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家庭裁判所で相続の相談はできる?対応している手続き内容や6つの相談先について解説

相続

投稿日:2025.06.24

相続が発生した際、「何から始めれば良いのかわからない」と戸惑う方も多いでしょう。特に親族間でトラブルが起きている場合、家庭裁判所への相談を考える方もいるかもしれません。

しかし、家庭裁判所では基本的に相続に関する一般的な相談は受け付けておらず、特定の手続きのみを扱っています。

そのため、「相続の相談をしたい」と思った場合には、司法書士や弁護士といった専門家に依頼するのがおすすめです。

この記事では、家庭裁判所が対応する相続手続きの内容や、相続に関する相談ができる6つの相談先について詳しく解説します。

家庭裁判所で相続相談は基本的にはできない

家庭裁判所は、家庭内の争いの調停や審判、少年事件の保護審判などを行う場所です。

そのため、相続に関する具体的な相談は基本的には受け付けていません。

たとえば、「遺産をどのように分割するべきか」「遺産分割協議書の内容が適切かどうか」といった相談は対応外です。

ただし、手続きの一環として相続放棄の申請手続きに関する案内や必要な書類についての説明などは無料で受けられる場合があります。

相続に関する問題をスムーズに進めるために、適切な専門家への相談も視野に入れると良いでしょう。

家庭裁判所でできるのは相続の手続き

相続相談ではなく、相続に関する手続きをする場所が家庭裁判所です。

具体的には、以下の8つの手続きを行っています。

  • 遺言の検認
  • 遺産分割の調停
  • 特別代理人の選任
  • 不在者財産管理人の選任
  • 相続放棄の申述
  • 相続の限定承認の申述
  • 失踪宣告
  • 成年後見

次からは、それぞれの手続きがどのような内容なのか詳しく見てみましょう。

遺言の検認

被相続人の財産を誰にどれぐらいの割合で相続させるか、という内容を記載したのが遺言書です。

遺言書は法的効力を持つので、基本的には記載内容に従って相続を行います。

もしも、封印のある自筆の遺言書が見つかったときは、勝手に中身を見ずに家庭裁判所に申し出て遺言書を開封する法的手続きを行わなければなりません。

開封の手続きをすることを「検認」といいます。

ただし、現在は自筆の遺言書も法務局での保管が可能です。

法務局で保管された遺言書であれば、検認する必要はありません。

検認が必要な遺言書を所定の手続きを行わず開封したときは、5万円以下の科料が課せられる可能性があります。

被相続人の遺言書が見つかったときは、早めに家庭裁判所に提出して検認してもらうのが得策といえます。

遺産分割の調停

遺言書がなく法定相続人が複数人いる場合、被相続人の遺産をどのようにして分割するか決める必要があります。

しかし、相続人同士だけで協議を進めると意見が対立したり、不公平だと感じる人が出てきたりして話し合いがまとまらないことも少なくありません。

そのような話がまとまらないときには、家庭裁判所の調停委員が第三者として中立な立場で仲介し、全ての相続人が納得する協議案を決めます。

この調停委員が間に入り、遺産分割協議案を決めていくのが、遺産分割の調停です。

ちなみに調停でも遺産分割協議案が決まらないときは、自動的に審判となり裁判官が遺産の分割内容を指示します。

特別代理人の選任

未成年や認知症の相続人に代わって相続手続きを進める役割を担うのが特別代理人です。

基本的には親族から選出されることが多いですが、場合によってはそれが難しいケースもあります。

たとえば、未成年者の親が相続人として関わる場合、親と子どもの間で利害が対立することがあります。

このような状況では、親は未成年者の特別代理人としての役割を果たすことはできません。

そのため、家庭裁判所が公平な第三者を特別代理人として選任し、利害関係のない立場で手続きを進められるようにします。

特別代理人の主な役割は、遺産分割協議に参加し、未成年者や認知症の相続人の利益を守ることです。

不在者財産管理人の選任

遺産を分割する際、相続人のなかに連絡が取れない人や所在が不明な人がいる場合があります。

連絡が取れない相続人がいると、遺産分割協議を進めることが難しいです。

このような場合に、家庭裁判所で不在者財産管理人が選任され、その相続人に代わって不在者財産管理人が遺産の管理や分割手続きに関与します。

相続放棄の申述

相続人が財産の分与を受けることを望まない場合、家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行うことができます。

相続放棄をすると、プラスの財産はもちろん、借金などのマイナスの財産も一切引き継がずに済みます。

この手続きは、相続財産が発生したことを知った日から3か月以内に行わなければなりません。

期限を過ぎると、相続放棄が認められなくなるため注意が必要です。

相続の限定承認の申述

相続財産が発生した際には、「限定承認」という方法を選ぶことができます。

限定承認とは、相続する財産のなかでプラスの財産を使ってマイナスの財産を精算する手続きです。

プラスの財産がマイナスの財産を上回る場合、精算後の残った財産を受け取ることが可能です。

一方で、マイナスの財産が多い場合でも、それをプラスの財産の範囲内でのみ精算するため、相続人が自分の資産を使って借金を負担する心配がありません。

限定承認の申述も、相続する財産が発生してから3ヶ月以内に相続人全員が共同して家庭裁判所で行います。

失踪宣告

行方不明または生死が不明な相続人が7年間にわたり消息を絶っている場合、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることで、その人物を法律上死亡している者として扱うことができます。

失踪宣告の手続きは、不在者の最終住所地を管轄する家庭裁判所で行います。

この手続きが行われない限り、行方不明者が含まれる相続人全員の同意が必要な遺産分割協議を進めることができません。

失踪宣告が認められると、行方不明の相続人は死亡者として法的に扱われるため、残った相続人だけで遺産分割協議を進めることが可能になります。

ただし、行方不明者が死亡者とみなされた時点が被相続人の死亡日より前の場合、行方不明者の相続人が代襲相続人として遺産分割協議に参加することになります。

成年後見

認知症や知的障害、精神障害を抱える人、または未成年者に代わって財産管理や遺産分割協議で意思決定を行う役割を担うのが成年後見人です。

この制度は、本人の権利を守り、公正な意思決定をサポートするために設けられています。

成年後見人には特別な資格はありませんが、家庭裁判所が最終決定権を持つため、候補者を立てたとしても、必ずその候補者に決定される訳ではありません。

成年後見人を正式に選任するには、家庭裁判所で後見開始の審判を受ける必要があります。

家庭裁判所で相談はできない!相続相談できる場所

家庭裁判所は相続の手続きを行う場所であり、相続の相談は行えません。

相続相談をするなら、以下のような場所や人物に相談が可能です。

  • 司法書士
  • 弁護士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 銀行
  • 市役所や区役所

相談したい内容で、相談場所を決めると良いでしょう。

それぞれどのような相談を受け付けているのか詳しく紹介します。

司法書士

司法書士は、登記の専門家として、相続手続きの中でも有価証券や預貯金の手続き、不動産の名義変更などを多く扱います。

特に、不動産の相続登記は2024年4月から義務化されており、相続した不動産の名義変更が必要となった場合には、司法書士に相談するのが一般的です。

名義変更は自身で行うことも可能ですが、専門知識が必要なため、スムーズに進めたい場合は司法書士に依頼するのが安心です。

司法書士は、この分野の唯一の専門家として確実かつ迅速に手続きを進めることができます。

特に遺産争いがなく、相続財産に不動産が含まれる場合には、司法書士への相談が有効です。

また、相続放棄の相談や手続きも司法書士が対応可能です。

ただし、遺産分割で争いが発生している場合やほかの相続人との交渉を代理で行う必要がある場合は、弁護士など他の専門家への依頼を検討する必要があります。

弁護士

弁護士は法律の専門家であり、相続に関するあらゆる問題に対応できます。

特に、相続財産の分割で意見が対立し、争いが起きている場合には弁護士のサポートが必要不可欠です。

弁護士は相続に関連するトラブルを解決できる唯一の専門職であり、遺留分侵害額の請求や不当に使われた遺産の取り戻し、さらには相続放棄の手続きまで幅広く対応しています。

相続について「どこに相談すれば良いかわからない」という場合でも、弁護士に相談すれば間違いありません。

ただし、ほかの士業に相談するよりも費用が高くなる傾向がある点に注意が必要です。

税理士

税金に関するスペシャリストである税理士は、相続に関する税金の悩みを抱えたときに頼れる存在です。

「相続税が発生するのか」「課税対象となる財産があるのか」「具体的な税額はいくらになるのか」といった疑問を解消したいときに相談すると良いでしょう。

税理士は、相続税の金額の算出や節税対策のアドバイスも行ってくれます。

また、現時点では相続が発生していない場合でも、将来を見据えた相続税に関する相談が可能です。

事前に相談しておくことで、負担を軽減するための対策を早めに立てることができます。

実際には、相続税が発生しないケースも多いですが、そうした確認も含めて専門家に相談することで安心感を得られるでしょう。

行政書士

官公庁に提出する書類を作成してくれるのが行政書士です。

相続する車の名義変更や金融機関での手続き、相続に関する書類を作成してほしい場合は、行政書士に相談するのが良いでしょう。

相続の書類作成では、以下のようなケースに対応してくれます。

  • 戸籍謄本を集める
  • 家系図を作成する
  • 遺産分割協議書を作成する

受け取る財産に不動産が含まれず、相続税も発生しない場合、相続手続きは比較的シンプルに進められることが多いです。

このような場合、一部の手続きを行政書士に依頼し、残りは自分で対応する方法を選ぶことも可能です。

自分で手続きを行えば、専門家への依頼費用を抑えられるというメリットがあります。

ただし、専門知識が必要な場面もあるため、重要な手続きや不明点については、行政書士に相談してサポートを受けると安心です。

銀行

銀行でも相続に関する相談を受け付けており、相続した資産の運用方法についてアドバイスを受けることができます。

特に信託銀行では相続に特化した相談窓口があり、無料相談会を開催している場合もあるので、近くの銀行をチェックしてみると良いでしょう。

また、銀行を通じて司法書士や税理士といった専門家に相談することも可能です。

この場合、銀行が仲介役を務めるため、直接専門家に依頼するよりも手数料が加算され、費用が高くなることがあります。

ただし、手続きの一部を銀行がサポートしてくれる点は安心です。

普段から利用している銀行であれば、馴染みがあり気軽に足を運べるというメリットもあります。

市役所や区役所

市役所や区役所では、弁護士や税理士などの専門家と提携して無料相談会を開催している場合があります。

相続全般に関する相談が可能で、困ったことがあれば解決の糸口を見つける場として利用できます。

ただし、相談を希望する場合は事前予約が必要なことが多いため、市役所や区役所のホームページや広報誌で詳細を確認しておきましょう。

相談会の内容や申し込み方法も案内されているので、開催日時に合わせて申し込むことで効率的に活用できます。

注意点として、市役所や区役所での相談はあくまでアドバイスを受ける場であり、その場で専門家に具体的な業務を依頼することはできません。

たとえば、「相続財産を調査してほしい」や「遺産分割の争いを解決してほしい」などの依頼については、別途専門家のもとを訪れる必要があります。

市役所や区役所での無料相談は、解決の方向性を見つけるための第一歩として有用です。

相続に関するお困りごとはゆずりは司法書士法人まで

相続手続きでは、被相続人の遺産をどう分けるかだけでなく、さまざまなトラブルが発生しやすいものです。

初めて相続を経験する方にとっては、どのような手続きが必要で、どのような書類を用意すれば良いのか戸惑うことも少なくありません。

忙しい日々のなかで、手続きに必要な書類や情報を調べる時間を確保するのは難しい場合もあるでしょう。

そのようなときは、相続の専門家であるゆずりは司法書士法人にご相談ください。

ゆずりは司法書士法人では、相続に関する書類の準備や作成のサポートを行っています。

相談だけでなく、複雑な書類作成もお任せいただけますので、初めての相続でも安心して手続きを進めることができます。

相続に関するお悩みや書類作成の不安がある方は、ぜひご相談ください。

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