このページの先頭です

司法書士法人 おおさか法務事務所

COLUMNコラム

本文へジャンプします。

おおさか法務は見た!
実録コラム百科

ここから本文です

事業承継の際の株式、役員の変更について

事業承継

2010.01.12

会社経営者の方から、後継者への事業承継についてご相談を受ける事があります。ひと言に事業承継といっても、会社の実情に応じてその形は様々で、会社の経営から一切手を引き後継者に一任したい方や、当分は後継者の後見役として監督したい方など、経営者の方のご意向に応じて手続きをご提案していくことになります。

 
 

事業承継には、取引先、金融機関などの対外的な引き継ぎと株式、役員など会社内部での引き継ぎがあります。長年経営者として会社を運営されてきた方は、取引先への挨拶回りや案内状の送付など対外的な引き継ぎは、ご自身で十分なされていることが多く、ご相談の内容で多いのは、株式や役員の変更についてです。今回は、事業承継の際の株式の承継と代表者の変更について述べたいと思います。

 

一般的に、中小の会社では、代表者が株式の過半数以上を持っていることが多く、株式の全部を持っているケースも多く見受けられます。株式は、議決権の過半数を持っていれば、原則取締役の選任・解任を行うことができ(ただし、監査役の解任は議決権の3分の2以上必要です)、3分の2以上を持っていれば、定款変更や合併、解散など会社の重要事項についてほぼ全ての決定を行うことが可能です(株主に著しく不利益を与える可能性のある、株式の強制取得手続や取締役の責任免除などは全株主の同意が必要です)。

 
 

株式を後継者に譲る場合は、会社運営の最終決定権を後継者にどの程度まで与えるのかを考える必要があります。例えば、後継者を代表取締役とし会社の運営を一任した場合でも、万一のときはすぐに代表取締役を交替したい場合は、株式の過半数は保有します。代表取締役は、取締役であることを前提としているので、取締役を解任されれば代表者の資格を喪失し退任します。会社の運営は全て任したいが、合併や解散などの重要事項については発言権を持ちたいときは、3分の1以上を保有しておくことも考えられます。後継者へ株式を全く与えず、決定権の全てを保有するということも当然あります。しかし、後継者に一定数の株式を譲ることで、自らの会社であるという意識を与え、経営意欲を高めるということも、現実的にはとても重要なことと言えるため、後継者への株式の承継は、今後の会社運営の決定権をどのようにするかを考え、後継者の意向も踏まえたうえで決めていくことになります。

 

なお、株式を譲る際には、贈与税の問題も深くかかわってくるため、一度に全てを譲る事ができないこともあります。将来的な事業承継を見据え、毎年、少しずつ株式を譲渡したり、また、他のコラムでも紹介した種類株式を活用することによりスムーズに株式が承継されるよう、工夫しなければならない場合もあります。

 
 

次に代表者の変更について考えます。事業承継の際には、後継者を代表取締役に選任することが通常です。


 

このときに、前経営者の地位については、いくつかの形が考えられます。

 

まず、前経営者が取締役を退任し、会社の直接的な運営からは手を引くという形があります。この場合でも前述したとおり、株式を過半数以上保有していれば、いざというときには、すぐに代表者の交替が行えます。また、しばらくは会社に身を置き、会社を見守りたいという場合には、代表取締役を退任して取締役として残る形があります。さらには、より強い形で会社の運営を監督し、また、後継者と共に運営を行っていく場合には、後継者を代表取締役として選任して、自分も代表取締役として残るという方法もあります。この場合には、対外的な肩書きとして後継者が代表取締役社長、前経営者が代表取締役会長となる形が多いでしょう。取引先や金融機関に対する対外的な信用力を考慮し、場合によっては後継者ではなく自身が窓口になって取引を行うことが可能です。


 

事業承継は、将来的に承継するべき後継者が決まっていても、その移行のタイミングはなかなか難しいものです。今回述べたように、一度に全てを譲るのではなく、段階を踏んで徐々に事業を承継してゆき、その間に後継者に経営者としての経験を積んでいってもらうことで、スムーズに事業承継を行うことも可能です。


 

(鈴山 展史)


→ 「事業承継の際の株式、役員の変更」について問い合わせる

本記事に関する連絡先

フリーダイヤル:0120-744-743
メールでのご相談はこちら >>

お問い合わせ

オンライン相談