株式の相続
企業法務相続
|更新日:2022.12.4
投稿日:2009.05.07
突然ですが問題です。
株式会社Z社(発行済株式総数 1,000株)という会社があり、株式をAさんが1,000株持っているとします。
このケースで、Aさんが亡くなり、相続人が長男Bさん、次男Cさんであったとします。
もし遺産分割が成立していない場合、Aさんの1,000株はBさん、Cさんに次の1.2.のどちらの形態で帰属することになるでしょうか。
株式の相続
正解は2.となります。
一般的に1.と思われがちですが、株式についても、遺産分割が成立するまでは共同相続人が法定相続分で共有することになるため、2.の形態で帰属することになります。
共有状態の株式について、会社法では次のように定められています。
「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。
ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。」
このときの「当該株式についての権利を行使する者」は、株式の共有持分の過半数をもって定めなければならないとされています。
ですので、株式が共有状態になると、共有持分の過半数を有する者の意思の一致がなければ、その株式について権利を行使できなくなってしまうことになります。(会社が同意した場合には、共有者一人からの権利行使も可能ですが、会社は他の共有者に対して賠償責任を負うことになります。)
さきほどの株式会社Z社の例にあてはめてみると、この会社の株式については、Bさん・Cさんとも過半数の持分は有していませんので、Bさん・Cさんの両者の意思が一致しないかぎり、権利行使ができなくなってしまいます。
BさんとCさんがもめている場合などは、Z社の全株式について権利行使ができないため、Z社では株主総会が開催できず、会社の重要事項が決定できない・・・などとという事態も起こりえるのです。
このようなリスクを避けるために、事前の対策として、あらかじめ遺言によって株式を相続させる後継者を定めておく方法があります。
たとえば上記の例で、前もってAさんが遺言で「株式会社Z社の株式をBさんに相続させる」旨を定めておけば、株式の共有状態は生じず、Bさんが単独の株主となります。
会社の機能をストップさせないためにも、事前に必ず対策を講じておきましょう。
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