従来の「中間省略登記」と「第三者のためにする契約」「契約上の地位の譲渡」の違い

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2014.08.25
従来の「中間省略登記」と
「第三者のためにする契約」「契約上の地位の譲渡」の違い

1.従来の中間省略登記

中間省略登記とは、所有権がAからB、BからCへと移転しているにも関わらず 、登記について、中間者BをとばしてA→Cへと移転登記を行うもので、これは現在も依然として禁止されております。

禁止される理由としては、法律上の所有権がA→B→Cへと順次移転しているのであれば、登記もA→B→Cと所有権の移転を明示すべきであるとの考えに基づいております。

2.中間省略登記と同じ効果をもたらす代替的手法
   
上記のように中間省略登記は禁止されてはいたものの、不動産実務界においては強いニーズがあり、合法的に中間省略登記と同じ効果をもたらす代替的手法として編み出された手法が、「第三者のためにする契約」になります。

中間省略登記が禁止される理由は、所有権がBを経由しているにも関わらず登記上B名義を省略することにありますので、所有権が中間者Bを経由せずに直接AからCへ移転すれば、登記にB名義を反映させる必要・理由が法律上ないことになります。

これを実現させるために考案された手法が「第三者のためにする契約」になります。

「第三者のためにする契約」に必要な特約条項をAB間・BC間の売買契約に盛り込むことによって、売買契約はAとB、BとCで締結されているものの、法律上の所有権はBに移転せず、Aに留保され、各代金支払いによって直接AからCへと移転するという法律上の効果を発生させることができます。法律上の所有権がBを経由していないので、登記にB名義を反映させる必要がなく、直接C名義に移転登記ができるようになります。

これを実現するためには、AB間の売買契約、BC間の売買契約に特別な特約条項を盛り込む必要がございます。盛り込む特約の具体的な内容は下記のとおりのものになります。必要な特約条項が契約書に反映されていなければなりません。

・AB間の売買契約書に記載する特約条項

(所有権の移転先及び移転時期) 
1 買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む)を指定するものとし、売主は本物件の所有権を買主の指定する者に対し買主の指定及び売買代金総額の支払いを条件として直接移転するものとする。

(所有権留保)
2 売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先として改めて書面をもって指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとする。

(受益の意思表示の受領委託)
3 売主は、移転先に指定された者が売主に対してする本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示の受領権限を買主に与えるものとする。

(買主の移転債務の履行の引き受け)
4 買主以外の者に本物件の所有権を移転させるときは、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するため、その者に本物件の所有権を直接移転するものとする。

・BC間の売買契約書に記載する特約条項

(所有権移転の時期)
1 本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い売主がこれを受領したときに本物件の登記名義人から買主に直接移転する。

(第三者の弁済) 
2 本物件はいまだに登記名義人が所有しているため、本物件の所有権を 移転する売主の義務については、売主が売買代金全額を受領したときにその履行を引き受けた本物件の登記名義人たる所有者が買主にその所有権を直接移転する方法で履行するものとする。
   
3.買主の地位の譲渡

従来の中間省略と同様の効果をもたらす代替的手法として、「第三者のためにする契約」手法以外に、「契約上の買主の地位の譲渡」手法というものもございます。

これは、AとBの間で売買契約を締結し、残代金を支払って所有権が移転する前に、BがAB間の売買契約の買主としての契約上の地位をCに譲渡するというもので、AからBへ所有権が移転する前に契約上の買主をBからCへ入れ替えることによってAB間の売買をAC間の売買とするものです。
この手法によっても、法律上の所有権はBを経由せず、AからCへと直接移転することになるため、B名義の登記を要せず、AからCへと直接移転登記を行うことが可能になります。

第三者のためにする契約との大きな違いは、AB間の売買契約の買主がCに変わりAC間の契約となりますので、当初の売買代金がCに判明するという違いがあります。

4.まとめ

「第三者のためにする契約」、「買主の地位の譲渡」いずれの手法についても、適切な内容の契約を当事者で交わす必要があり、要件を満たさなければ直接移転方式による登記もできないことになります。

当事務所では、各契約書の書式を整えておりますので、契約締結段階からご相談いただければスムーズに売買事案を進めることが可能になることと存じます。

(北村 清孝)


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