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会社と取締役の利益が相反する取引を、後日付で承認する場合の注意点

企業法務

|更新日:2022.11.2

投稿日:2014.02.10

会社の取締役会等承認機関の承認を要する利益相反取引を会社が承認を得ずに行った場合、当該取引は無効で効力を生じないとされております。

ただ、承認機関の承認の有無を問わず、利益相反取引を行った取締役は会社に生じた損害につき、責任を負うこと、利益相反取引に会社機関の承認を要求するのはもっぱら会社の利益保護のためであることから、承認は事後承認でも差し支えないとされております。

そして、事後承認の効果は遡及する、すなわち、事後承認のなされた取引はその行為時に遡って有効となると解されております。

従って、例えば、代表取締役を同じくする関連会社同士で不動産を売買していたにもかかわらず、関連会社同士だからという理由で取締役会等の決議を経ずに登記もそのままにしてしまっていたというケースで、登記を行う必要性が生じて登記をする際に、利益相反承認決議を行った議事録等が存在しないという場合であっても、その時点において利益相反承認決議を行い、その議事録を添付することによって、過去の売買日付でもって売買による所有権移転登記を行うことができる場合があります。

上記の場合で、過去の取引時と現状役員が異なってしまっている場合でも、法務局との事前協議は必要になると考えますが、事前協議の結果、現状役員での決議が有効とされ、過去の売買日付でもって登記が受理されたことがございます。

ただ、承認なく利益相反取引が行われた日から相当の年月が経過して事後承認がなされた場合でも、当該取引が遡って有効とできるかどうかについては、私が調べた限りでは明確な判例は見受けられませんので、そのような場合にはより慎重に判断すべきものと考えられます。

会社の利益相反取引に関しては、従前に「会社と取締役の利益が相反する取引を行う場合の注意点」のコラムでもご紹介させていただいたとおり、多々論点が存在いたします。判例や登記実務上の取り扱いも多岐にわたっておりますので、留意が必要です。

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→ 会社法の専門家 司法書士法人おおさか法務事務所(大阪市 八尾市 西宮市)

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北村 清孝

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