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遺言書作成費用はいくら?種類別の目安と専門家に依頼する相場を解説

遺言

投稿日:2025.05.28

遺言書作成にあたって、費用がいくらかかるのかわからず、どのように作るべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

作成費用は、遺言書の種類や依頼する専門家によって差が出ます。

自力で作れば出費を抑えられますが、不備によって無効になったり、相続トラブルに繋がるリスクもあり、注意が必要です。

本記事では、遺言書作成費用の内訳や種類ごとの相場、専門家別の報酬など、わかりやすく解説します。

遺言書作成費用は実費と専門家報酬がある

遺言書の作成費用は、大きく次の2つに分けられます。

  • 書類取得や手続きなどにかかる「実費」
  • 弁護士や司法書士などに支払う「専門家報酬」

具体的に何にお金がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。

自分で遺言書を作成する場合にかかる実費の内訳

遺言書の形式によって作成費用は異なりますが、自分で作る際も必要書類の取り寄せなど、実費が生じる場合があります。

主な実費の内訳は、以下の通りです。

  • 必要書類の取得費用
  • 役所に支払う手数料
  • 証人の日当

必要書類の取得費用

遺言内容によっては、正しく財産を記すために、公的な書類が必要になるケースがあります。

書類の入手には費用がかかります。

たとえば、不動産登記事項証明書は約600円、預金や株式の残高証明書は550円〜1,100円程度が目安です。

揃えなければならない書類が多いと、合計で数千円単位になることもあります。

役所に支払う手数料

公正証書遺言は、公証役場で公証人の立会いのもとに作成します。

公証役場では財産総額に比例した作成手数料がかかり、公証人に出張してもらう場合は、手数料が1.5倍になり、日当や交通費も必要です。

証人の日当

公正証書遺言や秘密証書遺言は、証人として2人立ち会って作成します。

証人に支払う費用として、以下が日当の目安です。

証人の依頼先 日当の目安
友人や知人 0~5,000円の謝礼程度
公証役場 1人 7,000〜15,000円程度
専門家(弁護士・司法書士など) 1人 1万円〜5万円程度

遺言書の保管料・執行費用など作成後にもかかるお金

遺言書は作成後の「保管」や「執行」にも費用がかかることがあります。

たとえば、自筆証書遺言を法務局で保管すると1件3,900円、専門家や金融機関では年間5,000〜10,000円が一般的です。

ただし、専門家や金融機関による保管サービス料金は幅が大きく、年間の継続手数料以外にも初期登録料がかかるところも多いです。(※参考:三井住友信託銀行「遺言信託」:基本手数料30万円+保管年会費5,500円)

また、遺言を実行する際には、執行者に対して報酬を渡します。

専門家への執行報酬の相場は財産総額の1%〜3%で、金融機関では最低50万円〜100万円と決められていることがあります。

(遺言執行者の解任及び辞任)

第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。

引用元:民法第1019条

弁護士や信託銀行が遺言執行者となる場合、総資産額の1〜3%程度が一般的な報酬水準とされますが、各事務所や契約形態により異なります。

報酬基準は明文化されておらず、個別見積もりを確認する必要があります。

遺言書の種類ごとの作成費用の違い

遺言書は主に3種類あり、以下のように作成費用や特徴が異なります。

遺言書の種類 作成費用の目安 特徴
自筆証書遺言 0円〜数千円程度 ・自分で手軽に作れるが、日付・署名・押印の欠落など、民法第968条第1項で定められた形式に不備があると無効になるリスクがある
・法務局で保管する場合は3,900円かかる
公正証書遺言 2万円〜15万円以上 ・法的な有効性が高く、内容の不備や相続トラブルが起こりにくい ・原本は公証役場で保管される
秘密証書遺言 1万1,000円〜10万円程度

・内容を秘密にできるが、自筆証書遺言と同様に形式ミスで無効になるリスクあり
・保管は自分で管理する

自筆証書遺言の作成費用

自筆証書遺言は、自分で全文を記載する方法で、紙とペンがあれば作れるため、ほとんど費用がかかりません。

ただし、不動産や預貯金に関して記載する場合、以下のような必要書類の入手で実費が生じます。

  • 不動産の登記事項証明書:1通 600円
  • 預貯金や株式の残高証明書:1通 550円~1,100円程度

また、法務局で保管できる「遺言書保管制度」を利用すると、手数料は1件3,900円です。(参照:自筆証書遺言書保管|法務局

コストを抑えられる点がメリットですが、内容や形式に間違いがあると無効になったり、相続争いの原因にもなるため、注意が必要です。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらうため、法的な有効性が高く、その分、費用もかかります。

主な内訳と目安は以下の通りです。

項目 費用の目安
必要書類の取得費用 約5,000円(戸籍謄本:1通 450円、住民票:1通 300円、印鑑登録証明書:1通 300円 など)
公証役場への作成手数料 財産総額に応じて変動
証人の日当(2名分) 0円〜10万円前後(依頼先により異なる)
公証人の出張費(公証役場以外で作成する場合) 作成手数料の50%増+公証人の日当1〜2万円+交通費

公証役場に支払う作成手数料は、財産総額に応じて、以下の通り法定されています。

財産総額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 1万1,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万7,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 2万3,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 2万9,000円
5,000万円を超え1億円以下 4万3,000円
1億円を超え3億円以下 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算
10億円を超える場合 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算

引用元:Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか? | 日本公証人連合会

※財産総額が1億円以下だと、上記に1万1,000円がプラスされます。

さらに、専門家に原案を作ってもらうと、報酬として相場5万〜50万円を支払います。

秘密証書遺言の作成費用

秘密証書遺言は、内容を誰にも知られずに作成できる形式で、公証役場でその存在を証明してもらえます。

費用の目安は1万1,000円〜10万円ほどで、以下が主な内訳です。

項目 費用の目安
必要書類の取得費用 不動産の登記事項証明書(1通 600円)、預貯金の残高証明書(1通 550円~1,100円程度)など必要に応じて取得
公証役場に支払う手数料 1万1,000円(遺言の存在を証明する手続き)
証人の日当(2名分) 0〜10万円前後(依頼先により異なる)
公証人の出張費(公証役場以外で作成する場合) 作成手数料の50%増+公証人の日当1〜2万円+交通費

秘密証書遺言は公証役場で中身を精査されないため、自筆証書遺言と同様に、間違いがあると無効になるリスクがあります。

保管も本人が行うため、管理方法を検討する必要があります。

専門家に依頼する場合の遺言書作成費用の相場

遺言書作成を専門家に依頼すると、無効になるリスクや手続きの負担も軽減できますが、報酬として費用がかかります。

遺言書作成を依頼できる専門家ごとの費用はそれぞれ事務所や対応範囲などによって大きくことなるため、一概に言えません。

専門家の特徴は、以下の通りです。

専門家 費用の相場 特徴
弁護士 事務所によって異なる 複雑な相続や紛争対応に強い
司法書士 事務所によって異なる 民法や不動産相続に詳しく、費用面でも現実的な選択肢になりやすい
信託銀行・信託会社 会社によって異なる 作成・保管・執行までフルサポート

費用も重要ですが、専門家によってサポートできる範囲や強みが異なるため、ご自身が必要なサポートを受けられる専門家を選び、まずは相談してみることが第一歩です。

弁護士に依頼した場合

遺言書作成を弁護士に依頼する費用の目安は事務所によって異なります。

弁護士は法律関係のトラブルへの対応力があり、特に相続人同士で揉める可能性がある場合や、遺産分割が複雑なケースでは安心です。

ただし、内容が複雑な場合や相続財産が多いと、費用が高くなることがあります。

司法書士に依頼した場合

遺言書作成を司法書士に依頼する費用の目安も事務所によって異なります。

司法書士は、相続全般の法的な手続きに強く、相続登記に強いのが特徴です。

相続において実家など、不動産の相続登記が必要なケースが多いため、相続の相談は司法書士が適しています。

信託銀行・信託会社に依頼した場合

遺言書作成を信託銀行・信託会社に依頼する場合の費用も会社によって異なります。

信託銀行では「遺言信託」というサービスを提供しているところが多く、遺言書の作成だけでなく、保管・執行までを一括で依頼できる点が特徴です。

費用は、基本手数料、保管料、遺産額に応じた遺言執行報酬など、サービス内容により大きく変動します。

費用は一定程度かかりますが、全てを任せられるため、資産が多く遺産管理を一任したい方に向いています。

遺言書の作成費用を抑える方法

遺言書の作成費用を抑えるためには、以下の方法があげられます。

  • 自筆証書遺言を活用する
  • 無料相談窓口を活用して下書きを作成する
  • 遺言書を簡素にする
  • 記載財産を絞って作成手数料を節約する
  • 公証人の出張を避ける
  • 証人を自分で手配する

それぞれ詳しく解説します。

自筆証書遺言を活用する

遺言者が自ら全文を手書きして作成する「自筆証書遺言」は、必要書類の取得以外に、費用はほとんどかかりません。

法務局での保管を依頼する場合は、手数料3,900円程度がかかりますが、費用をかけることなく手軽に作成や修正できる遺言書です。

自筆証書遺言を活用するリスク!

一方で、自筆証書遺言には、「無効になる」「遺留分トラブルが起こる」といったリスクがあります。

自筆証書遺言には法律で定められた形式要件があり、「全文自筆」「日付と氏名の記載」「押印」などの形式を守る必要があります。

(自筆証書遺言)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

引用元:民法第968条第1項

内容に不備があり無効と判断された遺言書は、効力を持たず、遺産分割協議が必要です。

また、自筆証書遺言は遺留分トラブルが起こるリスクもあります。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が、法律で保証された最低限の遺産取り分のことです。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求によって、遺留分に相当する金額を優遇された相続人に請求できます。

自筆証書遺言は自由に内容を書ける一方、相続トラブルの原因となるケースも多く、遺言書の内容には十分な配慮が必要です。

 

遺言書を簡素にする

遺言書の内容が複雑になるほど、専門家の作業量が増えて作成費用もかさみます。

「財産ごとの細かい指定を減らす」「相続人の人数を最小限にする」など、内容をシンプルに整理することで、作成費用を抑えることが可能です。

記載財産を絞って作成手数料を節約する

公正証書遺言を作成する場合、相続財産の合計金額に比例して作成手数料が決まり、数万円以上差が出ることがあります。

対策として、生前贈与を活用して財産を減らしたりすることで、作成手数料を減らすことができます。

ただし、相続トラブルや相続税リスクがあるため、専門家と連携して進めるのが安全です。

公証人の出張を避ける

公正証書遺言を公証役場以外の自宅や病院などで作成する場合、公証人への出張手数料が発生します。

公証役場に支払う手数料の割増料金(1.5倍)や、公証人の日当(1〜2万円)、そして交通費がかかります。

自分で公証役場へ出向くことで、出張費用の削減が可能です。

証人を自分で手配する

公正証書遺言や秘密証書遺言書の作成には2名の証人が必要で、日当として費用が発生します。

公証役場や専門家に依頼すると1人7,000円〜5万円ほどかかりますが、友人や知人など、信頼できる証人を自分で手配すると、費用が節約できます。

ただし、証人は利害関係のない第三者であることが必要です。

遺言書の作成費用に関するよくある質問

遺言書の作成費用に関するよくある質問をまとめました。

遺言書の作成費用は誰が払うの?

遺言書の作成にかかる費用は、基本的に遺言者本人が負担します。

自筆証書遺言であっても、公正証書遺言であっても、作成時点では遺言者自身が生きており、費用の支払い義務も遺言者にあるとされるのが一般的です。

ただし、遺言の「執行」に関する費用は事情が異なります。

たとえば遺言者が亡くなっており、遺言書の内容を執行する「遺言執行者」が選任されている場合や、専門家への報酬や各種手続きにかかる実費など、遺言執行にかかる費用は、遺産の中から支払うことが認められています。

(遺言の執行に関する費用の負担)

第千二十一条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

引用元:民法第1021条

遺言書の費用が不安な方は専門家へご相談を

遺言書作成を自分で行う自筆証書遺言は費用を安く抑えられますが、内容の不備で無効やトラブルに繋がるリスクを伴うため、注意が必要です。

遺言書を作成する際は、費用やリスクを理解し、必要に応じて専門家を活用することで安全に作成できます。

遺言書作成が不安な方は、専門スタッフが多数在籍する杠(ゆずりは)司法書士法人へご相談ください。

まずはヒアリングにて財産の種類やご家族構成などを詳しく伺い、それに応じた遺言書の形式や必要書類をご案内しています。

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