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生命保険金の受け取りと遺産相続の違いとは

相続

2013.06.03

人が死亡すると、法律に定められているとおり相続が発生します。それと同様に、人が死亡することで発生するのが生命保険の受け取りです。亡くなった人が残した銀行の預貯金等も、生命保険によって支払われる死亡給付金も、受け取る人からすれば同じ「お金」ですが、実は「毛並み」がかなり異なり、ちょっとした勘違いから思わぬ問題になったりします。

このコラムでは、そんな「生命保険」の受け取りと遺産の「相続」の違いについて基本的なことを確認していきたいと思います。

そもそも、生命保険というのは生命保険会社(○○生命等)と個人との間の契約に基づいているものです。

生命保険の契約には「生命保険会社」のほかに、「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の3名が登場することになります。「生命保険会社」は、保険の対象となっている人(「被保険者」)が死亡するなど保険金支払いの事由が起きた場合、契約した金額を「保険金受取人」に支払うことを約束し、その代わりに「契約者」は「生命保険会社」に対して保険料を支払います。生命保険の種類は大きく「終身保険」「定期保険」「養老保険」の3種類に分かれますが、この中で相続との関わりが一番深いのは、被保険者が死ぬまで保障される「終身保険」ということになるでしょう。

例えば下記の図のような家族があったとします。

(※AとBの夫婦には子供がおらず、両親はすでに他界しているものとします。)

Aを「被保険者」、Bを「保険金受取人」とする終身保険をAが契約していた場合のことを考えてみましょう。このとき、Aが亡くなると、Bは死亡保険金を受け取ることができます。また一方で、Aが亡くなると、Aの相続人はBとCの2人となり、BとCは、Aの残した資産を相続する権利があります。

このとき、Bが受け取る2つのお金は、実は性質が異なります。死亡保険金はAと生命保険会社の契約に基づいて保険会社から支払われるものなので、Aの遺産とは考えません。Aの死亡によって、当然にBに受け取る権利が発生し、BとCが話し合いをして保険金をどちらが受け取るかとか、Aの残した預貯金をBCで分ける話し合いの際などに遺産の既得分としてカウントをする必要はなく、死亡保険金はBが単独で受け取ることができます。一方で、Aの遺産をBCが受け取るためには、双方で話し合いをしてどのように受け取るか合意する必要があります。

つまり、Bが受け取る死亡保険金は、基本的には他の相続人の誰からも邪魔されない、B本人だけの権利なのです。

ただし、ややこしいのは、相続税の計算上では話が違ってくるという点です。相続税については、死亡保険金は相続財産に含めて考えます。死亡保険金は「みなし相続財産」とされ、亡くなったAが残した他の財産と合わせて相続税の課税対象になります。つまり、死亡保険金も遺産に含めて計算します。とはいうものの、生命保険金には特典があり、一部の生命保険金には税金をかけないという「非課税金額」が決められています。具体的には、「500万円×法定相続人の人数」で算出される金額は税金がかかりません。上の例でいえば法律で決められた相続人はB、Cの2人となりますので1,000万円までは生命保険金を受け取っても税金の対象となりません。相続税対策として終身保険がよく利用されるのは、この特典のためです。

ところで、生命保険の受け取りと遺産の相続のそれぞれが絡み、結果の予測が難しいようなケースは他にもあります。人が亡くなって相続が起こったとき、残された家族が保険金の請求を行うということは通常なされる手続きであると思うので、こちらはしっかりと忘れずに請求をされることが多いと思います。むしろ問題が生じるのは、亡くなった方が誰かの保険の保険金受取人となっていたのに、死亡後もほったらかしにしておいたような場合です。

例えば、さきほどのABの夫婦の例を考えてみましょう。契約者であり、被保険者でもあるAよりも保険金受取人Bが先に死亡してしまったとします。受取人が先に亡くなってしまったということで、通常であれば保険金受取人を変更する手続きをとらなければなりません。しかし、Aが認知症となり手続きができない場合や、残された家族が保険の加入状況の詳細を知らなかった場合、まれに受取人が変更されずに亡くなったBのままである、というケースがあります。

保険料はAが負担していたわけですから、Aの実家側の家族(相続人)であるCからすると、先にBが死んでしまったからには「保険金を受け取る権利は、Aの相続人である自分が引き継ぐ」と思いこんでしまいそうなところです。しかしながら、先にも書いたとおり、保険金を受け取る権利は、保険契約から生じている受取人Bの固有のものです。

したがって、後日に被保険者のAが死亡した時点で、すでに保険金受取人Bは他界しているという場合、その受け取りの権利はBの相続人であるAとDが引き継ぐことになります。といってもAは亡くなっているので、Aの権利についてはAの相続人であるCが引き継ぐということになります。

というわけで、かなり複雑な結末となっていますが、要するに死亡保険受取人を変更していなかったということだけで、受け取りの権利を持つ人も、それぞれが受け取ることのできる金額も異なってきますし、場合によっては受け取りができないということも生じるので、注意が必要だということになります。

そして、契約者・被保険者のAが認知症の場合についてはさきほど少し触れましたが、場合によっては受取人Bが認知症になってしまっていることもあります。保険会社に保険金の請求を行おうとしても、本人の意思表示が必要となるため、そのままでは手続きが進みません。本人が意思表示できない場合は「成年後見制度」を利用する必要があります。ただ、最近は「指定代理請求人特約」という請求手続きを行う代理人の特約を生命保険契約に付けることで、万が一受取人が意思表示できない場合であっても、別の人が保険金を請求することができるようになっています。

ただ、これもそもそも生命保険の受け取りと遺産の相続の2つの間の大きな違いですが、生命保険の受け取りには期限があります。保険金の請求権は請求せずに3年たつと時効で消滅してしまうのです。さらに、個々の契約で2年で請求権が消滅するとしているケースもあります。

保険に加入していても、実際の受け取り方などの内容を把握しないでいると、思わぬ事態を生じる可能性もあります。相続対策にも有効となる生命保険ですが、実際の活用にあたっては注意が必要だといえるでしょう。

(白藤 善啓)

 

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