住宅ローンや法人の借り入れで「抵当権」と「根抵当権」と記載されている場合の違いとは?
不動産
|更新日:2022.12.11
投稿日:2012.04.09
まず、「抵当権」とは、一つの特定の債権のみを担保することです。
たとえば、A株式会社が新たな事業に手を伸ばそうとし、その事業には着手金が必要になったとしましょう。もちろん着手のための資金が現金で手元にあればそれに越したことはないのですが、手元にはなく、金融機関から借入をし、その借入金を着手金に充てるとしましょう。
その際に、金融機関から不動産(土地と建物)を担保に入れることが借り入れの条件となったので、担保の契約=「抵当権設定契約」を結びました。
この場合には、さきほどの特定の債権というのが、事業の着手金にあたることになります。この抵当権を設定する契約は、登記を入れることによって初めて権利を他の人に主張できる(第三者に対抗できる)ようになります。
次に、「根抵当権」とは、抵当権とは違って、不特定の債権について債権の範囲と極度額の“枠”を決め、その枠内で担保することです。
たとえば、金融機関とA株式会社の間で、事業への着手金だけでなく、その後の会社の運営資金などで借入れをしたり、また逆に返済したり、継続的な取引をしたい場合には、さきほどの抵当権では不便なところも出て来ます。
なぜならば、抵当権だと着手金の借入で1回目の抵当権設定登記、返済すれば1回目の抵当権の抹消登記、会社運営資金の借入で2回目の抵当権設定登記、返済すれば2回目の抵当権の抹消登記と、その都度その都度で契約を結ばなければならず、登記費用もかかり、とても煩雑になってしまうのです。
それに対して、根抵当権は、定められた枠内であれば、着手金と会社運営資金の用途の違う債権を、一括してひとつの根抵当権設定契約として借入れることが可能です。このため、継続的な取引をするならば根抵当権設契約の方が得策だといえるでしょう。
根抵当権設定契約も、抵当権と同様に、登記を入れることによって初めて権利を他の人に主張できる(第三者に対抗できる)ようになります。
また、返済した場合の手続きにも、抵当権と根抵当権では違いがあります。抵当権設定契約とは一つの債権のみを担保するので、全額返済することによってその契約は役目を果たし、たとえ登記上は抵当権設定登記が残っていたとしても、そこには効力が残っていません。
ですので、全額返済すると、しばらくの後に金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類が発行されてくることになります。
これとは反対に、根抵当権設定契約とは、不特定の複数の債権を担保するものでもあるので、一つの債権に対して全額を返済しても、枠内であればまた新たに債権が発生する可能性が残ります。
したがって、全額返済したからといって、根抵当権設定登記が残っているとすれば、その効力はなくならないのです。
このように、債権が「抵当権」か「根抵当権」かで、大きな特徴の違いがありますので、参考にしていただければと思います。
本記事に関する連絡先
フリーダイヤル:0120-744-743
メールでのご相談はこちら >>