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相続したマンションの名義変更はどうすれば良い?手続き方法や税金を解説

不動産

投稿日:2025.03.19

マンションを相続するには、名義変更が必要です。

しかし、相続のなかでも不動産に関する手続きは聞き慣れない言葉も多く、「どこから手をつければ良いかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続したマンションの名義変更を行う手続きや費用、注意したいポイントについて解説します。

マンションを相続する際には名義変更手続きが必要

被相続人(亡くなった人)からマンションを相続する際には、名義を変更する必要があります。

相続による不動産の名義変更を「相続登記」といいます。

これまでは相続登記をしていなくてもペナルティはありませんでしたが、空き家は増加の一途をたどり、所有者不明土地の問題の一因になっているという指摘もありました。

そのため、2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続した場合、相続したことを知った日から3年以内に相続登記を完了させる必要があります。

また、これから発生する相続だけでなく、2024年4月1日以前に発生した相続に対してもこの制度は適用されます。

手続きを怠ると、10万円以下の過料が課される可能性もあるので注意が必要です。

マンションの相続と名義変更するときの流れ

マンションの相続と名義変更を行うには、必要な手続きを踏む必要があります。

以下では、一般的な流れを6つのステップに分けて解説します。

STEP1:遺言書の有無を確認する

相続を開始するにあたり、まず最初にしなければならないのは、遺言書がのこされていないか確認する作業です。

遺産の分割において被相続人(亡くなった人)の意思は、法定相続分や遺産分割協議よりも優先されます。

遺産分割協議などの相続手続きが完了したあとで遺言書が発見された場合、その相続は遺言書に基づいてやり直さなければなりません。

遺言書の保管方法として、以下のようなケースが考えられます。

  • 自筆の遺言書を自宅や貸金庫に保管している
  • 公正証書による遺言書を作成している
  • 自筆の遺言書を法務局で保管している

本人から聞いていなくても、ひそかに遺言書を遺している可能性もあります。

二度手間やトラブルを防ぐためにも、遺言書の有無は必ず最初に確認しておきましょう。

STEP2:法定相続人を確定させる

遺言書が遺されていない場合は、法定相続人が財産を引き継ぐことになります。

法定相続人になれるのは亡くなった時点での配偶者と血族に限られますが、離婚や死別した配偶者との子どもにも相続権が生じます。

その場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て取り寄せて、自分たちが把握していない相続人がいないか確認しなければなりません。

法定相続人の存在が後から発覚すると、遺言書と同じく相続手続きは全てやり直しになってしまいます。

「大丈夫だろう」と憶測で進めず、戸籍謄本を全て取り寄せて正確な情報を得ることが重要です。

STEP3:必要な書類を集める

マンションの相続に必要な書類は、遺言書の有無や誰がマンションを受け継ぐのかによって異なりますが、相続人全員の戸籍謄本や住民票は必ず必要になります。

本籍から離れた場所に住んでいる場合など、書類が手元に届くまで時間がかかることもあるので、書類の収集は早めに始めることが大切です。

被相続人の戸籍謄本を取り寄せるのと同時に、法定相続人の書類収集も始めておくと良いでしょう。

STEP4:遺産分割協議を行う

相続人が確定したら遺産分割協議を行い、誰がマンションを相続するか決めます。

遺産分割協議とは相続人全員で遺産を「誰が、どのように」相続するのかを話し合う場です。

相続内容について全員の合意が得られたら「遺産分割協議書」に内容を記載し、それに基づいて遺産を分割していきます。

遺産分割協議書は相続人が遺産の分割に同意したことを示す書類で、作成は義務ではありません。

しかし、相続登記や相続税の申告など、遺産分割協議書の提出を求められる場面も考えられます。

また、相続内容をきちんと書面にして残しておくことで、相続人間のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

遺産分割協議書は自分たちで作成することもできますが、法定相続人の数や相続財産の種類次第では専門家に依頼することも検討しましょう。

STEP5:マンションの名義変更(相続登記)を行う

マンションを相続する人が決まったら相続登記を行い、名義を被相続人から相続人へ変更します。

一つのマンションを共有している場合でも相続人全員で行う必要はなく、一人の相続人が全員分の登記を行うことが可能です。

事前に集めておいた書類を用いて法務局に申請しますが、代襲相続が発生していたり、相続するマンションが複数ある場合は手続きが複雑になってきます。

書類の用意や遺産分割協議の過程において「自分で手続きするのは難しい」と感じたら、早めに司法書士に相談することをおすすめします。

STEP6:相続税の申告と支払いをする

マンションの名義変更が完了したら、相続税の申告・納付を行います。

相続税は全ての相続にかかるわけではなく、「相続した財産の額から負債や葬式費用を差し引いた後の額」が、基礎控除を上回っているときに支払うものです。

相続税の基礎控除は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」です。

たとえば、父親が亡くなって、配偶者(子どもの母親)と子ども3人の計4人が相続人となった場合の控除額は、以下のようになります。

3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円

遺産の合計額が5,400万円を超えない範囲であれば、相続税はかからず申告する必要もありません。

相続税の申告は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内と定められています。

期限を過ぎると加算税や延滞税がかかる可能性もあります。

手続きに不安があるときや本当に基礎控除の範囲内なのか自信がないときは専門家に相談するのも一つの方法です。

相続したマンションの名義変更をする際に必要な書類

相続したマンションの名義変更に必要な書類は遺産分割協議や遺言書によるものか、法定相続によるものかで異なります。

一般的な相続の際に必要とされる書類を表にまとめました。

必要書類 取得場所 備考
相続人全員の戸籍謄本 市町村役場 被相続人が亡くなった日付以降に発行されたものが必要
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) 市町村役場 除籍謄本は死亡届を出して2週間程度で取得可能
住民票の除票 住所地の市町村役場 戸籍の除附票でも可能
住民票 住所地の市町村役場 戸籍の附票でも可能
固定資産評価書 不動産所在地の市区町村役場 相続者なら取得可能だが、相続関係を証明する戸籍謄本の提示が必要になることがある
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
印鑑証明書(サイン証明書) 市町村役場 遺産分割協議の場合のみ必要
遺産分割協議書 自分もしくは専門家が作成 遺産分割協議の場合のみ必要
遺言書
登記申請書 自分で作成 法務局のホームページからダウンロード可能

どの相続登記を選択するかによって必要な書類が変わるので、事前によく確認しておくことが大切です。

相続したマンションの名義変更にかかる費用

相続したマンションの名義変更にかかる費用として、以下が挙げられます。

  • 登録免許税
  • 必要書類の取得費用
  • 司法書士への報酬

それぞれの内容について詳しく解説しています。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記や登録を申請する際に国に対して支払う税金です。

マンションの購入時だけでなく名義を変更する際にもかかるので、相続登記と同時に登録免許税も支払うことになります。

登録免許税の計算式は不動産の「固定資産税評価額×0.4%」です。

マンションの評価額1,000万円あたり、4万円ほどかかると考えれば良いでしょう。

マンションの固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書に記載されているので、支払い前におおよその予測を立てることも可能です。

必要書類の取得費用

相続には、戸籍謄本や住民票などの取得費用がかかります。

ほとんどは1通あたり数百円+送料なので、多く見積もっても2~3万円程度でおさまるでしょう。

戸籍謄本の手数料を支払うには、郵便局で販売している「定額小為替」が必要ですが、平日の郵便局窓口でしか販売していないので注意が必要です。

マイナンバーカードを持っていれば、コンビニエンスストアの証明書交付サービスを利用できることもあります。

司法書士に依頼した場合の報酬

司法書士に相続手続きの代行を依頼した場合の報酬は、相続関係の複雑さや付随する作業量によって変わります。

事務所によっても異なりますが、必要書類の収集や遺産分割協議書の作成など一連の作業を全て依頼した場合は、10~15万円(実費は別途支払い)程度が相場です。

初回相談で、正式に依頼する前に見積もりを作成してもらうのもおすすめです。

杠(ゆずりは)司法書士法人でも、随時相談を受け付けております。

相続に関して、わからない点があればまずはご相談ください。

相続したマンションの名義変更でよくある質問

相続したマンションの名義変更を行ううえで、よくある質問をまとめました。

マンションの名義変更の手続きは自分でできる?

相続に問題がなく、かつ事務手続きにある程度慣れている人ならばマンションの名義変更(相続登記)を自分で行うことも可能です。

ただしそれなりに手間はかかり、平日でなければできないことも多いので、そのために時間を割ける方でないと難しいでしょう。

また、以下のようなケースは司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

  • 相続するマンションが複数ある
  • 遺産分割協議書の書き方が分からない
  • 相続税の申告期限が迫っている
  • 相続する財産が基礎控除を越えている

申告内容に誤りがあると余計な出費や手間がかさむことになります。

これは手に負えないと感じたら、登記のプロである司法書士に早めに依頼しましょう。

マンションの名義変更に期限はある?

マンションの名義変更には、以下のような期限が定められています。

  • 不動産を相続した場合、相続したことを知った日から3年以内
  • 遺産分割が成立した日から3年以内

ただし相続税の申告期限には、相続が発生してから10か月以内という期限があります。

基礎控除の範囲内で収まっている場合でも、できるだけ早めに名義変更の手続きを済ませるほうが良いでしょう。

マンションだけを相続放棄することはできる?

マンションだけを相続放棄することは、原則としてできません。

プラスの財産とマイナスの財産を相殺して、プラス分だけ相続する限定承認という方法がありますが、特定の財産だけを放棄するものではありません。

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も含めた、全ての権利を放棄するということなので、マンションだけでなく現金など資産価値の高いものも放棄することになってしまいます。

誰も住む予定がなく、維持費の負担が大きい場合は売却も視野に入れることをおすすめします。

マンションを相続せずに売却することは可能?

名義変更がされていないマンションを第三者に売却することはできません。

相続予定のマンションを売却するのであれば、その前に必ず相続登記の手続きを済ませて名義を変更しましょう。

マンションの売却相談と相続手続きを同時に進めることも可能ですが、相続登記が完了していなければ売買契約を結ぶことができません。

スムーズに取引を進めるためにも、マンションの名義変更は早めに済ませておくことが大切です。

マンションの名義変更でお困りの方はゆずりは司法書士法人まで

相続したマンションはそのまま住むにしても売却するにしても、名義変更の手続きをしなければなりません。

名義変更の手続きは必要書類をそろえて法務局に申請しますが、申請に誤りがあったり期限を過ぎてしまったりすると延滞税や加算税が課される可能性もあります。

自分で申請することもできますが、ミスなくスムーズに手続きを進めるなら専門家に依頼することをおすすめします。

相続は人生でそう何度も経験するものではありません。

杠(ゆずりは)司法書士法人では相続に関するお悩みをプロの立場から的確にサポートいたします。

随時相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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