印鑑登録制度とは
不動産
|更新日:2022.12.3
投稿日:2013.01.21
司法書士事務所が取り扱う業務の中で、不動産に関する取引(売買、ローンを組む等)や会社の役員変更をする場合、あるいは公正証書を作成する等、必要書類に実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければならないケースが多くあります。
実印と印鑑証明書の両方を第三者が持つということは普通はなく、その二点があれば取引等をするのは印鑑登録をしている本人自身であるという推測が強く働くため、重要な局面では提出を求められることがあるのです。
今回は印鑑登録制度についてご紹介しようと思います。
印鑑登録制度ができたのは明治初期で、当初は印影の照合をするための印鑑帳を各地の有力者(庄屋等)の手元に保管するという仕組みでした。
その後、公的機関(地方公共団体)が印影の管理をするようになり、今に至っています。現在は、住所を管轄する地方自治体で、氏名・住所・性別という情報とともに、印鑑の印影を登録し、その登録された印鑑のことを一般的には実印と呼んでいます。
登録時には印鑑カードが交付され、印鑑証明書を取得する際にはこの印鑑カードを持っていく必要があります。
印鑑登録制度のメリットとしては、冒頭述べたように、本人であることの信憑性の担保がしやすいという事のほかに、確認をする側にとって、印鑑照合は、身分証明書の顔写真を本人かどうか判断するよりは簡単で確実だといえるでしょう。
逆にデメリットとしては、多くの場合において印鑑証明書の有効期間が定められているため、期限切れの場合はまた取得しなおさなければならないという不便性や、印鑑カードと実印が同時に自分以外の者の支配下におかれた場合、非常に危険な状態になってしまうということ(実際に起きた事例としては、妻が夫の実印と印鑑証明書を添付して、多大な借金をしたケース等)があげられます。
世界の中でも印鑑登録制度を導入している国は日本・韓国・台湾しかありません。また、韓国では生活の不便解消やグローバルスタンダードに合わせた先進化を理由に、印鑑登録制度を5年以内に廃止するという決定が2009年になされています。
印鑑証明書が最も多く使われている不動産売買でも、身分証明書の提示やオンライン上で電子委任状に電子署名することで代替できるようになるそうです。
印鑑登録がない国は自署(サイン)すればそれで足りるとされており、そういう国の方から見ると、日本の印鑑登録制度は非常に不思議なものに思われるでしょう。
では日本の印鑑登録制度は今後どうなるのでしょうか。サインで足りるとなれば、それは手軽で簡単です。
しかし、重要な決定を下す場合に、サインだけで成立してしまうというのは、これまでの印鑑登録制に馴染みのある日本人にとっては違和感を感じることもあるでしょう。
ある程度不便な制度ではありますが、安全性・確実性の観点からするとやはりサインだけよりは信頼をよせるに足りると思われます。皆さんはどう思われますか?
ともあれ、実印と印鑑カードの保管を厳重にすることは非常に大切です。
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