合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の比較|杠司法書士法人|相続・遺言書や後見、企業法務のご相談 このページの先頭です

杠司法書士法人

COLUMNコラム

本文へジャンプします。

杠司法書士法人は見た!
実録コラム百科

ここから本文です

合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の比較

企業法務

|更新日:2022.12.10

投稿日:2012.06.18

通常、会社の設立をお考えの方は、まず「株式会社」が頭に浮かぶかと思います。しかし、設立費用や設立後の運営費用を少しでも安く抑えたい、また運営面でも手続をなるべく簡単にしたいという方には、「合同会社(LLC)」や「有限責任事業組合(LLP)」といった組織形態を選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

「合同会社」は、新会社法によって認められた会社で、アメリカでよく利用されているLLCという法人形態を輸入してきたものです。ここで注意点ですが、アメリカ版LLCは「パススルー課税」と「法人課税」を選択できますが、日本版LLCである「合同会社」は「法人課税」であり、「パススルー課税」は認められていません。なお、有限責任事業組合は「パススルー課税」が適用されます。

ところで「法人課税」とは、まず会社の利益に対して法人税が課税され、次にオーナー個人への利益分配の段階で配当課税されるという「二重課税」であり、一方「パススルー課税」とは、会社の利益には課税せず、オーナー個人に直接所得税を課税し、オーナーの他の個人所得と損益通算ができるというものです。よって、二重課税されてしまう日本版LLCである合同会社は使い勝手が悪いと指摘されることもあるようですが、配当控除や役員報酬として給与所得控除の制度を利用すれば一概に法人課税が税金面で劣っているとはいえません。

次に運営面でみると、合同会社(LLC)、有限責任事業組合(LLP)ともに株式会社と比べて手続きは簡単になっています。株主総会を開く必要はなく、決算公告の義務もありません。(ただし、債権者は計算書類の閲覧を請求できます。)また、広範な内部自治が認められており、利益分配の割合を出資額に関係なく定めることができます。

以下、合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の主な比較点をまとめたいと思います。

【法人格の有無】

合同会社
有り。よって契約の主体となれます。
有限責任事業組合
無し。ただし登記は可能であり、また組合としての印鑑登録を代表者名義で行うことができます。

【構成員の数】

合同会社
1人以上。
有限責任事業組合
2人以上。1人で起業したい方にとってはデメリットとなります。

【組織の意思決定の方法】

合同会社
社員の過半数の一致。
有限責任事業組合
原則として組合員全員の一致。

【資本金の公示の有無】

合同会社
登記事項となります。よって外部者にとって責任限度額が明確です。
有限責任事業組合
登記事項ではありません。よって外部者からは責任限度額が不明であり、信用力の面ではデメリットとなりえます。

【株式会社への組織変更の可否】

合同会社
可。よって許認可を要する事業の場合、当該許認可を株式会社にそのまま引き継がせることが可能です。
有限責任事業組合
不可株式会社にしたい場合、一旦組合を解散して、新たに株式会社を設立する必要があります。

以上、信用力の問題も気になり形態としては「会社」が良いが、費用をなるべく抑えてかつ運営の自由度も求めたい、というような場合は「合同会社(LLC)」を選択し、反対に「会社」という形態にはこだわらず、あくまでも個人事業の集まりとして協力体制を調えたい、というような場合は「有限責任事業組合(LLP)」を選択する等の使い分けが考えられますのでご参考にしていただければと思います。

本記事に関する連絡先

フリーダイヤル:0120-744-743
メールでのご相談はこちら >>

お問い合わせ

オンライン相談