企業の後継者問題~統計データに基づいて~
事業承継
|更新日:2022.10.26
投稿日:2018.11.22
「高齢」「高齢社会」というキーワードが毎日のように出てくるようになったのは、もう何十年前からでしょうか。もはや驚くこともなくなった「高齢」の話題ですが、高齢による問題が顕在化してきたのは、ここ数年かもしれません。
日本の社長の平均年齢は59.5歳! 過去最高に
59. 5歳
「平成29年版高齢社会白書」(内閣府)によると、日本の65歳以上の高齢者人口は総人口の27. 3%となり、今後も増加の一途をたどることは周知のことかと思います。企業においても代表者である社長の平均年齢が、2018年1月時点で過去最高の59. 5歳(前年比+0. 2歳)になったと「全国社長年齢分析調査」(帝国データバンク)で、発表されています。
社長が高齢であることによるリスクや影響について、以下で述べていきます。
社長の高齢化に伴うリスクとは?
前記のとおり、企業においても経営者の年齢は上昇傾向で推移しています。
社長が高齢になると病気や死亡により事業が継続できなくなり、たちまち従業員、取引先、お客様が路頭に迷うというリスクが大きくなります。会社を長く存続させるというゴーイングコンサーンの観点で、非常に危うい会社となってしまいます。
社長の病気や死亡に左右されない会社に若返るためには、「事業承継」「M&A」「上場」といった手法で経営を承継していく必要があります。一方で、突然の事業停止というリスク回避のみ考えると、前記の「事業承継」「M&A」「上場」のみではなく「廃業(解散)」という選択肢もあります。実際、「娘・息子に迷惑をかけたくないから今期いっぱいで会社を閉めます」という社長からのご依頼も少なくありません。
大阪での休廃業・解散が増えている!?
「第10回:全国「休廃業・解散」動向調査」(帝国データバンク)によると、全国における2017 年の「休廃業・解散」は 2 万 4400 件で前年比 2.2%減となっていますが、大阪のみで見てみると前年比 6.9%増となり、前年比増加率は全国2位。また、休廃業・解散件数は全国3位で1408件となっています。
中小企業庁の試算によれば、今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人で、そのうち約半数の127万人が後継者未定と推計されています。
現状を放置すると廃業が急増することが予想され、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる恐れがあります。本試算をもとに関西の数値を算出すると、今後10年間で約118万人の雇用と約4兆円のGDPが関西から失われることになると、近畿経済産業局が発表しています。
まとめ
上記のとおり社長の高齢化と相まって、否応なく休廃業・解散の選択をせざるを得ない一方で、日本経済を支えてきた優秀な会社がなくなってしまうことは非常に残念でもあります。
私たち杠司法書士法人では、外部パートナーの協力も得ながら、本当にその選択肢しかないのか、ベストな方法は何なのかと全体を俯瞰した上で、法務面の手続きをご案内しております。休廃業をも含む事業の承継についてお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談いただきたいと思います。
私自身も以前は事務所を経営しており、出産に伴い休業などを真剣に考えた経験があります。長く続ければ続けるほど会社に愛着が湧くのは当然ですし、ほかの人に任せる不安な気持ちもわかります。社長が、毎日毎日試行錯誤しながら、ここまで育てた会社、良い形で引退できたらいいですよね。
また、若い世代がもっともっと活躍して日本経済を元気にし、そして上の世代の方々に期待してもらえるようになりたいと思います。
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