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債権を担保にする方法

動産・債権譲渡

|更新日:2022.12.15

投稿日:2011.02.01

安定的な売掛債権等の債権を有する者を相手に融資をする場合に、相手が有する債権を担保にする方法があります。債権譲渡担保と呼ばれる担保の一形態です。

債権譲渡担保の手法として用いられるものとして、以下の方法があります。

1.債権譲渡担保契約を締結し、債務者の取引先に債権譲渡担保があった旨の通知をする、または承諾を得る方法

この手法により、譲渡担保を取得した債権者は、契約締結時から第三者に譲渡担保の事実を対抗することができるようになります。

もっとも、債務者になんら信用不安がない時点で取引先に通知を行ったり、承諾を求めるようなことをすれば、債務者について信用不安を招くおそれがあり、債務者側が通知や承諾は避けたいと考えるのが通常です。

しかし、通知・承諾がなければ、第三者に対抗できません。

2.債権譲渡登記を行う方法

債権譲渡担保について登記をする方法です。登記がしてあれば、契約を締結し登記をするだけで、すぐに取引先に通知をしたり、承諾を得るということを行わなくても、後日債務者に信用不安が生じた時点で登記事項証明書を取引先に交付して通知することによって、登記をした時点に遡って取引先に通知をしたことになります。

契約締結と同時に通知等を行わなくても、信用不安が生じたときにはじめて通知をすることによって、譲渡担保を取得した債権者は、債権譲渡契約時から第三者に対抗することができるようになります。

取引先に調査されることがない限り、事が生じるまで取引先に知られずに債権を担保に入れることが可能です。

ただし、制度上、債務者が法人でなければ登記をすることができませんので、債務者が個人の場合はこの方法を採ることはできません。

契約だけ締結して、通知を留保する方法

停止条件付債権譲渡担保契約という契約を締結し、取引先への通知書を必要な通数予め債権者が預かっておき、債務者に信用不安が生じた時に通知書を発送する方法です。

債務者の信用不安等が生じた時点で債権譲渡契約の効力が確定的に発動し、債権者が預かっていた譲渡通知書を即座に発送することによって通知の時点から第三者に対抗することができるようになります。

上記1.、2.のいずれも不可能である場合の最終手段としての方法になります。契約締結時には取引先に知られることはありません。

ただし、この方法は、債務者が倒産した場合には、管財人等から債権譲渡を否認される危険性が高いことに留意する必要があります。

融資にあたって取引先に対する債権を担保に取得する方法としては、上記のような方法があります。

相手方の状況や協力の程度に応じて臨機応変に対応する必要がありますが、各手法についてはそれぞれメリット・デメリットがあることになります。

その中でどの手法を選択すべきなのかについては、債権法・債権譲渡特例法・譲渡担保の法的性質・破産法に関する高度な専門知識を要します。

債権譲渡担保を考えられておられる場合は、一度ご相談いただければと存じます。

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北村 清孝

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