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あなたにも遺言書が必要!? 3つのパターンを解説

相続遺言

2020.07.14

・はじめに

 「遺言書」というキーワードを、雑誌やインターネットなどで見かける機会が多くなってきました。昔と比べると、かなり身近なワードになってきているのではないでしょうか。

 じっさい、遺言書を作成する人もこの10年で大きく増加しています。遺言の種類のひとつである「公正証書遺言」の作成件数をみてみると、2010年に81,948件だったのが、2019年には11万3137件に増えています。(日本公証人連合会調べ)

 この10年間で、公正証書だけでも年間3万件以上もの増加です。さらに別の種類の遺言となる「自筆証書遺言」のほうはこの数には含まれていないので、実際にはもっと多くの数の遺言書が作成されていることになります。こういった数字は、家庭裁判所での相続に関する争いが増えてきていることとも無関係ではないでしょう。

・遺言書が必要となる三大パターン

 そもそも、なぜ遺言書は必要となるのでしょうか。遺言書が必要とされる場面を、大きく次の3つに分けて考えてみたいと思います。

(1)亡くなった後からの話し合いではスムーズにいかなさそうな場合

 遺言書が用意されていなかった場合、相続する権利のある人全員で、遺産の分け方についての話し合い(遺産分割協議)を行う必要があります。しかし、次のようなケースは話し合いがスムーズに進まないことが想定されるでしょう。

①仲が悪い

 たとえば残された子どもたちが不仲な場合などがあげられます。相続人となる人同士の関係性がよくないとき、財産の分け方でもめる可能性が高まってきます。このような気配がある場合、遺言書の準備によって、争いの拡大を抑えられる余地が生まれてきます。(ただし、あまりに過激な内容であったり、明確に不公平な内容であったりすると、火に油を注ぐことになりかねません。遺言書の中身に配慮は必要となります。)

②相続関係が複雑

 たとえば再婚されたかたのケースなどが代表的です。前妻との間に子どもがいて、後妻のかたが残されたような場合です。何もしておかないと、前妻の子どもと後妻との間で遺産分けの話し合いを行わなければなりません。こうした間柄では関係性が希薄であることも多く、連絡を取り合いたくない(連絡を取って欲しくない)場合もあるかと思います。遺言があれば、このような複雑な関係の相続人同士での話し合いを回避することができます。

③相続人が自分で判断ができない

 遺産分けの話し合いを行うためには、判断能力が必要となります。相続人のなかに認知症や障害などによって判断能力が十分ではなくなった方がいる場合、そのままでは手続きができなくなってしまうのです。

 このようなケースでは、家庭裁判所で「成年後見人」を選ばなければ、話し合いを行うことができません。(成年後見人が代わりに協議に参加します。)この場合、認知症などの方に法律に定められた相続分が確保されないような内容だと、原則として成年後見人は合意ができません。つまり、自由な配分での遺産分けを行うことは難しくなるわけです。

 さらに、ここで選ばれた成年後見人は、相続の手続きが終わってもサヨナラはできません。原則として、対象となった認知症などの方が亡くなるまで継続し、その方の財産を管理していくことになります。

 なお、いまの時点で相続人となる方がしっかりされていたとしても、相続の話し合いをする頃には高齢になっている可能性があることにも注意が必要です。65歳以上の方の5人に1人が認知症を発症すると推計されている時代ですから、用心しておかないとならない点となってきます。

(2)相続する権利のある人以外を重視したい場合

 遺産は、原則として法律で決められた相続人にしか引き継ぐ権利がありません。その例外となるのが、遺言書がある場合です。相続とはまた違った、「遺贈」という形で相続人以外の人に財産を残すことができます。たとえば次のようなケースです。

①内縁関係

 内縁縁関係の場合は、残されたパートナーには相続権が認められません。このようなパートナーに財産を残すためには、遺言書が必要となります。

②LGBT

 LGBTのパートナー同士の場合も、内縁関係と同様です。法律上の「配偶者」にあたらなければ遺産を相続する権利が生じないため、遺言書の準備が欠かせなくなってきます。なお、養子縁組をパートナー同士で行うという選択肢もありますが、パートナーという関係に親子という縦の関係を持ち込むことに抵抗感を持つ方もいるかと思います。

③相続人がいない

 配偶者、子ども、兄弟姉妹(または甥姪)、親(または祖父母)などの相続人にあたる親族がない場合、遺産は国庫におさめられることになります。遺言書があれば、お世話になった友人知人や、特定の法人や団体などに相続財産を渡すことができるようになり、残された相続財産の有効活用を自分でプランニングすることが可能になってきます。

(3)財産の分け方を前もって決めておきたい場合

 自分自身の意思を相続財産の分け方に反映することも、遺言書があれば可能す。たとえば「今後の生活を考えて、自宅は配偶者に相続させてあげたい」「あの土地は、いちばん近くに住んでいるあの子に相続してほしい」などのケースです。

 とくに会社や不動産事業を経営している方については、株式や不動産を誰に相続させるかで、今後の経営に大きな影響が出る可能性もあります。

・おわりに

 ここまで、遺言書の必要となるパターンを紹介してきました。いまのところで上記のような状況にあてはまらない場合であっても、遺産分けの話し合いをきっかけに相続人間の仲が悪くなってしまうようなこともあります。遺言書があれば、相続の手続の際に書類が少なくてすむなど、相続の手続を簡素化することにもつながります。また、残された人々に向けた最後のメッセージとして、感謝の気持ちや想いを書くこともできます(付言事項)。そういった意味では、どんな方にとっても遺言書の作成は選択肢のひとつとなり、検討の余地があるといえるのではないでしょうか。

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北村 清孝

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