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契約書へ押す印鑑

その他

2012.01.10

会社間の取引の契約、また個人の方でも不動産の売買や賃貸をしたことのある方であれば、契約書に判を押すということはなじみ深いことであると思います。銀行口座を開設することや、あらゆる申込や契約においても同様です。日本は判を押す商習慣のある社会ですので、赤い朱肉のついた書類を見ると「なんとなく締まる」という印象を持たれる方もいるかもしれません。


 
 

そもそも、契約は、一部の例外を除いて、口頭であっても成立します。しかしながら、口頭で成立した契約について後から「言った、言わない」の争いになった場合、証明することが非常に難しくなります。そこで、きちんと内容を確認するために、契約書を作成することになるわけです。


 

そして、契約書に押す印鑑は、実印を押せばいいのか、認印を押せばいいのか、どちらがいいのか・・・という質問をよく頂戴します。今回のコラムでは、その違いについてご紹介したいと思います。


 
 

契約書の中に押された判については、民事裁判には、「二段の推定」(にだんのすいてい)という考えがあります。聞きなれない言葉ですが、「二段の推定」というのは、


 

1.

 

書類に本人のハンコが押してある場合、そのハンコは本人が真意により押したと推定する

 

(第一の推定)


 
 

2.本人が真意によりハンコを押した場合、その書類全体が本人の真意により作成されたと推定する

 

(第二の推定)


 

という法則のことです。


 
 

つまり、契約書に本人のハンコが押印されている場合、真実は本人がハンコを押していなくても、本人のハンコと証明された場合には、本人が真意で押印したことになるのです。また、そのことから、契約書全体が、本人の意思に基づいて成立したものと裁判で判断されてしまう可能性があるのです。


 

この本人のハンコとは、どこにでも手に入る認印ではなく、基本的には実印となります。なぜなら、実印であれば、印鑑証明書から本人のハンコと容易にわかるからです。実際の裁判では、「証明する」ということがカギになりますので、そういった意味で、契約書に実印を押すということは、裁判で争った場合に効果が異なってくることになります。


 
 

たとえば、契約書に実印が押されている場合を考えてみましょう。実際はどうであれ、「本人の意思で作成した書類に、ハンコを押した」という「二段の推定」を覆すには、何者かが印鑑を持ち出して書類に押印したことを、本人が証明しなければなりません。実際の話として、このような証明をすることは非常に困難です。


 

契約書に押印するユーザー側の立場からは、契約書への押印は認印でも実印でも構わない、ということになるでしょう。しかし、契約書に押印してもらうベンダー側の立場からは、押印は実印でもらうべきである、ということになります。実印で押印されていれば、印鑑証明書により本人のハンコと証明することで、契約書が本人の真意に基づいたものであることが推定されるため、契約書が本人の真意により作成されたことを別途で証明する必要がなくなるからです。


 
 

なお、先にも述べたように、実印を持ち出されて押印されてしまうと、その効果を覆すことは非常に骨が折れるため、実印の管理は厳重にしておく必要があります。


 

(西本 拓司)


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