未払残業代請求の危機!?
企業法務
|更新日:2022.12.14
投稿日:2011.03.29
少し前に、大手の消費者金融の会社が会社更生法の申立を行ったのは、皆さんもニュース等でご存じかと思います。
消費者金融の会社が会社更生法の申立に至った主な原因は、過払金の返還請求の増加です。「払いすぎた利息をとり戻しましょう。」などと書かれた、コマーシャルや電車広告を見かけられたことのある方も多いのではないでしょうか。
この過払金の返還請求は、一つのビジネスモデルとして大きく広がり、弁護士や司法書士の多くが、大量の過払い金の返還請求を貸金業者などに対して行いました。
「過払金返還請求バブル」とも言われたこの状況は、貸金業者の体力が消耗し返還が難しくなったことや、多額の過払金を請求できる見込みのあるケースが出尽くしたという見方も広がっていることなどから、終息に向かっていると言えるでしょう。
そして、過払金返還請求に代わって積極的に行われようとしているのが、「残業代の未払請求」です。
今後、「残業代の未払請求」が、過払金返還請求と同様に一つのビジネスモデルとして急速に拡大する可能性があります。
法律では、従業員(退職者も含みます)から残業代の請求を受けると、2年前まで遡ってその額を支払わなければならないことになっています。
この場合、請求されるのは残業代だけとは限りません。
まず、未払いの残業代には、不払いの日の翌日からの遅延損害金も上乗せされます。この遅延損害金の利息は、在職中の労働者が請求してきた場合には、年利6パーセント。
さらに、従業員が退職した場合には、年利14.6パーセントとなります。
さらに、労働者が裁判所を通じ未払い残業代を請求する場合には、「付加金」という未払い額と同額を請求できる制度があります。
つまり、裁判で未払い残業代を請求される場合には、請求額が2倍になるということです。
未払残業の問題を大きくしないためには、事前の予防対策がなによりも必要です。たとえば労働時間の管理、就業規則、賃金規程の整備などが考えられるでしょう。
まずは、労働者や元労働者が未払いの残業代の請求をしてこないような環境の整備が重要になります。
また、仮に請求をしてきた場合でも、会社側の主張を明確にできるようにしておきましょう。経営者が、労働基準法などの労働に関する法律について正しい知識を持つことも必要になります。
「どうせ請求されることはない」と、残業代を支払わずに残業をさせていると、思わぬところから高額な請求をされることもあります。ぜひとも早めの対策をしておきましょう。
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