登記簿に載っていない「未登記」の建物を相続した場合の注意点とは
相続
|更新日:2022.11.6
投稿日:2013.12.09
不動産を所有している方が亡くなられたとき、遺産のなかに登記簿に載っていない「未登記の建物」が含まれていることがあります。このような建物が見つかった場合はどうすればよいのか、以下に簡単にご紹介してみたいと思います。
法律によれば、「登記のない建物の所有権を取得した者は1か月以内に表題登記(建物の登記記録を新たに起こす登記。建物の所在、種類、構造、床面積等を記録する。)を申請しなければならない」とされています(不動産登記法第47条)。
つまり、建物の登記をすることは法律で義務付けられてはいるのですが、実際には未登記のままになっている建物が数多く存在します。
建物を新築する際、銀行などから費用の融資を受けた場合であれば、通常その建物に抵当権等の担保権の登記を求められます。そのため、新築とともに登記がされるのが通常となります。
しかし、融資を受けず自己資金でまかなった場合には、さしあたって銀行から登記を求められることもありません。第三者から迫られる形では登記の必要性が生じてこないために、未登記のままになることがあるのです。
またそれとは別に、母屋は登記されているものの、後から建てた物置や車庫が未登記だったり、増築した部分の登記がなされていない例も見受けられます。
自分が所有している物件について、登記されているかどうか気になる場合は、権利証や納税通知書を見れば確認できる場合があります。
もし建物の権利証が見当たらなかったり、市町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に建物の「家屋番号」の記載がなかったりするような場合は、未登記の可能性があります。(固定資産税は登記の有無に関わらず課税されるので、納税通知書には未登記建物も記載されています。)
では、未登記の建物を相続した場合、どうすればよいでしょうか。
<表題登記と所有権保存登記>
相続した未登記建物を売却したり、担保に差し出して融資を受けるのであれば、その前提として相続人の名義で「表題登記」と「所有権保存登記」をしておく必要があります。
また、敷地が借地である場合には、表題登記をしておかないと、その借地権を地主以外の第三者に対して主張できません。建物を賃貸する場合も、トラブルを避けるためには登記を備えて所有者を明確にしておくべきでしょう。
登記をするための手順は次のとおりです。
(1)未登記建物を取得する相続人を決める。
相続人が複数いる場合は、全員で協議して決定する必要があります。相続人が一人だけであれば、ただちに(3)(4)の手続きに進むことができます。
(2)「遺産分割協議書」を作成する。
相続人全員が署名のうえ実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
(3)表題登記を法務局に申請
遺産分割協議書を添付して、建物を取得する相続人の名義で申請します。これで、新たにその建物の登記記録が作られます。
(4)所有権保存登記を法務局に申請
建物を取得する相続人が所有者として登記されます。
<建物を取り壊す場合>
取り壊し後、相続人から市町村役場に「家屋滅失届」を提出すれば足ります。届け出ることにより、翌年以降固定資産税が課税されなくなりますが、翌年の1月1日時点で届出が済んでいる必要があります。
<登記も取り壊しもしない場合>
取り壊しの予定がなく、登記もしない場合は、市町村役場に「未登記家屋所有権移転届」により所有者が相続人に変わった旨を届け出ます。届出により納税通知書が相続人に届くようになります。
上記の一連の手続きは、すべて相続人ご自身でされることが可能ですが、測量の図面などが必要となる場合があるため、専門知識が求められることも少なくありません。
専門家に相談したり、手続の代行を依頼したい場合には、「表題登記」については「土地家屋調査士」、その後の「所有権保存登記」については司法書士がそれぞれ専門職となります。
→ 登記手続きの専門家 杠司法書士法人(大阪市 八尾市 西宮市)
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