土地区画整理事業について
不動産
|更新日:2022.12.1
投稿日:2012.01.16
不動産関係の仕事をしていると、「土地区画整理事業」や「仮換地」「保留地」という言葉を聞くことが多いかと思います。
しかし、どのような手続きで進められるのか、そして登記上はどのように処理されるのか、また土地区画整理事業内の物件の売買についての注意点、といったことは、なかなか説明が難しい場合もあるかと思いますので、以下にご説明させていただきます。
土地区画整理事業とは
古くからの市街地は一般に、道路が狭く形状も悪い、そして街区も雑然としていてまとまりがありません。そこで、このような市街地の道路を広くし、街区を整備することによって、住みやすい、まとまりのある、経済的価値の高い街を造るために土地区画整理事業が利用されます。
土地区画整理事業は、地権者が組合を作って行う場合が多く、その他に市町村等が主体となって行う場合もあります。地権者が共同で土地区画整理組合を設立する場合は、7人以上で定款や事業計画を定め、3分の2以上の同意を得て設立認可を受けます。事業の実施にあたり、地権者は原則としてお金を支出することはなく、代わりに自己所有の土地を提供します。
仮換地、保留地とは
区画整理事業施行前の土地のことを従前地といい、その従前地に対応する土地として事業実施により整理されて作られる土地を換地といいます。区画整理の工事が終わって従前地がなくなり、それに対応する新しい換地ができあがっても、登記上の権利関係はまだ従前地のままです。これを新しい換地へ変える手続きを換地処分というのですが、工事が始まってから換地処分が完了するまで、通常何年もの時間を要します。
そこで、「仮換地」という仮の換地を指定して、従前地の地権者が仮換地を使用できるようにしているのです。通常はこの仮換地がそのまま換地となるので、仮換地上に建物を建築することもできます。
そして通常、従前地の所有者に対して全ての換地を割り当てるのではなく、割り当てなかった一部の土地は売却し、その売却代金を事業費に充てます。この資金を捻出するために、地権者への割当てを保留する土地を「保留地」といいます。この保留地を設定しておくことで、地権者は原則として資金を出さなくても区画整理事業を行えるのです。
登記上の手続き
仮換地については、工事終了後に従前地の登記簿をそのまま利用して、表題部の地番、地目、地積の部分を変更することにより換地処分を行うのですが、保留地はそもそも対応する従前地がないので登記簿もありません。
そこで、
- 区画整理事業組合名義で表題登記
- 区画整理事業組合名義で所有権保存登記
- 買主への所有権移転登記
- 買主が融資を受ける場合は抵当権設定登記
を申請するという流れとなります。
区画整理事業内物件の売買についての注意点
換地処分が完了するまでの間に、従前地を売買することは可能です。この際、換地処分後の状態(地積・形状等)に注目して取引を行うので、現況の登記簿を見ても参考になりません。
このような場合は、従前地に対応する仮換地の状態や場所を示した「仮換地指定証明書」を確認する必要があります。
また、従前地と換地の価値は全く同じ価格になることはなく、清算金のやり取りを伴う場合がほとんどなので、売主と買主どちらが清算金を負担するかを明確にしておくことで後日のトラブルを避けられます。
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