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相続で土地や家を売って分けるときの注意点とは

相続

2013.10.21

遺産分けを進めていくとき、不動産を売却してその代金を各相続人で配分するという内容でまとまる場合があります。しかし、コストの面で注意点が少なくないので、きちんとした検討が必要でしょう。

特に、「遺産の中に現金・預貯金があまり残っていなかった」ような場合や、「遺産の不動産には誰も居住するつもりがないし、保存や管理の費用も考えると、売却して換金した方が柔軟に分けやすい」ことなどから、このような分け方が選ばれることは珍しくありません。

実際に上記のような協議内容で具体的に進める場合には、2パターンの方法があります。

(1)相続人全員の共有状態のまま、不動産を売却して代金を法律上の相続分に応じて分配する方法

  ・・・「換価分割(かんかぶんかつ)」と呼ばれている方法です。

(2)相続人の1人が不動産をいったん取得して、後日不動産を売却した代金の中から他の相続人に代償金を支払う方法

  ・・・「代償分割(だいしょうぶんかつ)」と呼ばれている方法です。

<「換価分割」の注意点>

(1)の方法を採る場合、売却代金自体は遺産分けの対象から除外されます。そのかわり、不動産の買主に対して、各相続人はそれぞれの持分に応じた代金の支払を請求する権利を得ることになります。

スムーズな換価分割を行うためには、コストの負担についても明らかに定めておくことが好ましいでしょう。遺産分割協議書(調停であれば調停調書など)に、「売却した代金から経費(不動産の測量費や不動産仲介手数料、登記費用など)を控除した代金を遺産分割の対象とする」という旨の合意をしっかりと明記してから、不動産の売却手続きを行うことが重要になってきます。

なお売却後には、各相続人に対していわゆる「譲渡所得税」の課税があります。この譲渡所得税とは、不動産などを売却した際に、「売却代金の利益に対して、売却に必要な経費を差し引いた金額」に税金を課すものです。相続物件の場合は先代が長期保有(5年以上)している事が多いので、このときの税率は原則20%だと考えてよいでしょう。遺産分割の際には、このような課税が生じることも想定して手続きをすすめていく必要があります。

<「代償分割」の注意点>

(2)の代償分割の方法は、課税関係がより複雑になります。税理士などの専門家から意見を聴いて、(1)の換価分割の際よりも慎重に手続きを進めていくことが必要でしょう。

その理由としては、不動産を取得した相続人が将来不動産を売却したときに発生する譲渡所得税(課税は不動産を取得した相続人にしか行われません。)の課税の際に、他の相続人に支払う代償金の額は、原則として経費(資産の取得費)には算入されないからです。

この点を考慮していないと、不動産を取得した相続人だけが負担が大きくなる可能性があります。不動産売却代金の全額について、譲渡所得税の支払義務も課されてしまい、なおかつ他の相続人に対しての代償金の支払義務を負うという不公平な結果を生じかねません。

したがってこの代償分割の方法を選んだ場合には、「不動産を取得した相続人が、将来不動産を売却するときに発生する譲渡所得税の負担」も考慮しておくのがよいでしょう。例えば「不動産の評価額から、譲渡所得税の概算額を控除した額」などを実質的な評価とする方法が考えられます。この際、不動産がいくらで売却できるかという金額は未確定なため、近隣相場の売買代金や専門家の査定額を基準とする場合が多いといえます。

ただし、(1)(2)の方法とも、相続人全員の協議または調停による方法でしか行うことができません。

相続人の話し合いによる合意ではなく、裁判所の判決の場合(遺産分割審判)では、このように売却によって生じる譲渡所得税相当額などを不動産の評価から控除することは原則ありません。

なぜなら、譲渡所得税の税率は将来変更になる可能性もあり、税額をあらかじめ確定することができず、また遺産不動産を取得した相続人が不動産を売却しないで保有し続けて税の負担が発生しない場合には不公平な結果となることがあるためです。相続人全員でそのリスクも折り込んだ合意ができる場合ならばともかく、審判になっている場合はこうした柔軟な合意もできないということですから、裁判所としても融通をきかせるわけにはいかないのです。

以上のように説明してきましたが、特に相続人だけの話し合いで土地や家を売って分けるときは注意が必要です。思わぬ課税が生じることもありますので、くれぐれもお気をつけください。

(坂西 涼)

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