相続人の状況 | 必要書類 | 取得場所・取得方法 |
---|---|---|
海外在住の日本人の相続人 | 戸籍謄本 | ・日本の役所で親族による代理取得 ・日本の役所に郵送で請求 |
外国籍の相続人 | 出生証明書 婚姻証明書 家族証明書 (いずれか1点) | ・婚姻手続きを行った領事館 ・区役所 ・公安局など各国により異なる ・オンライン申請が可能なケースもある |
宣誓供述書 (補足書類として必要な場合がある) | ・日本大使館 ・現地の公証人事務所や弁護士事務所 |
|
翻訳証明書 | ・翻訳会社 ・日本大使館や領事館で紹介する翻訳者 |
|
アポスティーユ | 各国の行政機関(国により外務省・法務部など異なる) | |
領事認証 (アポスティーユの発行ができない場合) | ・日本大使館 ・領事館 |
日本に戸籍のない外国籍の方は、出生証明書・婚姻証明書・家族証明書などが戸籍謄本の代わりとなります。
出生証明書が存在しない国や、婚姻証明書に個人認識番号が含まれない国もあるなど、国によって異なります。
発行できる書類や記載内容は、国ごとに確認が必要です。
外国で発行された証明書には、翻訳証明書とアポスティーユを添付しましょう。
アポスティーユとは、以下の証明書です。
「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」 (1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。提出先国はハーグ条約締約国のみです。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。
ここでの「提出先国」とは、あくまで書類を使用する先が日本であることを前提とした表現です。
つまり、日本国内で提出する文書に対し、相手国のアポスティーユが付されていれば、日本の官公庁等で領事認証に代えて受理される、という意味になります。
翻訳証明書は、現地の言葉で書かれた書類を翻訳会社や日本大使館が紹介する確定翻訳者など、プロの第三者に翻訳してもらうと発行できます。
どちらも相続人の調査だけでは不要な場合がほとんどですが、これ以降の相続手続きで必要となります。
調査段階では不要でも、登記手続きや払い戻し手続きでは必要となることが多いため、準備しておきましょう。
相続財産の調査・把握
相続の対象となる財産をすべて把握するため、通帳の取引履歴を確認したり、不動産の登記簿を取り寄せたりして、何が遺産として残っているかを調べます。
財産には以下のものがあります。
- 不動産
- 預貯金
- 現金
- 有価証券
- 車や貴金属などの動産
- 借金
プラスの財産に加えて、借金のようなマイナスの財産も相続の対象となります。
調査をしてプラスよりもマイナスの財産の方が多いとわかったら、相続が発生してから3ヶ月以内に、相続放棄の申立てを家庭裁判所に対して行いましょう。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
引用元:民法第915条
財産調査は、不動産登記簿・預貯金口座残高証明書・固定資産評価証明書などを取得して財産を調べます。
調査は日本国内での手続きが中心です。
遺産分割協議の実施
遺言書の有無の確認、相続人と財産の調査が終わったら、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は、たとえば不動産を長男、預貯金を次男が相続するなど、どの相続人がどの財産を何割引き継ぐかを相続人間で決めるものです。
リモートでもかまわないので、海外にいる相続人も話し合いに参加しなければなりません。
以下のように、法律で定められたのとは異なる割合で遺産を分ける場合は、遺産分割協議書の作成も必要です。
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。引用元:民法第900条
海外在住者や外国籍の相続人を含めて遺産分割協議書を作成するには、以下の表を参考に、書類を取得しましょう。
相続人の状況 | 必要書類 | 取得場所・取得方法 |
---|---|---|
海外在住の日本人の相続人 | 戸籍謄本 | ・日本の役所で親族による代理取得 ・日本の役所に郵送で請求 |
外国籍の相続人 | ・出生証明書 ・婚姻証明書 ・家族証明書 (いずれか1点) | ・婚姻手続きを行った領事館・区役所・公安局など各国により異なる ・オンライン申請が可能なケースもある |
宣誓供述書 (補足書類として必要な場合がある) | ・日本大使館 ・現地の公証人事務所や弁護士事務所 | |
海外在住の日本人の相続人と外国籍の相続人の両方 | 署名証明書(サイン証明) | ・日本大使館 ・領事館または総領事館 ・現地の公証人 |
署名証明書の翻訳証明書 | ・翻訳会社 ・日本大使館や領事館で紹介する翻訳者 |
|
署名証明書のアポスティーユ | 各国の行政機関(国により外務省・法務部など異なる) | |
署名証明書の領事認証 (アポスティーユの取得ができない場合に限り領事認証が必要) | ・日本大使館 ・領事館 |
日本国内に住所がない場合は印鑑証明書が取得できないため、代わりにサイン証明(署名証明書)が必要となります。
サイン証明とは、公証人や在外公館の職員の目の前でサインをし、本人がサインをしたことを証明するものです。
サイン証明は、法務省や登記研究所の実務において、印鑑証明書の代替として正式に認められているもので、相続登記や遺産分割協議書への署名の証明手段として広く使用されています。
遺産分割協議書への署名を行う際は、在外公館や公証人によるサイン証明を取得しておくことが強く推奨されます。
サイン証明がない場合、登記や金融機関手続きで受理されない恐れがあります。
近年では一部の国において、電子署名やオンライン公証の制度が整備されており、居住国によってはリモートでの認証も可能になってきています。
ただし、日本側の受け入れ機関(法務局や金融機関)が電子的手続きを受け付けていないケースもあるため、事前に確認が必要です。
証拠性をより高めるためには、遺産分割協議書に対し、日本の公証役場で「確定日付」または「私署証書認証」を取得するのも効果的です。
確定日付や私署証書認証を取得することにより、署名日や当事者の意思の証明に役立ちます。
相続登記(不動産の名義変更)
遺産のなかに不動産がある場合には、遺産分割協議書の作成後に相続登記を行います。
相続登記は、不動産の名義を故人から相続人が不動産の名義人として登記される手続きです。
2024年4月より相続登記は義務化されているため、相続発生より3年以内に登記しないと過料の対象となってしまうので忘れずに行う必要があります。
相続登記は、法務局へ申請書と必要書類を提出して手続きを行います。
相続人自ら手続きを行っても法的に問題はありませんが、専門知識が必要となるため司法書士に依頼するのが一般的です。
海外在住の方が相続登記を行うには、通常は以下の書類を必要とするケースが多くなります。
相続人の状況 | 必要書類 | 取得場所・取得方法 |
---|---|---|
海外在住の日本人の相続人 | 戸籍謄本 | ・日本の役所で親族による代理取得 ・日本の役所に郵送で請求 |
外国籍の相続人 | 出生証明書 婚姻証明書 家族証明書 (いずれか1点) | ・婚姻手続きを行った領事館・区役所・公安局など各国により異なる ・オンライン申請が可能なケースもある |
宣誓供述書 (補足書類として必要な場合がある) | ・日本大使館 ・現地の公証人事務所や弁護士事務所 |
|
海外在住の日本人の相続人と外国籍の相続人の両方 | パスポートのコピー | 自国で発行 |
署名証明書(サイン証明) | ・日本大使館 ・領事館または総領事館 ・現地の公証人 | |
在留証明書 | ・日本大使館 ・領事館または総領事館 | |
翻訳証明書 | ・翻訳会社 ・日本大使館や領事館で紹介する翻訳者 |
|
アポスティーユ | 各国の行政機関(国により外務省・法務部など異なる) | |
領事認証 (アポスティーユの発行ができない場合) | ・日本大使館 ・領事館 |
相続登記には、住民票の代わりとなる在留証明書等が必要です。
国によって発行できる書類が異なるので、用意できない場合は代替できる書類を法務局に確認しましょう。
たとえば、出生証明書がない国では家族証明書で代用できる、などほかの書類で代替できる場合があります。
金融資産・証券等の名義変更・払戻手続き
銀行預金や証券口座の解約・名義変更を行います。
海外在住者が用意する書類は相続登記で使う書類とほぼ同じですが、金融機関が独自に定めた相続手続き用の申請書や委任状などが必要となる場合があります。
また、銀行によっては本人確認書類や在留証明書を求められる場合があります。
独自のルールや追加書類があるケースが多いため、事前に金融機関への確認が必須です。
海外在住で相続続きをする際の注意点
相続人が海外在住の場合は、日本国内の相続人の手続きとは異なる点が多いため注意が必要です。
以下の点に注意しましょう。
- 印鑑証明書が取得できない
- 翻訳・認証・アポスティーユの手間を見越しておく
- 書類の郵送も時間がかかるので、余裕を持ったスケジュールで行う
- 相続人が海外在住でも相続税の申告が必要になる
- 現地と日本の法律の違い・国際的な法的リスクに注意する
知らずに手続きを始めてしまうと、失敗のリスクへとつながります。
気を付けるポイントを詳しく解説します。
印鑑証明書が取得できない
海外在住者は日本国内に住民登録がないため、印鑑証明書の取得ができません。
印鑑証明書の代わりとなる署名証明書(サイン証明)を居住国で発行します。
即日発行される国もありますが、数日から1週間程要するケースがあり、事前予約が必要なケースもあるなど、国ごとに事情が大きく異なります。
また、相続人が直接大使館や領事館へ出向かなければならないため、時間の確保が必要です。
翻訳・認証・アポスティーユの手間を見越しておく
戸籍謄本や印鑑証明書の代わりとなる書類を取ることに加えて、翻訳やアポスティーユの発行も必要となります。
海外で発行された書類は外国語で書かれているため、日本語訳を付けて提出しなければなりません。
書類の提出先によっては、翻訳証明書の添付を求められることもあります。
相続人自身で翻訳を行っても翻訳証明書は発行できないため、プロの翻訳者や翻訳会社などに依頼をして証明書を発行してもらいましょう。
また、相続登記や金融機関の手続きでは、海外発行の書類が正規のものであると証明するための、アポスティーユや領事認証の提出を求められます。
一部の国では即時発行できますが、多くの場合は数日~2週間程度かかり、郵送対応となります。
翻訳もアポスティーユも日数がかかることを想定して準備を始めましょう。
署名証明書(サイン証明)の取得方法
サイン証明の取得方法は2種類あり、提出先によってどちらか指定されるケースもあるので、事前に確認してから取得しましょう。
それぞれの取得方法や特徴を解説します。
在外公館で取得する場合
在外公館とは、大使館・総領事館・領事館のことで、このいずれかでサイン証明が取得できます。
日本国籍をもつ方は在外公館での取得が可能です。
日本国内の機関に提出する際に受理されやすく、翻訳や追加の認証が不要になる場合もあります。
現地公証人+アポスティーユで
現地公証人とは、居住国で書類の有効性を証明してくれる人です。
現地の弁護士事務所や国家資格者の事務所など、国によりさまざまな場所で行っており、在外公館よりも身近で探しやすいのがメリットです。
日本国籍と外国籍のどちらの相続人でも利用できます。
ただし、公証人の証明だけを単独では使えず、アポスティーユの取得もセットで行わなければなりません。
書類の郵送も時間がかかるので、余裕を持ったスケジュールで行う
海外の相続人と書類のやり取りをするには、郵送に時間がかかることを考慮し、スケジュールに余裕をもって行いましょう。
遺産分割協議書は原本の1通のみが有効となり、ファックスやコピーは効力がありません。
そのため、データで送ったものを印刷して署名をしても無効となってしまいます。
相続人が複数人いてそれぞれが遠方に住んでいる場合は、原本を郵送で送って1人ずつ順番に署名押印をしていかなければなりません。
海外への郵送は往復で2週間~3週間以上かかることもあるため、余裕をもって手続きを進めましょう。
相続人が海外在住でも相続税の申告が必要になる
相続人が海外在住者でも、日本国内にある財産を相続する場合には相続税がかかります。
相続税は、日本の税務署に対して円で納付する必要があります。
海外在住の相続人が納税する場合は、次の方法があります。
- 日本にある自分名義の銀行口座から振込で納付
- 納税管理人に現地通貨で送金し、日本で納付してもらう
- 国際送金で直接日本の税務署が指定する口座に送金(※要事前確認)
為替レートの変動により、納付額に差額が生じるリスクがあるため、あらかじめ余裕を持った金額を用意しておきましょう。
また、海外送金には手数料がかかるほか、国によっては送金制限もあります。事前に金融機関への確認が重要です。
相続税の申告が必要な場合、納税管理人の届出が必要になる
海外在住の相続人が相続税の申告を行う場合、納税管理人を選出して税務署へ届け出をすることが必要になります。
納税管理人とは、海外在住の相続人に代わって相続税の申告手続きや納付を行う方のことです。
誰を選んでもかまいませんが、日本国内に住んでいる方であることが条件です。
親族や友人、税理士などの専門家に依頼をするケースが多く見られます。
相続税の申告期限は相続が発生したことを知ってから10ヶ月以内であるため、期限前には納税管理人を決めておかなければなりません。
海外資産も課税対象になる可能性がある
海外にある不動産や外国口座の預貯金などの財産も、課税対象となるケースがあります。
被相続人(故人)が日本在住者であれば、遺産が海外にあったとしても日本の税制が適用されます。
さらに海外の居住国でも相続税が課され、二重課税となる可能性もある点に注意が必要です。
税条約では、わが国と異なる規定を置いている国との二重課税を防止するため、個人および法人がいずれの国の居住者になるかの判定方法を定めています。二重課税を回避するには、相続税の支払い前に、税務署または税理士を通じて「租税条約の適用に関する届出書」を提出し、必要に応じて外国税額控除の申告を行います。日本と相続人の居住国が相続税の租税条約を締結しているかどうかは、国税庁の国際課税担当部署または現地の在外公館へ問い合わせると確実です。
国によって課税される条件が異なるため、租税条約の確認をしましょう。
現地と日本の法律の違い・国際的な法的リスクに注意する
日本で決められている相続順位や遺言書の効力などが、外国ではまったく異なるケースも珍しくありません。
相続人の居住国でも相続手続きを行う場合は、居住国と日本のどちらの法律を優先させればよいか確認が必要です。
専門的で複雑な内容となるため、国際的な相続は専門家に任せるのが安心です。
海外在住で相続手続きをリモートで行うのは困難!国内代理人の活用が有効!
相続手続きでは、日本国内での書類の取得や登記申請、金融機関とのやり取りなどさまざまな手続きを行います。
印鑑証明の取得や登記申請など、一部の手続きは日本国内の役所でしか完結できません。
すべての手続きを海外からリモートで行うのは無理があるため、日本国内に代理人を立てるのが一般的です。
委任状で代理人に手続きを任せることで、海外からでは難しい手続きもスムーズに進められます。
代理人は、以下の方たちに頼むケースが多く見られます。
- 家族や親族
- 弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの専門家
- 友人・知人
司法書士は相続登記の専門領域とされており、実務でも数多く取り扱っています。
報酬を得て相続登記の代理を行うには、司法書士の資格が必要です。
大切な手続きであるため、家族や親族以外なら専門家に依頼をするのが適切でしょう。
専門家なら実務の知識があり、手続きの正確性や法的リスクの回避に有利です。
相続人が海外在住の場合の相続手続きなら司法書士へ依頼がおすすめ
相続人が海外在住なら、相続手続きを確実に期限内に終わらせるためにも司法書士へ依頼しましょう。
海外在住の相続人が国を超えて日本の相続手続きを行うのは、通常の相続に比べて難しくハードルが高いものです。
相続人や財産の調査・相続登記・預貯金の払い戻しなど、ほとんどの手続きが日本で行われ長期間におよびます。
たとえば、相続登記だけで1〜2ヶ月、銀行口座の解約でさらに1ヶ月程度かかることもあるのです。
また、不動産の相続登記は司法書士が専門にしていることから、相続の手続きは司法書士が適切といえます。
(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
引用元:司法書士法第3条
海外在住者の相続は専門知識が必要となり、相当な時間を費やすため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
海外在住で相続手続きを行うなら杠(ゆずりは)司法書士法人へ!
海外在住の相続人が日本の相続を行うには、国内在住者とは異なる書類や署名の仕方があります。
知らないまま手続きを進めると書類に不備があったり、遺産分割協議書が無効になったりとリスクを負いかねません。
確実で正確に相続手続きを行うには、相続の専門家の力を借りるのがよい方法です。
杠(ゆずりは)司法書士法人では、海外在住者の相続手続きについてもサポートしております。
専門的な知識に不安がある方や相続登記を行いたい方は、杠(ゆずりは)司法書士法人へご相談ください。
本記事に関する連絡先
TEL: 06-6253-7707
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