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司法書士法人 おおさか法務事務所

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信託の活用(大切な人のために)

家族信託

2013.09.17

1.大切な人を守りたい

できればこれからも、「大切な人をずっと見守りたい。変わらず支えていきたい。」「この子にとって私にしかできない精一杯の愛情と支援を注いでいきたい。」

大切な人を守り続けている立場の人にとって、このうような想いとともに、そのための未来への不安も大きいかと思います。

大切な人のために、できること。

蓄えた金銭や収益アパートからの収入など、自分の保有する財産を、今だけでなく将来にわたって最大限に活用されるようにしたい。限りある資産を、子の成長に合わせて計画的に無駄なく活用していってほしい。

自分自身が元気なうちは、大丈夫かもしれません。しかし、ご自身が高齢で体力、気力が落ちてきたとき、自分での判断が難しくなってきたとき、亡くなった後、その先・・・、将来に向けて、今、思い描くどおりに限りある財産を活用していくことは必ずしも容易ではないかもしれません。

ご自身の財産なのですから、自分が思うように活用されて当然。しかしながら、実際には、なかなか本人の思うように財産の活用がなされることは困難な場合が多いのです。

たとえば、もし将来、病気や認知症などで、ご自身で財産を管理したり、契約したりすることが難しくなってしまった場合、ご自身の財産であっても自ら財産を活用することができなくなります。不動産の売却や預貯金の解約、新たな福祉施設との契約など、本人であってもできなくなってしまいます。そのため家庭裁判所で成年後見人という本人に代わって財産を管理する立場の者を選任する制度がありますが、成年後見人は、成年後見人の判断で、その時その時に本人のために活用されるように管理することができるだけです。成年後見人なりに本人のためになるように吟味して管理を行うことになるのですが、たとえば、「この財産を子供のためにこのように活用してほしい」とか、「不動産をこのタイミングで売却したい」と本人が元気なときに思っていても、成年後見人が必ずしもその意向どおりに実行できるとは限りません。後見人は、本人が守るべき大切な人の前に、まずは本人のために財産管理を行う必要があるからです。

また、本人が突然亡くなってしまった場合、ご自身の葬儀の方法や、自分に代わり、大切な人(たとえば障害を持つ子)のために、ある人に財産を管理してほしい、そのためその人に財産を確実に渡したい、希望する活用方法を伝えたい、と思っていても、亡くなった後の財産は残された相続人に委ねられ、本人の考えていたとおりの活用がなされるとは限りません。

遺言書を作成して、本人の意向を残しておくということは効果的です。たとえば、この収益不動産は長男に相続させる。ただし長男は、その賃貸収益を二男に毎月必ず渡すことを取得の条件とする。という負担付で財産を渡す方法も考えられます。しかしながら、このような負担が実行されない場合、遺言執行者によりその遺言内容を取り消すことができるのみで、当初の希望が果たされるとは限りません。

このような大切な財産を今思い描くどおりに活用させるための一つの方法として、「信託」の活用が注目されています。

2.信託の活用

たとえば障害を持つお子様がおられる場合、将来、自分に何かがあったときに、誰かにこの役割を託したいと思われることと思います。たとえばその子の兄弟であったり、信頼できる親戚であったり、どなたかに託さざるを得ません。

信頼できる人であるからこそ、「託したい」と思われるわけですが、

 「私の思い描くどおりに、財産を活用してほしい」

 「なるべくその人の負担が少なくなるようにしたい」

 「将来的にはその人に感謝の気持ちを表したい」

 「もし、その人に何かがあってもきちんとフォローやチェックができるようにしたい」

という不安や願いをお持ちになることかと思います。

信託とは、

 「財産を持っている人(託す人)」が、自分の財産を、「誰かのために」なるように、

「信頼のおける人(託される人)」に託すこと。

たとえば・・・、

親(託す人)は、収益不動産や金融資産などの自分の保有する資産を、

親の生前は、親自身のために(誰かのために)、

親が亡くなった後は、障害を持つ二男のために(誰かのために)、

今、希望するとおりの財産活用をしてもらうため、

長男に(託される人)に所有名義を移転します。

長男に所有名義を移転するといっても、長男は好き放題に財産を使えるわけではなく、使用・管理・処分方法や時期など、あらかじめ作成する「信託契約書」などに書かれる範囲のことしかできません。(違反する管理方法を行うと損害賠償請求の対象になったりします。)

長男は、信託契約書の記載に従い忠実に財産を管理します。長男は、長男自身の財産とはきちんと区別して管理する必要があります。名義が長男自身になっているため、預金の払い戻しや不動産の賃貸や売却など、自分自身で行えるため、スムーズに財産管理を行うことができます。

また、もし万一長男が破産などしてしまっても、その託された財産は、長男の固有の財産とは切り離され、破産による配当に充てられる財産とは区別され守られます。

また、管理してくれる長男のために一定の報酬を定めることもできます。

本人が亡くなっても、財産の名義は既に長男にあるため、煩わしい相続手続を経ることなく、引き続き二男のために財産を管理していくことができます。

また、本人や二男のために、財産を託される長男をチェック、フォローする立場として、長男の財産管理を監督する立場の人をあらかじめ定めておくことができます。この立場に専門家などを活用することで、長男がきちんと契約内容を実行することのチェックとともに、長男の財産管理をフォローすることで、長男の心理的負担を少しでも和らげることができます。またこの監督人が二男の成年後見人に就任することで、二男の財産管理および療養看護をする立場として、より確実に信託内容どおりの財産活用の実現を図ることができます。

そして、いつか二男が亡くなることにより信託が終了する場合は、残った財産が、長男または長男側の親族固有のものとなるように予め定めておくことができます。

このように信託の活用により、「託す人」が、「託される人」に財産自体とその活用方法を託すことで、今、思い描くどおりの財産活用を、オーダーメイド的に実現することができるのです。

信託の課題としては、財産の名義をあらかじめ移すことに対する抵抗感が、まだまだ大きいことが挙げられます。

また託される人の負担の軽減と信頼の確保をいかに図っていくかも大きな課題です。

私たちはこれらの課題を乗り越えるための方策を検討し、法律専門家として身近な立場で、信託に描かれる将来設計の実現をサポートしていきたいと考えております。

(石井 満) 

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