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2013.06.10
親の土地に子の名義の家を建てた場合に相続で問題になる点とは

親名義の土地のうえに、子が自分名義の建物を建築している場合があります。その際、土地の使用料については親と子の間の話ということもあり、地代を取らないこともあるでしょう。しかし、そのことが後々の相続の時にトラブルの火種となってしまう場合が考えられます。

このような、親が子に土地を貸していてもその対価を取らないなどの無償で何かを使用しているような法律上の関係を、専門用語では「使用貸借関係(しようたいしゃくかんけい)」といいます。

例えば、2世帯住宅にレイアウトを変えるために、親が所有する土地にあった親名義の建物を取り壊して、新築の建物を建築するようなケースを考えていただければ、イメージがしやすいのではないでしょうか。新しい建物については、子どもの側が出資して所有するということも十分あり得る話です。

それでは、上記のような使用貸借関係がある場合、何が問題となるのでしょうか。実はこのような状態だと、土地の所有者である親が死亡した場合に、地代相当額について、土地を使用していた子の「特別受益」(=被相続人から受けた生前贈与などの特別の利益)に当たるのではないか、と他の相続人から主張される場合があります。

つまり、遺産不動産を借主である相続人(建物所有者)が無償使用していたことにより、相続人は通常であれば負担を余儀なくされたはずの地代相当分につき利益があり、これが特別受益になるという考え方です。

ところで、こうした考え方について、裁判所ではどのように判断されているのでしょうか。裁判所としては、「特別受益」の制度が、「相続人の公平性の観点から遺産の前渡し分を遺産分割の際に相続財産に一旦戻して計算し直すもの」であることを重視しています。

被相続人である親は、子に土地を無償使用させる際に、通常は、「将来、相続が開始したときに、地代相当額を遺産の前渡しとして一旦相続財産に戻す」とは考えないだろうし、親が遺産不動産を子に無償使用させていなければ、当然第三者に賃貸して賃料を得ていたはずであることを立証できない限り、親に賃料相当額の損失を生ぜしめたとはいえない、と裁判所は考えているのです。そのような立証は、通常困難でしょう。

上記のような判断から、地代相当額は特別受益には該当しないという見解に裁判所は立っています。

それでは、土地ではなく建物の無償使用の場合は、他人に貸していたら得られたはずの賃料相当額が、特別受益となり得るのでしょうか。

こうした建物の無償使用の場合も、特別受益にはあたらないとする場合が多いようです。

その理由としては、

(1)建物使用貸借は、恩恵的要素が強い

(2)建物の使用借権は、土地の場合と対比すると、第三者に対する対抗力はなく、明渡しも容易であり、経済的価値はないに等しい

(3)賃料相当額自体を合計すると相当多額となり、遺産の総額と比べても過大となってしまう

などが挙げられます。

また、被相続人の強い希望によって同居がなされていた場合や被相続人の療養看護や生活支援のために同居がなされていた場合にも、特別受益には該当しないと考えられています。

親名義の土地や建物を無償で使用している方は、上記内容をぜひご参考ください。

(坂西 涼)

 

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