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少人数私募債の活用法について

その他

|更新日:2022.12.13

投稿日:2009.09.25

少人数私募債とは、50人未満の投資家に対して募集を行い、かつ募集時及び発行後に社債口数が50未満となるように設計された社債のことをいいます。

この私募債の目的は、金融商品取引法上の開示規制(金融商品取引法4条1項、24条1項等)を免れ、会社法上の社債管理会社の設置義務(会社法702条但書、会社法施行規則169条)を回避することで、発行コストを大幅に低く抑えて社債を発行することです。

つまり、本来社債という有価証券を発行する際には有価証券届出書、目論見書を作成し、発行後には所轄の財務局へ有価証券報告書等を提出しなければならないところ、その必要がありません。

ですから、社債管理者としての業務を銀行や信託銀行等への委託をする必要がない、ということになります。

なお、平成19年9月30日における金融商品取引法施行により、以前であればその旧法にあたる証券取引法によって規制されていた1億円以上の少人数私募債の発行も大した規制なしに可能となっています。

この点については旧法の知識のまま混同されているケースがありますので、ぜひご注目いただきたいところです。

上記の少人数私募債の発行につき、資金調達や節税の必要性から、最近その依頼が増えているように思います。

具体的に少人数私募債をどのように活用するかにつき、以下に見ていくことにします。

1.資金調達

昨今の状況下では金融機関から資金調達をするのに苦労されている会社がよく見られます。

そのような場合に、会社関係者(社長、親族、取引先、社員等)を始めとした投資家からお金を集めるスキームとして利用することができます。

銀行も高額の発行手数料が見込めるため、融資の変形バージョンとして活用しているようです。

新株発行による資金調達と異なり、社債発行においては社長等の会社支配権に影響がない、あるいは出資者への利払いが配当とは異なり「税引前利益」から損金算入されるといった理由から中小企業には適した資金調達方法だといえます。

しかし、少人数私募債の要件を満たすためには社債に担保をつけることができないため、中小企業に対してある意味では無担保でお金を貸すことと変わらないので、投資家の範囲がおのずと限定されてくることが問題です。

2.節税

何代も続く優良企業等の中には、会社の収益から一族が取締役等役員として給与所得を分散して受け取り、その金銭を会社に対する貸付金という形で還流させて内部留保を厚くしている会社があります。

こういった会社においては、社長等の給与所得は概して高く、会社から受け取る貸付金に対する利息に対しても総合課税による最高税率50%が適用されることがしばしばです。

このような場合に、少人数私募債を利用すると、その受取利息については分離課税が適用され20%の源泉徴収で完結するため、節税策として利用することができます。

先に述べたように、最近は金融機関の財布のヒモが堅くなって融資を受けるのが難しくなっていますから、社長貸付金を「劣後債」として金利を若干高めに設定することも自然です。

特に社長貸付金が多く、かつ社長給与所得も高い会社においてはとても利用価値があります。

その他、事業者の相続対策として利用することができる局面もあり、その利用用途は意外と広く価値のあるスキームだと言えるでしょう。

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石井 満

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