「おひとりさま」が認知症になったら困る、お金の管理と介護サービス
成年後見
|更新日:2022.12.3
投稿日:2013.01.15
老後の暮らしを単身で送る、いわゆる「おひとりさま」の立場の方にとって、将来もし自分が認知症などで判断能力が衰えたときの不安を抱えている方は少なくありません。
特に、お金の管理と介護サービスの受給の2つについて、大きな問題が生じてしまいます。
厚労省によると、全国の認知症の高齢者数は、現在で300万人を超えているという推計が発表されています。
これは、65歳以上の実に10人に一人が認知症であるということになります。多いような、少ないような、両方の感想を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
数字の上では10人にひとりですが、年齢が進むにつれ、認知症の発症率は高まります。実際、介護の現場を訪れている方の中には、70代、80代の認知症の方はもう少し多いような印象を持つ方も出てくることでしょう。
最近では『明日の記憶』や『私の頭の中の消しゴム』などの認知症を取り上げた映画が、世間でも話題作となっていました。これらの作品によっても、認知症という症状の存在がよりなじみ深いものになってきつつあるのではないでしょうか。
映画などの中でもさまざまに描かれていますが、認知症になってしまうと、ものを覚えることに限らず、大切な人や、愛する人すら分からなくなってしまうという、厳しく悲しい現実が突き付けられることがあります。
人生をどう生きるか、自分がそんな立場に置かれたらどうなるのか、と考えさせられることも多いと思います。
さらに、映画では描かれない、リアルな生活の中で困ることも出てきます。もし、将来認知症になってしまったら、具体的にどんなことに困ってしまうのでしょうか。
1.お金が管理できない
認知症の症状が進行してしまうと、今がどんな季節で、子供は何という名前で、今自分がどこに住んでいるのかわからない、もしくは、完全に思い違いをしているといった場合も少なくありません。
そんな状況では、自分の貯金が今いくらどこの銀行通帳に入っていて、月々の支払いなどをどこにどれだけ、どうやって払う必要があるのか、税金などをきちんと納めているのかも理解できない……というのが実際の話です。
そのような状況では、月々の生活費をとりわけて、そこから工面することすらままならなりません。誰か、本人に代わって管理をする立場の人がどうしても必要となってきます。
2.介護サービスを受けることができない
認知症の高齢者の方の中には、援助なしにひとりで生活することができない方は少なくありません。
しかし、自分が受ける介護サービスの内容が理解できず、契約ができない状態であるようなことも出てきます。
そうなると、そもそも在宅で介護サービスを受けることもできない可能性があり、有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの介護施設に入居をする契約を結ぶこともできなくなってくるでしょう。
そのような場合には、本人に代わってそういった所定の契約をする立場の人が必要となってきます。
こういった、お金が管理できないとき、介護サービスを受けることができないようなときには、本人に代わって誰か代わりにしてくれるような近しい家族がいれば、特に悩む必要はありません。
しかし問題は、ひとりで暮らす「おひとりさま」で、親族といっても精神的な意味でも物理的な意味でもちょっと疎遠で、頼める人がいないという方の場合です。そうした状況に該当する場合は要注意です。
それでは、もし、認知症になってしまったら、その後のお金を管理してもらい、自分のために介護サービスを契約してもらえるようにするには、どうしたらいいのでしょうか…。
成年後見制度
こういった場合、法律上で用意されている制度として「成年後見制度」というものがあります。もしかしたら聞きなれない方も少なくないかもしません。「介護保険」と同時に、2000年(平成12年)から始まった制度です。
ただ、介護保険に比べてまだまだ認知度は高くないという現状があります。
しかし、成年後見制度は、法律で認められた、きちんとした立場でお金を管理したり、介護サービスの契約をしたりすることができる人を選ぶことができるという、国が備えた正式な制度です。
つまりこの「成年後見制度」を使えば、不安な老後をすこしでも安心できるものへと変えていく準備をすることができるのです。
今後の長い人生を生きていく過程で、病気や介護のことだけではなく、さまざまなことが起こってきます。
特に、頼る家族や親族がいない方の場合や、またご自身の力で身を立ててこられ、今後もできれば誰かの世話にはなりたくないという方の場合は、介護や医療、お金、法律などの専門家やプロをうまく使いながら準備しておくことが必要になってきます。
まずは第一歩として、今後、自分の預金が使えなくて困ったり、自分のための介護の申請ができなくて不利になったりすることのないよう「成年後見制度」で備えることをお勧めします。
本記事に関する連絡先
フリーダイヤル:0120-744-743
メールでのご相談はこちら >>