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取締役1名の会社のリスク

企業法務

|更新日:2022.12.3

投稿日:2009.05.14

会社法が施行される平成18年5月1日以前には、株式会社は取締役会及び監査役を置くことが義務付けられていました。

したがって、会社法の施行以前は少なくとも取締役3名監査役1名を会社に置かなければなりませんでした。

しかし、会社法が施行されたことにより、取締役1名のみの会社も認められるようになり、取締役1名の会社もたくさん増えてきています。

取締役1名の会社には、会社の意思決定を迅速にすることができることや、余計な役員報酬を避けることができるなどのメリットもありますが、その取締役が亡くなった場合などのリスクもあります。

1名しかいない取締役が、死亡等により欠員した場合、会社の業務を執行する者がいなくなってしまい、経営に多大な影響を及ぼす恐れがあります。

新たな取締役を選任するために株主総会を開催しようにも、会社法上、株主総会の招集を決定するのは取締役であるため(会社法第298条)、その株主総会すら招集できないという状態に陥ってしまいます。

例外的に、株主全員の同意がある場合には、株主総会の開催を省略して取締役の選任が可能(会社法第319条)ですが、株主全員の同意が得られない場合には、利害関係人から裁判所に一時的に取締役の職務を行う者を選任してもらうことになります(会社法第346条第3項)。

これらの手続には、一定の期間や手間がかかってしまうため、一時的に会社の業務執行者がいない期間ができてしまいます。

そこで、この取締役が亡くなった場合のリスクに対しては、「補欠取締役」を予め選任しておくという対策があります。

補欠取締役の制度は、取締役が欠けた場合に備え、あらかじめ補欠の取締役を選んでおき、実際に取締役が欠けた場合に、補欠の取締役を取締役として就任させる制度です。

ただし、補欠取締役の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとなります。

したがって、定款に有効期間の伸長を定めない限り、定時株主総会で毎回補欠取締役を選任することを忘れないようにしなければなりません。

なお、この補欠役員の制度については、取締役1名以外の会社についても、役員が欠けた場合にそのつど株主総会を開催する手間を省くために活用することができます。

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西本 拓司

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