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司法書士法人 おおさか法務事務所

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マンション滞納管理費の具体的な回収方法

不動産

2012.11.12

マンション管理組合にとって、管理費の滞納への対応は常に頭の痛い問題です。このコラムでは、滞納されたマンションの管理費を回収する方法について、具体的にご紹介して行きたいと思います。

< 1. 法的方法 >

内容証明を送付しても払わない相手に対しては、支払命令や訴訟によって強制執行を可能とする判決等の文書(債務名義といいます。)を取得しなければなりません。支払命令や判決の結果、相手が命令・判決に従って任意に支払えば問題はありませんが、任意に支払わない場合は強制執行しなければならないことになります。強制執行は以下のものに対してかけていくことになります。

 (1)相手の職場が分かっている場合は給与の差押  (2)相手の預金先の金融機関・支店が分かっている場合は預金口座の差押  (3)車などの動産  (4)不動産(マンションの専有部分)

多くの場合、(4)の不動産しか差し押さえるにめぼしい財産がないということになると思われます。

< 2. 債務名義の取得方法と専有部分の強制競売について >

(1) 支払命令

支払命令とは、金銭上の請求権があることがはっきりしているときに簡易裁判所の書記官に対して申立をし、書記官名で督促してもらい、規定の期間中に相手から異議が出なければ申立人は強制執行をしてもいいというお墨付きを書記官からもらう手続きです。(相手が異議を申し出ると裁判に移行します。)支払命令は相手を呼び出してその言い分を聞く機会を与えないで出しますので、訴訟よりも簡便で、安く強制執行を可能とする手続きです。

法的に複雑な争点があるような問題には支払命令は適しませんが、今回の滞納管理費の請求については、複雑な法的争点はなく、この支払命令が適していると思われます。

(2) 専有部分の差押について

通常不動産の差押をする場合、抵当権等が既に付いていて、競売をしても抵当権者に配当すれば何も残らないといった場合には、差押申立をしても取り消しになってしまいます(無剰余取消)。このせいで、マンションの場合、たいてい住宅ローンの抵当権が付いていますので、滞納管理費について差押申立をしても、無剰余取消となることがほとんどでした。

これでは、管理組合の運営に支障を来たすので、救済方法として、他に差し押さえる物・収入もなく、かつ悪質な滞納者である場合には、総会の決議(区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成)によって、無剰余でも競売を認めてもらう方法(区分所有法59条に基づく強制競売)が出来ました。区分所有法上、滞納管理費は不動産購入者に引き継がれますので、この制度を利用することによって、最終的に競売をかけ、競落した買受人から滞納管理費を回収するという方法が可能になりました。

(3)強制執行費用について

不動産の強制執行の申立には、予納金を先に申立人のほうで裁判所に納める必要があり、その金額は60万円~90万円と高額です。前述の区分所有法59条に基づく強制競売の場合でも、費用は通常の競売と同じになります。

< 3. 具体的回収方法 >

相手が任意に支払わない場合の法的回収方法


 (1)内容証明

    ↓

 (2) 支払命令申立

    ↓

 (3) 仮執行宣言付支払命令の取得 (相手が命令に従って支払えばここで終了です。)


    ↓

さらに相手が任意に支払わない場合


A.不動産無剰余の場合

 (4)総会を開催、相手方に弁明の機会を与えた上で、区分所有法59条に基づく競売を決議

    ↓

 (5)59条競売請求訴訟申立

    ↓

 (6)判決

    ↓

 (7)競売申立

    ↓

 (8)配当により手続費用と予納金の残金を回収

    ↓

 (9)競売によって買い受けた者から滞納管理費が支払われて回収


B.不動産剰余がある場合

 (4)不動産強制執行申立

    ↓

 (5)配当により回収


※ 法的回収方法は上記のようになるため、相手が任意に支払わない場合には一定の費用の出費が必要になりますが、放置しておくと滞納をする入居者の増加を招きますので、一度出費を覚悟でとことん競売までしてしまい、それを告知することによって他の入居者に対して抑止するのも一考と思われます。

※ 管理費の時効は発生から5年ですので、時効にはご留意ください。

< 4. 違った観点からの回収あるいは問題の解決法 >

上記までは、あくまで滞納管理費を回収するという、管理組合側の利益のみに着目した回収方法ですが、発想を変えてみると違った方法で滞納管理費を回収することができるかもしれません。

(1)管理費滞納者の現状

管理費を滞納する入居者が滞納に陥った原因は、生活の困窮によるところが大きいと思われます。すなわち、多重債務に陥っていたり、ローンの返済もギリギリあるいは滞納が始まり、銀行によって競売されてもおかしくない状況になっている可能性があります。

(2)管理費滞納者を救済するという観点

生活にも困窮している管理費滞納者に対して債務整理を勧め、弁護士・司法書士によって債務整理を行い、債務整理の一環として所有する専有部分の任意売却をすることによって不動産の売却益から滞納管理費を回収したり、区分所有法上買主は滞納管理費を引き継ぐことになるので、滞納管理費を引き継いだ買主から回収するという方法が考えられます。この方法では競売に要する費用はかかりません。

(3)債務整理の種類とメリット

イ.任意整理の中の任意売却

任意売却であれば競売より高く売却できるので、債務の圧縮幅は大きくなります。売却益から滞納管理費を回収、あるいは回収できなくても、買主は滞納管理費を引き継ぐので、買主から滞納管理費を取れます。

ロ.個人再生

滞納者は借金総額が圧縮され、マンションは維持できる。この手続きが認められる条件として管理費の滞納がないことが条件となるので、この手続きを選ぶのであれば滞納者は管理費を支払わなければなりません。

ハ.破産

マンションは手放すことになりますが、債務はなくなります。マンションを売却する方法として競売となると売却価格が低くなりますので、多くの場合任意売却を勧め、新所有者から滞納管理費を回収することになります。  

(4)結論

上記債務整理を行うことによって、滞納管理費を回収することができる可能性がございます。債務整理で任意売却を行い、余剰が出れば滞納者から、余剰が出なくても買主から滞納管理費を回収することが可能になり、競売費用も不要になります。

もちろん債務整理に応じない滞納者も出てくると思われますが、その者に対しては通常の法的手段によって回収すればよいことになります。    

  (北村 清孝)

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