シンガポールの会社や法人の資格証明書(登記簿謄本)の取得方法と費用|杠司法書士法人|相続・遺言書や後見、企業法務のご相談 このページの先頭です

杠司法書士法人

COLUMNコラム

本文へジャンプします。

杠司法書士法人は見た!
実録コラム百科

ここから本文です

シンガポールの会社や法人の資格証明書(登記簿謄本)の取得方法と費用

企業法務

|更新日:2022.11.10

投稿日:2011.05.31

過去の2ちゃんねるの書き込みに対するパケットモンスター社への手続きのように、シンガポールの会社や法人を債務者として日本の裁判所に対して仮処分の申立を行う場合に、資格証明書や登記簿謄本が必要となるケースがあります。

こうした証明書はどのようにして取得すればよいのか、どれくらいの費用がかかるのかについてご紹介します。

日本では、登記制度に基づいて法人の情報を国(法務省)に登録する制度が存在します。法務省に登録された情報は一般に公開され、請求すれば誰でも情報を取得することができます。

そこで、法人が当事者として契約を行ったり、あるいは訴訟の対象となったりする場合などには、この情報に基づいて発行されたいわゆる「資格証明書」を添付して手続きを行うことになります。

具体的には「履歴事項証明書」「代表者事項証明書」などの文書がこれにあたりますが、慣習上「会社謄本」や「法人登記簿謄本」などと呼ばれることもあります。

そして、これに類似した制度が東南アジアのシンガポール共和国にも存在しています。シンガポールでは、法人の情報は会計企業規制庁(Accounting and Corporate Regulatory Authority、略称ACRA)という官庁に登録されており、やはり日本と同様に請求すれば誰でも情報を取得することが可能です。

このシンガポールの法人情報は、日本国内からでもインターネットを通じて請求することができます。(※追記:2015年7月よりシンガポール政府の取り扱いが変更され、シンガポール政府発行のIDなどがない外国人からの請求ができないようにシステムが変更されています。)

それでは、このACRAで取得できる法人の情報について、その種類や手数料、取得の方法などを具体的にご紹介します。

法人情報の種類と手数料>

シンガポールの会計企業規制庁(ACRA)で取得できる法人情報は、「bizFILE」と呼ばれています。bizFILEにはいくつかの種類があり、それぞれに手数料や特徴が異なっています。以下にいくつか紹介してみましょう。

※なお、実際に日本国内でこれらの文書を用いて手続きを行う際には、提出する予定の機関に対して「どの文書が必要となるか」の事前確認を必ず行われることをおすすめします。

1.Business Profile

コンピューターで自動発行される文書で、商号(前商号)、設立年月日、法人形態、事業目的、資本金、法人所在地、決算の申告状況、役員の構成、株主の構成などの法人の基本情報が記載されています。

文書には個別の発行番号と発行日付が入りますが、会計企業規制庁(ACRA)の印章や、担当官の署名などの正式な認証は入りません。日本でいうところの登記情報の閲覧に近いイメージで、発行手数料は5.5シンガポールドルに設定されています。

 → 「Business Profile」のサンプル

2.Certificate Of Good Standing

法人が、シンガポール政府の所定の更新手続きを怠らずに現在も存続していることを示すもので、会計企業規制庁(ACRA)の印章や、担当官の署名などの認証も入ります。

ただし、商号や法人形態、事業内容などは確認できますが、役員の構成などについては記載がないため、代表者の確認はできません。

また、インターネットからの請求では、基本的に紙の原本ではなくデジタル文書(PDFファイル)としてオンラインで発行される点にも注意が必要です。

発行手数料については、11シンガポールドルに設定されています。

 → 「Certificate Of Good Standing」のサンプル

3.Business Profile with Certificate of Production

内容としては、1.のBusiness Profileと同じものです。

最大の相違点としては、書類発行の経緯について、会計企業規制庁(ACRA)の担当官の署名による正式な認証が加えられる点が挙げられます。

末尾のページにはACRAの印章がスタンプされ、シンガポール政府の管轄内における文章上の位置付けとしても「裁判所や他の所轄官庁に対して証拠目的で用いるための文書」とされています。

また、シンガポール法人を債務者として、日本の裁判所に対して仮処分の申立を行う場合などにも、このBusiness Profile with Certificate of Productionが資格証明書にあたるものとして採用されているケースがあります。

Business Profile with Certificate of Productionについては、インターネットで請求する際に原本を「現地の窓口で受け取る」か「郵送で受け取る」かを選択できます。郵送の場合は、国際郵便で日本へ送ってもらうことも可能です。

さきほども述べたように、情報の内容自体は1.と全く同じで末尾に認証が入るだけなのですが、発行手数料については3倍の16.5シンガポールドルに設定されています。

 → 「Business Profile with Certificate of Production」のサンプル

請求方法について

シンガポール政府の会計企業規制庁(ACRA)のページから、「BUY information」の「LAUNCH」を選択します。

するとbizFILEのページに遷移しますので、必要な書類を選択し、請求したい法人名などを検索します。(「HOME」からの総合検索も可能です。)該当する情報があれば、欲しい証明書を選択し、カートに入れて請求手続きに進むことができます。

請求手続きと代金決済が完了した後、現地での受付手続きを待ちます。たとえば上記1.と2.のような電子文書については、現地受付終了後にデジタル文書の形で発行され、指定した電子メールアドレスに対して発行情報が送信されてきます。

これをもとにインターネット上の閲覧およびダウンロードが可能になりますが、ひとつの請求ごとに表示期限(48時間)が設けられているので注意が必要です。

3.については、現地での受付終了後に約1日程度をおいてシンガポール現地で紙媒体の証明書が発行されます。

期間の目安

シンガポールからの原本の郵送については、日本の都市部であれば通常は発行から約1〜2週間程度で指定した宛先へ到着する目安となります。

ただし、この期間は現地の郵便事情にも左右されます。たとえばシンガポールの周辺にはイスラム国も多く、シンガポール当局にもマレーシア系などのイスラム教徒のスタッフが在籍しているため、断食月(ラマダーン)の時期には郵便物の配達スピードに影響が出ることなどもあります。

請求時の注意点

いずれの手続きも、シンガポールの居住者でないものが請求する場合には、パスポートなどによるID認証などの手続きが必要となります。

手数料についても、当然ながらシンガポール政府に対してクレジットカードやネットバンキングなどによってインターネット上で決済しなければなりません。

ネットバンキングについては、基本的にシンガポール系の金融機関と連動するように設計されています。(※追記:2015年7月よりシンガポール政府の取り扱いが変更され、シンガポール政府発行のIDなどがない外国人からの請求ができないようにシステムが変更されています。)

また、一連の手続きの案内はすべて英語で、郵送請求のための情報や代金の決済の情報なども英語で送信することになります。

関連する記事

外国企業の日本進出の形態

本記事に関する連絡先

フリーダイヤル:0120-744-743
メールでのご相談はこちら >>

お問い合わせ

オンライン相談