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相続後の年金に関する4つの手続き|知っておくべきポイントを解説

相続

投稿日:2025.01.22

家族や親族が亡くなると、さまざまな手続きを行う必要があります。なかでも、故人の年金に関する手続きは、相続において重要なポイントの一つです。

年金受給者が亡くなった場合、まず年金支給の停止手続きを進める必要があります。同時に、亡くなる前に発生していた未支給の年金は、遺族が受け取ることができます。

ただし、年金の種類や状況に応じて手続きが異なるので、注意が必要です。

この記事では、相続が発生した際に必要となる年金手続きについて、詳しく解説します。

亡くなった方の年金に関する4つの手続き

年金受給者が亡くなったときは、年金停止手続きや未支給年金の申請手続きが必要です。

具体的には、以下の4つの手続きを行います。

  • 年金停止手続き
  • 未支給年金の請求手続き
  • 遺族年金の請求手続き
  • 企業年金や個人年金の手続き

それぞれの年金手続きについて詳しく解説します。

年金停止手続き

年金受給者が亡くなったときは、まず受給権者死亡届を年金事務所へ提出します。

手続きには死亡した人の年金証書と、死亡の事実を証明できる書類が必要です。

手続きの期限は国民年金は死亡した日から14日以内、厚生年金は10日以内です。

受給権者死亡届の提出によって、年金の支給が停止されます。

ただし、マイナンバーを日本年金機構へ登録している場合は届出の必要はありません。

手続きをしないで年金を受給し続けると不正受給とみなされることがあるので、必ず行いましょう。

届け出を忘れてしまい、多く年金を受け取ってしまった場合は、後で返還しなければいけません。

余計な手間を増やさないためにも、忘れずに期限内で申請しましょう。

未支給年金の請求手続き

年金は偶数月に2ヶ月分入金される仕組みになっているため、受給者が死亡した時点でまだ受給していない年金や、亡くなった月までの未払い分の年金が発生します。

たとえば、4月10日に受給者が亡くなった場合、年金の受給権は4月分まで存在しますが、実際の振込は6月になります。

この場合、亡くなった方が6月の支給分を直接受け取ることはできません。

ただし、未払いとなっている年金は「未支給年金」として、遺族が請求手続きを行うことで受け取ることが可能です。

手続きを忘れずに行うことで、未支給の年金を受け取ることができます。

受給できる遺族と受け取りの順位は、次の通りです。
ただし、未支給年金を請求できるのは、受給権者の死亡の当時、死亡した受給権者と生計を同じくしていた人だけです。生計を同一としない場合、請求権はありませんので注意が必要です。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他

請求書の提出は前述の死亡届と合わせて複写になっています。

受け取った年金は相続税とみなされることはありませんが、受け取った人は一時所得として課税されます。

遺族年金の請求手続き

家計の主な稼ぎ手が亡くなった場合、遺族は遺族年金を受給できる場合があります。

遺族年金の申請は定められた様式の請求書に必要事項を記入した後に、各種証明書を添付のうえ、最寄りの年金事務所へ提出します。

亡くなった方の年金加入状況や遺族の状況によって、受給できる遺族年金の種類は異なるので注意が必要です。

それぞれの遺族年金がどのような性質のものなのか、概要だけでも把握しておきましょう。

各遺族年金について詳細を解説します。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民保険の被保険者だった方が亡くなったときに、生計を維持されていた配偶者または子どもに支給される遺族年金です。

遺族基礎年金を受給するための要件は、次の通りです。

いずれか一つの要件をクリアしていれば、支給対象となります。

  • 国民保険の被保険者として死亡したとき
  • 国民年金の被保険者の60歳から65歳までの方で、日本国内に住所がある方が死亡した場合
  • 老齢基礎年金の受給者として死亡した場合
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たしている方が死亡した場合

令和6年4月から適用されている遺族基礎年金額(子のある配偶者が受け取るとき)は、次の通りです。

昭和31年4月2日以降に生まれた人 816,000円+子の加算額
昭和31年4月1日以前に生まれた人 813,000円+子の加算額
子の加算額について、1人目および2人目の子の加算額は各234,800円、3人目以降の子の加算額は各78,300円です。

寡婦年金

寡婦年金とは、自営業者や農業に従事する国民年金1号被保険者の夫と婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた妻が60歳から受給できる遺族年金です。

10年間婚姻関係にあった稼ぎ頭の夫が、年金を受け取る前に亡くなった場合に配偶者へ支給されます。

注意点として、夫の年金加入期間が10年を超えていなければ寡婦年金は支給されません。

寡婦年金で受給できる年金の額は、老齢基礎年金の4分の3です。

また、第2号被保険者として納付した期間は年金に含まれません。

そのほか、妻が繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している場合も寡婦年金は支給されないので注意が必要です。

死亡一時金

死亡一時金は、死亡の前日までの年金保険料を36ヶ月収めた国民年金第1号被保険者が、年金を受け取る前になくなった場合に、生計を同じくしていた遺族に支給される一時金です。

受け取れる一時金の金額は、保険料を収めた月に応じて12〜32万円と定められています。

受け取りの優先順位は、次の通りです。

  1. 配偶者
  2. 子ども
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹

遺族が遺族基礎年金を受給する場合は支給対象から外れます。

また、寡婦年金を受け取る場合はどちらか一つを選択しなければいけません。

死亡一時金の有効期限は死亡日の翌日から2年間です。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、国民年金もしくは厚生年金に加入している人が亡くなった場合に、生計を維持されていた配偶者や子に支給される年金のことです。

国民年金から支給される遺族年金は前述の遺族基礎年金、厚生年金から支給される遺族年金のことを遺族厚生年金といいます。

遺族厚生年金の受給要件は、以下の通りです。

  • 厚生年金保険の被保険者として死亡した場合
  • 厚生年金の被保険者の間に病気やけがによって初診日から起算して5年以内に死亡したとき
  • 1級・2級の障害厚生年金を受給している方が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者の方が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給資格を持つ方が死亡したとき

遺族基礎年金は子どもがいなければ受け取ることができませんが、遺族厚生年金は子どもがいなくとも受け取ることができます。

遺族厚生年金は遺族基礎年金と併せて受け取り可能です。

双方の受け取り資格を満たす遺族は両方の年金を受け取れる可能性があります。

遺族厚生年金の受給額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に該当します。

報酬比例部分の計算式は、次の通りです。

企業年金や個人年金の手続き

企業年金とは、公的年金にプラスして会社が独自に設定している年金制度です。

代表的な企業年金には、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金などがあります。

企業年金と合わせて、個人で加入している個人年金でも遺族一時金や未支給年金として遺族が年金を受け取れるケースがあります。

年金証書や振込通知書があれば管理機関に連絡してみましょう。

企業年金や個人年金の給付があった場合、相続財産と見なされるため相続税の対象です。

相続と年金に関する知っておくべきポイント

相続手続きを進めるときは、相続と年金との関連性をよく理解しておくことが重要です。

スムーズな手続きに欠かせない2つのポイントを紹介します。

未支給年金は相続財産に含まれない

遺族が受け取った未支給年金は、公的年金の制度設計に基づき相続税はかからないルールとなっています。

公的年金は被保険者と家族の生活をサポートするための制度です。

被保険者が死亡した場合は、家族の生活を保護するために支給されます。

このような制度設計によって、公的年金の未支給年金は受け取った遺族のものと見なされ、相続財産として扱われることはありません。

相続税の対象にはなりませんが、一定の金額を超えると一時所得tして確定申告が必要です。

一時所得の金額は、次の計算式で算出されます。

一時所得の金額=未支給年金の金額-経費-特別控除額(50万円)

特別控除額である50万円を下回っていると一時所得として見なされません。

相続放棄をしても遺族年金は受け取れる

該当の財産が固有財産か相続財産のいずれに該当するかによって扱いが変わります。

固有財産とは遺族が固有の権利として取得する財産のことです。

相続放棄によって受け取りができなくなるのは相続財産のみなので、固有財産に該当する遺族年金は受け取れます。

相続が発生した際の年金手続きに関するよくある質問

ここまで、亡くなった方の年金に関する手続きについて解説してきました。

最後に相続が発生したときの年金手続きについて、よくある質問を紹介します。

遺族年金の手続きはいつまでに行えば良いですか?

遺族年金の手続き期間は生計を維持していた稼ぎ頭の方が亡くなった翌日から5年間です。

年金を受け取る権利の基本権の有効期限が5年であることから、期限が定められました。

5年以内に手続きを終えれば、今まで受け取っていなかった未支給分の年金もさかのぼって受給できます。

遺族年金を受け取るには自分で手続きを進めなければいけません。

期限内に遺族年金の手続きを進められない場合は、書面にて理由を記載したうえで申し立て手続きを進めると5年を超えて手続き期限を伸ばすこともできます。

5年の期限が設けられているとはいえ、遺された家族を支えるための遺族年金です。

生活に困ることのないように、できるだけ早めに手続きを進めて受給できるようにしましょう。

年金の死亡手続きが遅れたらどうなりますか?

遺族年金のみならず、日本の公的年金は自分で申請手続きを進めなければいつまで経ってももらえません。

申請を忘れていたことに気づいたらすぐに申請をしましょう。

前述の通り、年金を受給するための基本権の有効期限は5年間です。

権利が有効な期間であれば未支給分をさかのぼって受給できます。

やむを得ない理由で期限内に請求ができなかった場合は、理由を書面にて申し立てましょう。

理由次第では例外的に基本権を存続させてくれるケースもあります。

死亡した月の年金の取り扱いはどうなりますか?

月の途中で被保険者が亡くなった場合、年金支給は日割りではなく、その月の分まで支払われます。

たとえば、3月10日に被保険者が亡くなった場合は、2月と3月分の年金が未支給分の年金ということになりますが、この場合、4月に未支給分の年金を受け取ることができます。

相続関連の手続きは専門家に依頼するのが安心

年金の被保険者が亡くなった際の未支給分は遺族が受け取ることができます。

未支給分の年金を受け取るには、まず年金の種類を把握しなければいけません。

遺族基礎年金と寡婦年金、遺族厚生年金、死亡一時金など、未支給分の年金を受け取る際の年金の種類だけでも頭が混乱してしまうほどです。

何も知らない素人には難解を極めます。

複雑で手間暇かかる相続の手続きは、難しいと感じたら専門家へ依頼するほうが良いでしょう。

依頼した方が間違いなくスムーズに終えられる可能性が高いです。

杠(ゆずりは)司法書士法人では、未支給の年金受け取りを始めとしてあらゆる相続の相談を承っています。

「わからないことが多すぎて何から手をつけたらいいのかわからない」という方はぜひ一度ご相談ください。

複雑な相続の手続きを滞りなく完了させていただきます。

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