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競売におけるローン制度利用について

その他

|更新日:2022.11.24

投稿日:2011.06.14

一般に、不動産を購入する際には、銀行などの金融機関から購入資金を借り入れすることが多くなります。

そして、購入した不動産を借り入れの担保として提供することが求められるため、不動産の名義書き換えの登記と連続して、金融機関に対しての担保の借り入れの登記も必ず行うことになります。

これに対して、競売によって不動産を落札した場合、その不動産の所有権移転登記手続きは、裁判所が法務局に申請することになります。

一方で、金融機関の融資に伴う抵当権などの担保設定登記は、裁判所ではなく通常通り申請人から法務局に申請することになります。

このため、通常の競売の場合は、所有権移転登記と抵当権などの担保設定登記を同じ日に連続して申請することが制度上不可能であることになります。

つまり、金融機関としては、融資をしても担保の登記をするまでにタイムラグが生じてしまい、先順位の登記が入ってしまうリスクがあったということです。こうした理由から、競売の買受人はローンを利用することが困難でした。

しかし、法改正により、現在は「民事執行法第82条2項に基づくローン制度」というものを利用することができるようになりました。

この制度を使うと、裁判所から所有権移転登記嘱託書を指定司法書士もしくは弁護士に預託され、当該指定司法書士などが担保設定登記申請書と一緒に法務局に持ち込むことができます。

したがって、裁判所による所有権移転登記と、金融機関の担保設定登記を、連続して同時に行うことができるようになりました。

この制度ができたことによって、金融機関は競売物件の落札に対して融資がしやすくなり、買受人としても代金のすべてを自己資金で用意できなくても競売物件を落札することができるようになっています。

ただし、このローン制度を利用するには、裁判所に落札代金を納付する日の4営業日前(大阪地方裁判所の場合)までに、ローン制度を利用する旨の申し出を裁判所に対して行う必要があります。

ローン制度の申し出の必要書類の中には、金融機関の実印の押印が必要な書類や金融機関の印鑑証明書、押印済抵当権設定契約書などが含まれており、前もって準備しておかなければ、すぐには準備できないものが多数含まれています。

万一書類上に不備があった場合、上記期限が守れないことになってしまいかねず、制度が利用できなくなってしまうおそれがあります。

とはいえ、金融機関にとっては、案件の稟議等の関連から、上記期限に相当の余裕をもって手配することが難しいことがあるかもしれません。

このように、競売におけるローン制度利用は一般の売買・融資と比べて特殊な手続きであり、裁判所が関与するため期限も厳格に定められています。

専門家である司法書士の関与が必要となるケースといえますので、手続きにあたってはわれわれ司法書士の力をぜひご利用ください。

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北村 清孝

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