仮登記とは 家や土地の登記簿に「仮登記」が入っていた場合の注意点
不動産
|更新日:2022.11.27
投稿日:2013.05.13
「不動産の購入を考えている」 「親が亡くなったので、親名義の不動産を相続し、自分名義に書き換えたい」
こんな場合、登記簿謄本に「所有権移転“仮”登記」といった記載があれば注意が必要です。
「仮登記」とは
ここでは、所有権についての仮登記の説明をしたいと思います。仮登記には、大きく分けて2つの種類があります。
(1)すでに権利の変動は生じているが、登記に必要な情報を提供出来ない場合
要するに、実際に権利が移るイベントは起こってしまっているけれど、手続きのために必要な権利証(登記識別情報)など、所有権移転登記に欠かせない書類を紛失してしまって、添付することが出来なかったパターンなどです。
(2)まだ権利変動が生じていないが、請求権を保全したい場合
要するに、まだ実際に権利が移るイベントは起こっていないけれど、将来的に権利を移す条件が整えば権利を移しますよ、といった事前予約をするようなパターンです。
では、なぜこのような曖昧な登記が存在するのでしょうか。
それは、登記というものは原則早いもの勝ちだ、というルールがあるからなのです。先に登記を入れたものに、優先的に「対抗力」があるということになります。(最近では、徒競走にも順位をつけない時代のようですが、登記ではまだまだ順位優先の考え方が生きています。)
しかし、先に登記を入れたものに対抗力があると述べましたが、仮登記はあくまで“仮”であって、所有権を有している訳ではありません。したがって、対抗力はありません。
仮登記って何がいいの?
それは、順番です。上記の(2)のように、条件が整っていないにも関わらず、とりあえず登記を入れることが出来る。言わば、堂々とフライングができるようなものですね。それが仮登記の最大のメリットである、「順位の保全」だと言ってよいでしょう。
(2)のような仮登記は、条件が整ったあかつきには権利を移して本登記(通常の所有権移転登記)にすることができます。仮登記が本登記になれば、仮登記した日にさかのぼり、本登記と同じ効力が生まれます。そして、その仮登記の順位が優先され、仮登記より順位が後のものは、なんと登記官(法務局)の職権により抹消されてしまいます。
それでは、具体的な例を、時系列でみてみましょう。とある土地について、登記簿(登記事項証明書)にはこんな風に書かれてあったとします。
(平成10年) Aへの所有権移転仮登記
(平成15年) Bへの所有権移転
(平成20年) Cへの所有権移転
この場合、何も起こらなければ、所有権はBからCへと移転して、現在の所有者はCのはずです。ところが、ここで平成10年のAの仮登記が本登記になると・・・
(平成10年) Aへの所有権移転
(平成15年) Bへの所有権移転 ← 職権により抹消
(平成20年) Cへの所有権移転 ← 職権により抹消
と、B、Cは職権により抹消され、Aは仮登記をした日にさかのぼり所有権を有し、所有者はAとなってしまうのです。
さて、ここからがいよいよ本題です。購入を考えている不動産や、亡くなった親名義の不動産に、「所有権移転”仮”登記」といった記載があればくれぐれも注意してください。
仮登記のままでは対抗力が無いとはいえ、ほったらかしにするのではなく、本登記が入り抹消されてしまう恐れを考慮しなければなりません。名義の書き換えをする前に、きちんと所有権移転仮登記の抹消登記をしておく必要があるといえます。
もちろん、仮登記の抹消には、仮登記をした人(仮登記名義人)の協力も必要になってきます。ケースによっては、仮登記の名義人もすでに亡くなっていて相続が発生・・・現在の仮登記名義人は誰なの?どこにいるの??などと、思わぬ苦労が出てくる恐れもあります。
いずれにせよ、お手元に不動産の謄本がある場合は、一度確認してみても良いかもしれませんね。
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