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司法書士法人 おおさか法務事務所

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ABL(債権・動産譲渡担保)について (2)

企業法務

2012.09.21

(前回「ABL(債権・動産譲渡担保)について(1) 」のつづき)

 

(4)動産・債権譲渡の従来の対抗要件


 
 

1.債権譲渡の対抗要件

 

AがBから、BがCに対して有する債権の譲渡を受けるというケースを考えます。


 
 

債権の譲渡があったことをAがCに主張するには、Bから債権者はAに変わったことをCに通知するか、もしくはCが債権譲渡を承諾する必要があります。C以外の第三者に債権の譲渡があったことをAが主張するには、その通知・承諾を確定日付のある証書でする必要があります。(民法467条) 


 

<債権譲渡の対抗要件は、確定日付のある書面での通知・承諾>


 
 

2.動産譲渡の対抗要件

 

AがBの所有するテレビを譲り受けたが、Cも同じBのテレビを譲り受けたというケースを考えます。


 
 

AがCに対してテレビを譲り受けたのは自分であるというためには、Cより先にテレビの引渡しを受けることが必要になります。(民法178条)


 

<動産譲渡の対抗要件は、引渡し>


 
 

(5)動産・債権譲渡担保の従来の手法


 

1.債権譲渡担保の手法


 
 

AがBに融資するにあたり、Bが取引先Cに対して有する債権の譲渡担保を受けるというケースを考えます。


 
 

(問題点1)


 

通常、債権譲渡によりCの債権者はBからAに切り替わり、CはAに弁済していくことになりますが、ここでの譲渡はあくまで担保目的ですので、Aは、BがAに対して債務不履行した場合にのみ、Cから弁済を受けることができればその目的を達することができます。逆にBからしてみれば、担保目的であるのにも関わらず、何もないうちからCに対する債権をAに回収されてしまえば、事業が成り立たなくなります。


 

(問題点2)


 

Aが、Cや第三者に債権譲渡担保を主張するために、BからCに債権譲渡担保の通知をするか、もしくはCの承諾を得る必要があるのですが、BからAへ債権が譲渡された事実がCに知れてしまうと、債権者が見知らぬAに変わることをCが嫌がり、Cは今後Bとの取引をやめてしまう可能性があります。


 

以上の問題点を踏まえると、債権を譲渡しておきながらBに債務不履行が生じるまではBがCから弁済を受けることができるようにし、かつ、Cに知られない状態で対抗要件を満たす必要があるという、非常に難解な問題があります。


 
 

(解決策)

 

そこで、債権譲渡担保契約の中で、Bに債務不履行があるまではCから弁済を受ける権利をBに残しておき、かつ、Bに債務不履行があった時にはじめてCに通知する契約を結ぶという複雑な契約形態(通知留保型停止条件付債権譲渡担保契約)などを取っていました。(Cに対する通知はBからしないといけませんので、契約締結時に予めBからCに対する日付の空いた通知書を受け取っておくというやり方です。)


 
 

ただし、このやり方では、破産法との関係から債権譲渡の効力が否認されるリスクがありました。債務不履行があって譲渡担保契約の効力が生じ、効力が生じた時点で通知するという手法が、破産法上の偏頗行為否認や対抗要件否認の対象となり、無効になるリスクがありました。


 

※偏頗行為否認…支払不能または倒産手続開始申立後に債務者がした担保供与・債務の消滅にかかる行為を否定できること


 
 

※対抗要件否認…支払停止後に備えられた対抗要件の効力を否定できること


 

2.動産譲渡担保の従来の手法


 

AがBに融資するにあたり、Bが持っている建設機械の譲渡担保を受けるというケースを考えます。


 
 

AがBから建設機械の譲渡を受けるのはあくまで担保目的ですので、Bに債務不履行があるまでは、Bに使用させて営業させる必要があります。一方で第三者に譲渡担保を主張するには、Bから引渡しを受ける必要があります。


 
 

そこで、民法に定める対抗力のある引渡しの一手法である、「占有改定」という引渡し方法を選択することになります。これは、物自体はBの下に置いておきながら、所有権はAに移すという引渡し法です。そしてBに債務不履行があった時点で物を引き上げるというやり方です。ただ、第三者からみれば所有権がAにあることがわかりませんので、建設機械に「譲渡担保権者A」というプレートを取り付けたり、「譲渡担保権者A」と刻み込んだりして、第三者にAの譲渡担保の目的となっていることを分かる様にしておくという方法(明認方法)が取られていました。


 

ただし、明認方法がなんらかの理由で外れたり、消えてしまったりしている間に、Aが譲渡担保の目的にしていることを知らない第三者が建設機械をBから購入して持ち出してしまえば、Aはその第三者に自分の権利を主張できないというリスクがありました。


 
 

(6)動産・債権に関する登記制度の創設


 

従来の制度では、動産や債権については例外を除いて登記することができませんでした。ところが、平成10年に債権譲渡特例法が制定され、債権譲渡登記制度が創設されました。続きまして、平成17年に債権譲渡特例法が改正され、動産債権譲渡特例法となり、動産譲渡登記制度が創設されました。これにより、従来民法上でのみ対抗要件が定められていた動産と債権が、登記という対抗要件を取得したことになりました。


 
 

そして、この登記制度の創設により、動産・債権譲渡担保に関する従来の方法でのリスクをクリアできた部分と、できなかった部分が出てきたのですが、それはまた次回に委ねるとします。


 

ではまた今度。


 

(北村 清孝)


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