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種類株式を発行しなくても、株主ごとに異なる取扱いができる方法

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|更新日:2022.12.21

投稿日:2010.10.22

会社法が施行されてしばらくが経ち、種類株式を導入する会社が非常に増えました。

種類株式の導入についてのご相談を受けるなかで特に多いのが、特定の方に議決権を集中させる種類株式、特定の方の議決権を奪う種類株式、特定の方に剰余金の配当を集中させる種類株式など、「人」を重視した種類株式の導入に関するご相談です。

意外と知られていないことなのですが、会社法が施行されたことにより、譲渡制限会社において

  1. 剰余金の配当を受ける権利
  2. 残余財産の分配を受ける権利
  3. 株主総会における議決権

以上の3つの権利については、種類株式を発行しなくても、株主ごとに異なる取扱いを行うことを定款で定めることができるようになっています。

例えば、「大阪太郎保有以外の株式については、議決権を有しない。」といったような定めです。このような定めを「属人的定め」と言います。(※なお、1.剰余金の配当を受ける権利、2.残余財産の分配を受ける権利の双方を奪う定款の定めは認められません。)

このように、種類株式を発行せず、この属人的定めを定款に定める一番のメリットは、登記事項証明書にその旨が記載されないことだと思います。

種類株式については、その内容や発行されている株式数等が登記事項となり、登記をしなければならず、その結果は登記事項証明書の記載として公示されることになります。

しかし、これに対して定款に属人的定めを定めたとしても、登記事項ではないので登記をする必要はありません。

したがって、登記事項証明書を見られたとしても、第三者に属人的定めを知られることはありませんし、登記の際に必要な登録免許税などの費用もかかりません。

属人的定めを定款に定める手続としては、株主総会において、「総株主の頭数の半数以上で総株主の議決権の4分の3以上」の賛成を得る特殊な決議が必要となります。

一方、特定の人が所持している株式だけを種類株式にするには、総株主全ての同意が必要となります。

特定の方だけに対して議決権や剰余金の配当について特別の定めをしたいのであれば、手続としても属人的定めを定款に定めるほうが簡易になります。

種類株式の制度が広まり、株式について異なる決まりを定めたいと考えた場合、「種類株式の発行手続」についてのみ考えてしまいがちですが、あえて種類株式にせずとも、定款に属人的定めを定めてしまえば目的を達成できることもあるのです。

種類株式の導入を考える際には、「属人的定め」を定款に定める方法もあることを考慮しましょう。

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西本 拓司

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