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マイホームが残せない!? 解決のための遺言書準備とは

遺言

|更新日:2022.11.16

投稿日:2013.09.30

夫婦二人が苦労して手に入れたマイホームなのに、相続発生後に「残された妻の名義にするのが難しい」という事態が発生することがあります。しかし、この困った事態は遺言書で解決できる可能性が高いものです。

具体的なケースで紹介していきましょう。

ある夫婦がいました。夫婦の年齢は、夫68歳、妻61歳です。結婚生活は30年近くになります。夫はサラリーマン生活を経て、現在は定年退職後の第2の人生を穏やかに暮らしています。妻は専業主婦として夫を定年退職まで支え、退職後も夫婦二人で仲良く暮らしています。

ただ、二人の間には子どもがいませんでした。かつては周囲からもいろいろと言われ、本人たちも考える部分がありましたが、今となっては二人とも特に気にしていません。その分、二人の人生を濃密に過ごせたような気さえしています。

二人は現在、夫名義の自宅で暮らしています。築20年程で、決してぜいたくな家とは言えませんが、二人にとって住み慣れたマイホームです。今後もできる限り、このマイホームで暮らしたいと考えています。

上記のようなご夫婦は、ごく身近にもいらっしゃると思います。日本人の平均寿命から考えると、上記のご夫婦のケースでは次のような展開が予想されます。それは「夫が先に亡くなり、夫の死後は妻が自宅で1人暮らしを続ける可能性が高い」ということです。

ところでその場合、夫名義の自宅を、妻が自分の名義に変更しようと考えるのはごく自然な流れだと思います。しかしその手続を行う際に、ある問題が浮上するはずです。

その問題とは、

「自宅の名義を妻名義にするのに、夫の兄弟姉妹の協力を得なければならない」ということです。

具体的には、夫の財産をどのように分けるのかという「遺産分割協議」を、夫の兄弟姉妹と行い、それぞれ実印の押印、印鑑証明書の提出を求める必要があります。(夫の兄弟姉妹が夫より先に死亡している場合は、その子である甥・姪との話し合いを行うことになります。)

この遺産分割協議がすんなりと進めばいいのですが、夫の兄弟姉妹と仲が良くなかった場合はそうもいきません。最悪の場合は、話し合いの機会する持つことができず、いつまで経っても自宅の名義が動かせないままとなる危険性もあります。

あるいは、親交のあまりない甥や姪などから「自宅を妻名義にすることを承諾する代わりに、不動産の価値に見合ったお金(代償金)を支払ってほしい」などと求められたりするケースもあります。仮に代償金を求められても、亡くなった夫の金融資産(銀行預金、投資信託など)がある程度残っていなければ、遺産のほとんどが自宅のみで占められることになり、妻は代償金の支払いに苦労を強いられます。

現実の問題として、このような事態になるケースは残念ながら決して少なくありません。未然に防ぐには、どうすればよかったのでしょうか。

解決方法としては、「夫が遺言書を遺しておけばよかった」ということになります。

「自宅以外に資産がない場合は、遺言書なんて無縁のものだろう」という誤解。

「自分が死んだ後は、当然に自宅は妻の財産になるはずだ」という思い込み。

これらは大きな間違いです。夫がきちんと遺言書を遺していなければ、二人で苦労して建てたマイホームでさえ、妻の名義とするのに多大な苦労が強いられるかもしれないのです。

こういったケースでは、マイホームに関しての遺言書がぜひとも必要となります。

その際に押さえておきたいポイントを以下にいくつかご紹介しておきます。

  1. 紙とペンがあれば、遺言書を書くことができます。

    遺言書を書くのに、お金はほとんどかからない場合もあります。大切なのは、まずは遺言書を「書いて」、「遺しておく」ということです。

    ただし、遺言書の内容全部を自分で書くようにしなければなりません。パソコンで入力して作成した遺言書は、そのままでは原則遺言書としての効力が認められませんので注意してください。

  2. 自宅を記載するときは、「住所」ではなく「地番」「家屋番号」で記載しましょう。

    自宅を特定するときには、ふだん生活で使い慣れた「住所」を記載してしまいがちです。しかし、不動産には、土地を特定するための「地番」と建物を特定するための「家屋番号」があります。

    両者は一致していないケースがほとんどですので、ぜひ最寄りの法務局などで「不動産登記事項証明書」を取得しておき、正確な地番と家屋番号を把握するようにしてください。

  3. 有効な遺言書を遺しておけば、妻が自宅を相続することについて、兄弟姉妹は法律上では何も主張できません。

    一般に、遺言書を作成する場合には「遺留分についての配慮が欠かせない」といわれます。この遺留分とは、相続人に最低限保障された相続権のことを指します。たとえ遺言書で自分に相続させるとした財産が一切ないような場合でも、遺留分があれば話は別です。遺留分が認められた相続人は、遺留分に相当する財産を請求することが可能になるのです。

    しかしこの遺留分は、兄弟姉妹(甥姪含む)には認められていないのです。

    したがって、遺言書に自宅を妻に相続させると記載しておけば、他の兄弟姉妹が権利を主張することはできなくなる決まりになっています。

以上、自宅について遺言書を遺しておく必要性とポイントを記してきました。しかし最終的には、専門家のチェックを受けておくことをお勧めします。

当事務所では「マイホーム遺言」と称して、手軽に遺言書を遺していただき、大切な奥様を相続トラブルから避けるためのアドバイスを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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