相続関係説明図を作成する手順|必要書類や書き方を解説
相続
投稿日:2024.12.16
不動産や銀行の名義変更など、相続手続きを進めるうえで「相続関係説明図」という言葉を耳にした方もいるのではないでしょうか。
相続関係説明図は、亡くなった方の相続人が誰なのかをわかりやすく図で示したものです。
必ず作成する必要はありませんが、戸籍の原本を返却してもらうために必要です。また、相続手続きをスムーズに進めるうえでも役立ちます。
この記事では、相続関係説明図の書き方や必要書類、作成するメリットについて詳しく解説します。
相続関係説明図とは
相続関係説明図とは被相続人(亡くなった人)と相続人の関係を、分かりやすく一覧表にまとめたものです。
被相続人の本籍や生年月日、死亡年月日に加えて、相続人の生年月日や住所、被相続人との続柄などが詳しく記載されています。
相続関係説明図は公的書類ではなく、必ず作成しなくてはならないというわけではありません。
しかし、一度作っておくと相続登記や専門家に相談を持ちかける際、情報を整理して伝えるのに便利です。
可能であれば作成を検討しましょう。
相続関係説明図を作成するメリット
相続関係説明図の作成は義務ではありませんが、相続手続において以下のようなメリットがあります。
主なメリットは、以下の通りです。
相続人の関係を整理できる
被相続人と相続人の関係は、当事者にとっても複雑なものです。
長年疎遠になっている兄妹姉妹がいたり、養子をとっていたりする場合などは相続関係が一層複雑になります。
仮に自分たちが相続関係を把握していても、役所や金融機関、専門家に相談するときなど、戸籍謄本だけを手がかりにしてわかりやすく説明するのは困難でしょう。
相続関係説明図があれば、被相続人と相続人の関係をひと目で把握することができます。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
相続関係説明図とよく似た書類として、法定相続情報一覧図が挙げられます。
こちらも相続関係をわかりやすく記載したものですが、大きな違いがあります。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図のどちらを選択する?
相続関係説明図と法定相続情報一覧図に記載されている情報はよく似ているため、どちらを作成すれば良いか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
どちらを作成するか判断するには、相続手続きで戸籍謄本を提出する先がどのくらいあるかを基準にしましょう。
法定相続情報一覧図の取得には法務局の認証を受けなければならないため、時間も手間もそれなりにかかります。
戸籍謄本の提出先が3つ以上ある場合は、法定相続情報一覧図を取得するほうが効率的ですが、それ以外の場合は取得するメリットはあまり多くありません。
下でまとめたそれぞれのメリット・デメリットをよく考えて判断することが大切です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
相続関係説明図 | ・相続関係が明確になる ・法務局の承認は不要 ・自由度が高く、記載内容に制限がない |
・公的文書としての効力はない ・手続きで利用できるのは相続登記のみ |
法定相続情報一覧図 | ・相続関係が明確になる ・公的文書としての効力がある ・戸籍謄本類の提出が不要になる ・さまざまな相続手続で使用可能 |
・法務局の承認が必要なため、取得までに時間や手間がかかる ・記載ルールが厳格に定められている |
相続関係説明図を作成する手順
相続関係説明図は、以下のようなステップで作成します。
- STEP1:情報を整理する
- STEP2:必要な書類や情報を収集する
- STEP3:フォーマットに沿って作成する
法務局の承認は必要なく、難しい決まりごともないため、記載内容の自由度が高いのが特徴です。
相続関係説明図の作成手順について解説します。
STEP1:情報を整理する
まず、相続関係説明図にどのような情報を記載するのか整理しましょう。
以下の情報が必要です。
被相続人(亡くなった人)の情報 | ・被相続人であること ・氏名 ・出生日 ・亡くなった日 ・最後の住所 ・最後の本籍 |
---|---|
相続人全員の情報 | ・氏名 ・出生日 ・現在の住所 |
次にこれらの内容を正確に記載するために、必要な書類を収集していきましょう。
STEP2:必要な書類や情報を収集する
相続関係説明図に必要な書類と取得先は以下の通りです。
必要書類 | 取得先と取得方法 |
---|---|
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本 |
各市町村の役所 (郵送でも取得可能) |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人が亡くなった時の住民票がある役所 (郵送でも取得可能) |
相続人全員の戸籍謄本 | 各市区町村の役所 (郵送でも取得可能) |
STEP3:フォーマットに沿って作成する
必要な書類と情報を整理できたら、相続関係説明図の作成をはじめます。
どこから手をつければ良いのか戸惑ってしまう人もいるかと思いますが、法務局のホームページにある「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」のテンプレートを利用するのがおすすめです。
テンプレートには記載が必要な部分がマーカーで区切られており、それに沿って入力していけば相続関係説明図が完成します。
テンプレートは家族構成や相続関係によって分けられていますので、自分たちの家族形態や相続関係と同じものを選択しましょう。
実際にどのように記載していくかは、以下で解説します。
記入事項1:タイトル
テンプレートをダウンロードしたら、まずタイトルを記載します。
法務局のテンプレートでは「法定相続情報一覧図」となっているので、「被相続人 〇〇〇〇 相続関係説明図」に変更します。
記入事項2:被相続人の情報
次に、被相続人(亡くなった人)の情報を記載します。
必要な情報は、以下の通りです。
- 亡くなったときに住んでいた住所
- 死亡年月日
- 本籍(本籍の変更があった場合は、最後の本籍を記載)
- 氏名(被相続人 〇〇〇〇と記載)
記入事項3:相続人の情報
相続人全員の情報を記載します。
必要な情報は、以下の通りです。
- 住所
- 出生日
- 氏名
- 被相続人から見た続柄
被相続人と相続人を線でつなぎ、続柄が分かるようにしていきます。家系図を横向きに表記したものと考えると、イメージしやすいでしょう。
相続人が死亡している場合は背景色を変え、区別しやすいようにしておきます。
養子縁組をしている場合、実子と同じように記載したうえで続柄には「養子」と記入します。
相続人が死亡しており代襲相続が発生している場合、被代襲者(亡くなっている相続人)の欄には「被代襲者」「氏名」「死亡年月日」を記載します。
代襲者の欄には氏名や住所、出生日、被相続人から見た続柄(孫や甥姪)を明記しましょう。
記入事項4:作成日・作成者
作成日と作成者の氏名を記載し、押印します。
記入事項5:相続または遺産分割
相続人氏名の横に、相続か遺産分割かを記載します。
記入方法は、以下の通りです。
相続 | 不動産や土地を相続によって取得する場合 |
---|---|
遺産分割 | 遺産分割協議により、不動産や土地を取得しないことになった場合 |
相続放棄 | 相続放棄をしている場合 |
相続関係説明図を作成する大きなメリットである、相続関係を明確にするという点からも非常に重要な部分です。
情報をしっかり確認して記載するようにしましょう。
相続関係説明図を作成する際のポイント
相続関係説明図を作成する際のポイントは、以下の通りです。
- 法務局が公開している法定相続情報一覧図に沿って作成
- 手書きでもパソコンでも作成可能
- 自分で作成するのが大変な場合は専門家に依頼
それぞれの内容について解説します。
法務局が公開している法定相続情報一覧図に沿って作成
相続関係説明図は法務局の認証が必要ないこともあり、記載内容に自由度が高いのが特徴です。
法定相続情報一覧図には記載できない相続関係も、相続関係説明図なら書き込むことが可能です。
相続関係説明図の作成は、一から自分で作成することもできますが、有料ソフトを使用する方法やネット上で公開されているテンプレートを使用する方法もあります。
そのなかでもおすすめなのが、法務局のホームページで公開されている法定相続情報一覧図のテンプレートを使用する方法です。
記載するべき部分にマーカーがされていてわかりやすいだけでなく、家族構成や相続関係に合わせて全15種類のテンプレートが用意されています。
自分たちの家族構成や現況に合ったものをダウンロードするだけなので、書類作成に慣れていない人でも簡単に相続関係説明図が作成できます。
それぞれに記載例もあるので、参考にしながら進めていくと良いでしょう。
手書きでもパソコンでも作成可能
相続関係説明図の作成は、手書きでもパソコンでも可能です。
テンプレートをダウンロードして必要事項を入力するだけなので、パソコン操作に慣れている人にとっては比較的簡単に作業を進められます。
逆にパソコンに慣れていない方であれば、記載例をもとに手書きで完成させる方法も。
手書きかパソコン、作成する方にとってやりやすい方法を選択しましょう。
自分で作成するのが大変な場合は専門家に依頼
相続関係説明図は法務局の承認が必要ないため、記載の自由度も高く一度作っておけば便利な書類です。
しかし、必要な書類や情報を全てそろえ、整理して書き出していくのは慣れない方にとっては難しい作業です。
特に相続は一生のなかで何度も経験することではないため、「誰に相談して良いかわからない」という悩みを抱えている方も少なくありません。
「相続関係説明図を作成したいが作り方がわからない」「必要な書類の取得方法がわからない」「書類作成の時間が取れない」という場合は、専門家に相談することをおすすめします。
相続に関係するご相談は杠(ゆずりは)司法書士法人
専門家への相談というとハードルが高く感じられますが、相続手続きはプロの手を借りるのが安心です。
杠司法書士法人では、相続全般に関するご相談を受け付けています。
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相続が発生している方だけでなく、将来起きるであろう相続に備えてのご相談も可能です。
経験豊富なプロフェッショナルが、お客様一人ひとりに合わせて最適な方法をご提案いたします。
お悩みの方はどうぞお気軽にご相談ください。
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