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遺言を超える!?先祖代々の本家を守るためのブーメラン型「信託」とは

家族信託遺言

2013.12.02

家族や親族の間、その支援者間とのにおいて、「財産をいかに希望どおり管理し、承継させていくか」という仕組みづくりとして信託の可能性が、今、注目されています。

たとえば、長年連れ添ってきた夫婦がいたとしましょう。二人の間に子供はいませんが、今までずっと仲良く二人でやってきました。夫には自宅をはじめ、すでに他界した両親から代々受け継いできた土地と建物があるとします。この夫には弟がいて、弟には子供がいるとします。

夫は、将来に備えて、こう思うのではないでしょうか・・・?

(1) 「もし私に何かあっても妻の生活は守りたい。私が亡くなったら、私名義の土地建物は、確実に妻の名義になるようにしたい。」

(2) 「しかし、その後・・・、妻亡き後、妻側の親族に、先祖代々の土地建物がいってしまうのは困る。妻の後は、弟の子供に名義がいくようにあらかじめ決めておくことはできないものか?」

このような場合、自分の希望どおりに財産を承継させるための手段として、まずは「遺言書」が考えられるでしょう。

(1)のように土地建物の名義を妻のものにする場合、まずは遺言書を準備しておきたいものです。というのも、もし遺言書がないままに夫が亡くなった場合、夫名義の土地建物の名義を妻に変えるには、妻と夫の弟との話し合いが必要になります。弟の承諾なしには、妻が自宅はじめ不動産の名義を自分名義にすることはできません。つまり、妻は名義変更のために実印や印鑑証明書などの協力を弟にお願いする必要があるのです。

しかし、夫が遺言書を残して「土地建物を妻に取得させる」旨が記載されていれば、妻はその遺言書を使用して、弟の協力を得ずとも、不動産の名義を自分名義にすることができます。また、兄弟には遺留分(相続人に最低限保障される相続取得分)がありませんので、妻は他の誰からも権利を主張されることなく、完全に土地建物を取得することができます。

このように、遺言書によって(1)の希望は果たせることになるといえるでしょう。

それでは、(2)についてはどうでしょうか?

この場合、遺言書で、

「私が亡くなったら妻に相続させる。妻が亡くなったら、弟の子供(甥)が取得する。」

と記載したくなるところです。いわゆる「後継ぎ遺贈」と呼ばれるものですが、裁判所の判例として、このような「次の次」まで遺言書で定めても無効という判断が出ています。

これは、「財産の処分は、あくまでもその財産の所有者が決めること、妻が取得した以上、妻の次の取得者を決めることができるのは妻だけである」という考え方に基づいたものです。

したがって、(2)の実現は、夫の遺言書では果たせないことになります。妻にも遺言書を残してもらうしか方法がないことになります。

それでは、(2)のような希望に沿うことはできないのでしょうか?

実は、「信託」を活用することで、このような「次の次」までを実現することができます。

ここでご紹介する信託というのは、「民事信託(みんじしんたく)」というもので、通称として「家族信託」と呼ばれることもあります。家族や親族間において信託を活用することにより、財産の承継をスムーズに、希望どおりに行う手法です。

この場合、夫は生前に「弟に対して、土地建物の所有名義を信託を原因として移す」ことになります。

信託の目的は、「利益を受ける立場」の人のために、「土地建物を管理承継すること」と設定します。弟はこの契約によって土地建物の所有名義を取得しますが、これはあくまでも夫の信託財産として、夫の意向どおりに「利益を受ける立場」の者のためだけに管理承継することになります。弟は、それに反するような形で土地建物を利用することはできず、その内容は登記簿及び信託目録という公簿のなかにきちんと記載されます。

そして、その不動産の実質的な所有者である「利益を受ける立場」を、当面は夫本人が有することとします。やがて夫が亡くなった場合、「2番目に利益を受けるもの」として、「妻」を指名しておきます。そして、妻が亡くなったときは「3番目に利益を受けるもの」として、「弟の子供」と定めておくことができます。

以上の内容をあらかじめ「書面」に記載しておくことで、土地建物などの財産の承継を希望するとおりに実現することができるのです。

このように遺言書では認められない「後継ぎ遺贈」が、信託であれば可能となります。

また、不動産の名義はすでに弟名義になっているので、夫の死亡の際に、相続手続や遺言執行などは必要ありません。スムーズに財産承継がなされることになるでしょう。

以上のとおり、信託は、財産承継への備えとして、ある意味、遺言を超える可能性を有するものともいえます。

信託の場合、財産名義を預かる者、上記の例では弟への「信頼」が鍵を握ることとなります。法律上では、弟が自由に不動産の処分や利用ができるわけではありません。しかし上記の例では、事実上も「将来的に弟の子供に名義が来る」ことが予定されており、弟の協力が得やすい状況であるいえます。

また、弟に名義を託すための「信託手数料」を検討したり、「信託監督人」という、弟をチェック・フォローする立場の者を置くこともできます。

(石井 満) 

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